テレビのニュースや新聞の記事では、圧倒的に事件や事故などのニュースが多く、良いお知らせは少ないものです。週刊誌などでも芸能人のスキャンダルなどのゴシップ(うわさ)記事はほとんどバッドニュースです。それほど皆さんはバッドニュース、悪いお知らせが好きなのでしょうか?

 

悲しい話より、楽しい話の方が良いに決まっております。では、なぜでしょう?他人の不幸を見て非難することで自分の気持ちが落ち着くのでしょうか?楽しい話では嫉妬心が芽生えます。お得なお買い物ニュースには耳を傾け、誰かが儲かった話には耳を塞ぎます。

 

さて、それは本当に幸せなのでしょうか?テレビや新聞、雑誌やインターネット、S N Sで流れる多くのバッドニュースやゴシップ、昔は井戸端会議、それらは人間の心が望んでいるものです。けれど、そこに本当に幸せな気持ちは生まれるのでしょうか?

 

今回は、その幸せと矛盾する行動や感情を紐解きながら、心が本当の幸せをみつけられるマインドフルネスをお伝えいたします。

 

 

記憶とは 生きるための情報

 

あらゆる生物は生きるために危険から身を遠ざけます。また、どこに食べ物があるかを知ることは生きる為には必要です。自分にとってプラスになる情報と自分にとってマイナスになる情報の両方が必要なのですが、情報を求めるには「動機」が必要になります。

 

たとえば、根本的な欲求が満たされている時は「危険を察知するための情報」に敏感になります。また、生命が危険な状況にあるほど、生きるためにプラスになる情報に敏感になります。

 

その様な意味から、現代社会でバッドニュースが溢れるのは生命的欲求がある程度満たされている状況であると伺(うかが)えます。

 

つまり、貧困で食べることが出来ない国や社会ではバッドニュースではなく、どうやったら食べ物が手に入るのか?生きる為に必要なものを求めます。貧しい国や社会は生きるためへの前向きなエナジーが溢れております。

 

逆に「飽食な社会」程、人々はネガティヴな情報を求めて、社会は活気を失っております。

 

これらの反応は生命の本能的な働きの一面でもあると言えるでしょう。けれど、食べ物や物が満たされは時ほど、本当は前向きに人生や世界に対するエナジーを高められる時ではないでしょうか。

 

ポイント1 物理的に満たされると不安を増幅したくなる。物理的安定は将来それを失うことを恐れる。そこであえて悪いニュースを探す。

 

記憶は体験を通じて感情に紐付(ひもづ)けられている。

 

 

生まれながらの記憶としては本能があげられます。生まれたばかりの子牛は教えられなくても母親の乳からミルクを飲みます。DNA(遺伝子)には生きるための情報があります。また、生まれて来た後にも様々な経験や教育を経て生きる術(すべ)を得ます。これらの記憶は経験を通じて得て行きます。

 

パソコンでは情報はデータとして入れ込めば記憶されますが、生物は経験を通じて記憶されます。人間もパソコンの様にデータをUSBで差し込んで入れられたらいいなぁと思われる方もおりますが、これは「データ」と「情報」の違いを知らないからなのです。

 

データとは事実です。たとえば、パソコンでは電気信号です。電気信号だけではただのシグナルです。データをパソコンに入れて、アプリケーションがデータを処理してはじめて「情報」として機能します。アプリケーションとはパソコンの使用者の意図にそって機能するプログラムです。

つまりパソコンに入力された電気信号を画像に変換するか、音に変換するかパソコンを使用する人が意図してアプリケーションを使用することで、電気信号は画像や音という情報になります。

 

ここで重要なことは人間の脳にメモリーされた記憶もただのデータに過ぎないという事です。このデータに意図が伴って情報になります。意図とは主体者が目的を持っていることです。

 

たとえば、お腹が空いたので、木になっているリンゴを食べた。食べたら美味しかった。この味覚を伴った経験がリンゴは美味しいと記憶されます。そして、再び空腹になるとリンゴを思い出すのです。逆にお腹が空(す)いて、落ちているリンゴを拾って食べます。するとリンゴが腐っていてお腹が痛くなります。腐ったリンゴは痛みとともに危険だと記憶します。そして、再び空腹になった時に「落ちているリンゴ」をお腹の痛みと同時に思い出して、木になっている方を食べようと判断します。

 

この様に記憶は体験を通じて、美味しいとか、痛いという感覚に関連付けられます。データが体験を通じて感覚に関連付けられたものが「感情」と言えるでしょう。

 

ポイント2 物事(データ)と感覚が生理的欲求によって関連付けられたものが「感情」

 

お腹が減ったという感覚

⚫︎  食べ物を食べたいという意図
⚫︎  食べ物を探す行動 
⚫︎  体験 感覚を伴う 情報
⚫︎  感覚に紐付けされた記憶 感情
⚫︎  感情が動機を生み出す

 

感情は動機を生み出します。空腹を美味しいリンゴで満たした時に「幸せだなぁ」と感じたとします。すると逆に不幸な場合は「幸福感を求めて」食べ物を想起させ、食べ物を求める「動機=情動」が生み出されます。いわゆるストレス喰いですね。幸せ=食べるという「動機=情動」が働いております。

 

この様に記憶を情報として人が取り出す時には、その情報を入力した時の感覚とセットされた感情に影響されており、人の行動の動機は感情によって左右されます。

 

人がバッドニュースを求めるのは、生理的に満たされた時に意識が危険に対する感情に関連づけられているためでもあるのです。つまり、危険を避けることで「満たされている現状」を維持できるからです。生命は常にホメオスタシスhomeostasis/一定の状態を維持する)が働いておりますから、お腹が満たされることで一瞬幸福を感じますますが、再び空腹のなることを恐れます。

 

そして、今度はリンゴが無くなることを恐れます。人間の欲望に際限がないのは、他の生物より予測する能力があるからとも言えます。満たされれば、満たされるほど「現状を失う」恐れも膨らむのです。これが「不安」です。

 

この不安は悪い情報をわざわざ集めます。危険な状況を知ろうとする動機を「不安という感情」が強く押し出すからです。本人はなぜゴシップを好むのか?気づいておりません。自分の中の不安という感情がゴシップを求める動機になっているのです。

 

アダムとイブは楽園で禁断の実を食べたことで「不安」を得たのです。際限のない欲や戦争は記憶が感情と紐付けされていることに気づいていないために起こる「妄想という不安」が動機と行動を過剰に働かせます。

 

ポイント3 物事(データ)と感覚が生理的欲求によって関連付けられたものが「感情」は独自に情動という動機を生み出す。 論理的に結びつかない様々な動機はこの情動が引き起こしている。

 

感情とは アルゴリズム 人格

 

感情の原点はとてもシンプルです。生理的な欲求に関連付けられた情報と感覚と言えるでしょう。

 

⚫︎  空腹=生理的欲求
⚫︎  泣く=生理的反応=本能
⚫︎  ミルクを与えられる
⚫︎  再び空腹=満たされない=悲しい=泣く=求める
⚫︎  悲しい=求める

 

上記は仮説的に感情をアルゴリズムとして描いたものです。アルゴリズムとは目的に対する最適な方法という意味として扱われる言葉ですが、ここでは「関連性」と超約いたします。

 

最初は空腹という生理的欲求から泣くという生理的反応が起こりましたが、泣くことでミルクを欲求する行動を覚えます。つまり、欲求が満たされない場合は泣くという生理現象が関連づけられます。

 

この泣くと満たされないという関連づけが統合されて「悲しい」という感情を形成します。すると悲しいという感情は「求める」という動機を生み出します。そして、満たされない時は「悲しい」という感情を呼び起こします。

 

つまり、私たちの喜怒哀楽の感情は、最初は生理的な欲求に対する生理的な反応というシンプルなものですが、やがて様々な経験や体験によって、その時に感じた様々な感覚が統合されて「感情」という「アルゴリズム」を生み出します。その様々な感情が生命体としてのホメオスタシス(homeostasis/一定の状態を維持する)の中で統合されたものが「人格」とも言えるでしょう。

 

ポイント4 感情が情動を働かせ、情動が別な感情と関連し、様々な感情、情動が1つの生命体の中で統合されて「人格」を産み出す。

 

楽園でリンゴを食べたアダムとイブは不安を得ました。その不安が常に世界を覆っています。では、この不安を超えるためにはどうしたら良いでしょうか?それは感情のアルゴリズムを理解して人格というアプリケーションを書き換える必要があります。

 

そのことについて書き進めて行きます。

 

 

感情の<O S>バージョンアップ 人格の向上

ここで書かせていただくことは、もしあなたが現状に満足している場合、またこの先もその満足が続く事が保証されているならば、必要のない事です。

 

しかし、現状に多少でも不満があって将来に不安を感じるならば、この先を読み進めてください。

 

様々な経験や体験に関連して形成されるさまざまな感情。その感情が一塊りとして「あなた」という「人格」を形作っております。したがって、今の不満や将来の不安が拭えないならば、それはあなた自身の人格の構成要素に不満と不安があるという事です。

 

その不満と不安の構成要素を完全に取り去ることはできません。なぜなら、それも生きることにおいては必要な能力でもあるからです。けれど、日常的な不安や不満が多くなった場合はその感情があなたの主体性を支配しているのです。あなたの選択や、あなたの行動、その動機を不満と不安が支配しております。主体者はあなた自身であって不満や不安ではないはずです。一旦、そのことを整理しましょう。つまり、感情を整理するのです。

 

マインドフルネスが「今ここに集中する」ことを説いているのは、感情は全て過去の記憶であるということです。つまり、あなたの今の人格は過去の記憶の集合体であるので、今から未来は変えることができるということです。

 

では、どうやって変えて行くことができるかについて、さらに書いて行きます。

 

ポイント5 人格が不満や不安という情動に支配される状態から抜け出すために、感情と物事を整理して再構築する=人格のバージョンアップ

 

感情の原点を整える 行動を変える1 根本的生理現象を意図する=呼吸

人格が様々な感情を統合してものであるならば、あなたが不満や不安を抱えている自分を変革する場合は感情のアルゴリズム(法則)を変化させる必要があります。

 

しかし、「【臨済宗武術家が語る】なぜヨガ・禅・武術は呼吸法を重視するのか?」でも書かせていただきましたが、感情を理論や知識では変えることはできません。

 

感情は生理的な欲求とその時の事象(じしょう/現象や事実など)に関連づけられた感覚のアルゴリズムといえるからです。つまり、感情には必ず生理現象が伴います。したがって生理現象を変化させずに理論や知識で感情を変えられないのです。たとえば、頭では分かっているけど腹が立ってしょうがないとか、悲しい時にはどんな言葉より大好きな人のハグで心が安らいだりするものです。

 

そこで感情の根本である生理的欲求の原点にアプローチいたします。これは「呼吸」を変えるということです。呼吸は生命の原点です。地球上にバクテリアが誕生し、植物が生まれ、動物へ進化し、地球という生命活動の機軸はガス交換システムともいえるでしょう。

 

ガス交換システムが生命とも言い換えることができます。つまり生理的欲求の発祥は「呼吸」なのです。つまり根源的活動に自己の主体者である人格が直接アプローチするのです。

 

欲求と感覚が統合された人格がシステムに対して受け身ではなく、主体的に働きかけることが主役は誰かを自分自身に知らしめることになります。安心も不安も欲求も拒否も主体者である自分が判断すると生理的に現象に言い聞かせるのです。

 

その方法は「【臨済宗武術家が語る】なぜヨガ・禅・武術は呼吸法を重視するのか?」でも書かせて頂いた「クンバカ」トレーニングと「脳と身体をコネクトするトータルマインドフルネス①ストレスケア編 サブタイトル:意識と無意識の対和(対話)」で書かせていただいた座禅法です。「姿勢」で呼吸を制御する。「意思」で呼吸を制御する。この「行動の変化」が感情に変化をもたらします。

 

どのように変化するかというと、喜怒哀楽がきめ細やかになり豊で安定している状態です。もっと簡単にいうと「幸せ」を実感するでしょう。「幸せ」という感情は生命がトータルバランスして満ち足りている「感覚」です。

 

呼吸でそんなに変わるの?はい、変わります。詳しくは、今後にイラストを入れた呼吸法などの実践編で紹介いたします。ここでは「呼吸」という生命現象を「意図して変える」ことで無意味な不安感情を払拭すると記憶してください。

 

ただ、一番簡単な呼吸法を一つだけここでも紹介しております。見出しの下のイラストは祈る女性ですが、「左右の手を合わせてゆっくり呼吸をする」これは右脳(直感)である左手、左脳(論理)である右手を合わせて直感と論理を意図して統合する姿です。右脳感覚と左脳感覚を手の感触で統合し、統合した意識が「呼吸を主体的に観察」する。これが祈りの原点です。心が静かに落ち着いて、物事のリアリティが浮かび上がります。「今ここに感じる」マインドフルネスの祈りです。生命への感謝に満たされるでしょう。

 

この状態を仏教では三昧(ざんまい)、ヨガではサマディと言います。同じ語源です。

生命即神(生命の存在が万物の根源である神)という感覚です。これが幸せの根源です。

 

ポイント6 感情と物事を一旦分離させるためには、感情を安定させるための行動が必要。整理的には自律神経のキャパを広げる事、もう一つは生命体である自己の主体者は自分という意識であると生命の原点に知らせる事、これが呼吸法の意味です。

 

理性 抽象化システム 美しいと感じる感情

さて、感情が高度に統合されると「幸せ」という高度な感情を引き出します。もう一つの高度な感情は「美しい」という感情です。「幸せ」という感情が生命の根源へつながる満たされた感情であれば、「美しい」と感じる感情は創造性への高度な欲求とも言えるでしょう。

 

この「美しい」という感情は経験や体験を超越する感情です。夕陽や花や自然の営みを「美しい」と感じるのは誰かが美しいと言ったからでしょか?それも少しは関係しているでしょう。

 

しかし、美を突き詰めると「神」をイメージしませんか?では、神様を誰か直接に見た人はいるでしょうか?「神」は世界でも様々な文化という宗教の中で絵や彫刻などでも表現されております。共通のものはありません。つまり、その時、その国、その世界の文化で最高のものを「神」と表現したに過ぎません。大切なことは何が最高か?ではなく、最高と感じる形のない感覚です。この物事の中に秘められた「眼に見えない、触れることのできない、聞くこともできない」神を最高と人は感じます。

 

感覚や体験から切り離された最高の充足感が「美しい」と感じる感情です。それは脳の最も高度な働きである「抽象化」能力が統合した新しい感情です。それを創造力とも言います。

 

抽象化というとピカソ などの現代アートを思い浮かべる人も多いでしょう。しかし、もっとシンプルで普段から人間が使用しているものがあります。たとえば、数字や文字や言葉です。数字や文字、言葉は意図を伝える道具だけではなく、感情や状況や感覚さえも抽象化して伝えることができます。数字は背景に感情や感覚を伴うことなく事実を伝えることも受け取ることもできます。

 

1+1=2は情動を引き起こしません。抽象化とは物事の本質を抽出することです。物事の本質とは様々でありますが、共通認識できる概念を抜き出して共有できるようにすることです。つまり、「情報」の中から出来るだけ多くに人が経験や体験、感覚、欲求をシェアできる「新たな情報」を創出することが抽象の意味でもあるのです。これを物事の普遍性(ふへんせい)を見極めるとも言うことができます。

 

普遍性とは、時間や場所を超えて一貫して共通する事柄です。その普遍性を見出すと言うことは、個々人の固定概念や思い込みを払拭(ふっしょく/取り去る)して客観的に観る力です。つまり、物事を抽象化して考える作業は人間の理性が行います。過去の記憶や体験、感情や、感情が引き起こす動機である情動に惑わされずに、物事の普遍性である真実を見極めようという「高度な理性」の活動です。これが抽象化の力です。そしてマインドフルネスがもたらす「智恵」です。

 

この高度な理性である知恵へ心を導く方法が「美しい」と感じる心を育てることです。様々な物事に触れて、美しい部分を探そうと心を働かせるトレーニングが「高度な理性­=智恵」を生み出すトレーニングとなります。

 

マインドフルネスが目指す「心の進化」とは、「幸せを感じる感情」=生命の根本につながる充足感と「美しいと感じる感情」=物事の普遍性を見極める智恵を得ることです。つまり、幸せな気持ちに満たされて美しいクリエティブな活動で生きるということですね。

 

ポイント7 生命体が感情と物事を整理し、主体的に呼吸によって自律神経を安定させると生命の本来の力につながり、「幸せ」という生命の充足感を得ます。また、幸せという新たな感情は理性を活発化して、物事の普遍性を見出そうという抽象化システムを働かせます。

「幸せ=生命のホメオスタシス」+「抽象化=理性の高度化=美意識」=高度な感情の統合

 

原理探究の旅 クリエイティブセンス

呼吸を通じて感情が地球とつながり満たされると心が「幸福感」に満たされます。その瞬間から時から人生は前向きに動き出します。今、この時からあなた自身が主体者として人生を描いてゆき、現状を改革し新しい世界を手に入れる活動が始まりまします。この活動を切り開く最良の智恵は「美しいと感じる感情」が導きます。

 

正見  美しいものを見ようとしていますか?

正思惟 美しいことを考えていますか?

正語 美しい言葉を話していますか?

正業 美しい行動や仕草をしていますか?

正命 美しい生き方を選択していますか?

正精進 美しくなるために努力をしていますか?

正念 美しい世界を望みますか?

正定 美しい存在を受け入れましょう

 

美しいと感じる心「クリエイティブセンス」を常に磨くこと意識を向ければ、高度な精神統合が行われクリエイティブな精神活動を生み出します。

 

ポイント8 積極的に美を感じ、美を創造しようと試みる事で理性が引き上げられ、人生の様々な課題を積極的に変えるクリエイションが発動します。

 

まとめ

 

心に生まれる不満や不安の多くは過去の記憶が情動と重ねなって表面化したものとも言えます。ほとんどの人が不安を自ら招き、妄想の中で不満を膨らませます。それは生物が持った仕組みでもあるのです。

 

しかし、そのことを理解すれば知性は感情や情動に対して主体者は誰かを指し示すことができます。

 

呼吸を通じて、生命の源につながることで「幸せを感じる高度な感情「と「物事を抽象化して美を感じる高度な感情」この生命の根本的な感情と知性を磨く美を感じる感情が全ての感情を主体的に統合して「人格がバージョンアップ」して人生を前向きに切り拓くのです。


※本記事の内容は、執筆当時の学術論文などの情報から暫定的に解釈したものであり、特定の事実や効果を保証するものではありません。