ちょっと一服と心と身体を休めるお茶は世界中で親しまれております。日本の緑茶、抹茶、中国のウーロン茶やプーアール茶、ヨーロッパでは紅茶。今回は飲む瞑想についてお届けいたしますので、ぜひ皆様もお茶でのマインドフルネスをお試しください。

お茶の起源

お茶は中国が発祥と言われております。中国古代では医食同源として、食べることも医療そのものでした。食と健康について多くの先人が、膨大な経験と研究によって今に伝えております。そして、お茶についてもっとも古い記述では神話の中に、「神農」という古代中国の漢方の祖とされる人がお茶の葉を食べていたという逸話があります。 この神農の時代は紀元前2700年頃とされており、また神話ですのでここでは真偽について深くは立ち入らないこととしましょう。それでも中国では相当に古い時代からお茶の葉は薬用として知られていたのでしょう。 そして、紀元前1世紀の頃、漢の時代になると歴史書や医学書にお茶は度々紹介されるようになります。その頃に飲み物として紹介されております。 やがて、760年頃の唐の時代では「茶経」という陸羽によって書かれた茶の専門書が残されておりますので、すでにこの時代にはお茶の医としての文化が定着していたことがうかがえます。そして、この時代に日本は遣唐使を送っておりますので、遣唐使によって日本にもお茶がもたらされました。

仏教と日本に伝来

日本にお茶が初めて伝来したのは、平安時代だったと推測されております。というのは、西暦815年の平安初期の頃に書かれた「日本後記」に嵯峨天皇が梵釈寺というお寺で茶を煎じて奉ったという記述があるからです。この時代には多くの僧や学者が遣唐使として、中国へ渡り、帰国後に様々な学問と共に文化や物資を日本へもたらしました。 この頃は、お茶は特別な珍しいものとして扱われており、一部の貴族や僧などにしか広まっていなかった様です。 その後、日本は武家の時代が始まり鎌倉時代から南北朝時代へと移ります。そうした中で中国では宋の時代になり、お茶を飲む文化が一気に花咲く様になりました。というのも、その宋へ仏教を学びに行った日本の僧がお茶の文化を持ち帰ってきたからです。特に禅を中国で学んだ栄西禅師(えいさい/1141-1215)は宋へ2回も海を渡って禅を学びに行き、禅と共に薬の一つとして飲茶の知識とお茶の苗木を持ち帰りました。 そして、栄西禅師は茶の専門書「喫茶養生記」を書きました。その専門書には茶の栽培方法や茶の製造方法、飲み方とともに効能も詳しく書かれており、特に心臓に良いとされております。現代でもお茶は血液の流れを良くし抗酸化効果のある成分が研究されておりますが、800年前においてはまさに健康長寿の妙薬としてお茶は活用されていたのでしょう。 「喫茶養生記」では、現在の抹茶の様に茶葉を粉にしてお湯を注ぎ、茶筅(ちゃせん)で泡だたてて飲む方法が記されております。栄西禅師は鎌倉幕府の源実朝将軍と親しく、武家に禅とともにお茶を伝えたとされております。そうした中で武家中心にお茶が広がってゆきます。

戦国時代

やがて時代は室町から戦国時代へと移り変わる中でお茶は武家の社交として広がってゆきます。現代では酒を酌み交わす社交も、当時の戦国の世ではお酒に酔えば斬り殺されることも少なくありません。その様な中で、膝を突き合わせお互いに心を落ち着かせて話しあえる場として「お茶」は武家に必要だったのです。そしてその社交の作法として、村田珠光(14231502)、武野紹鴎(15021555)、千利休15221591)らによって「茶の湯」という茶道の原型が確立いたしました。 戦国時代から下って江戸時代になると、庶民にもお茶が親しまれるようになりますが、この頃に抹茶ではなく簡易な製法で安価で楽しめる煮出しの煎茶が誕生します。そして、様々な煎茶の製法が開発されて現在の日本茶に続きます。 お茶は心の薬とも言えるでしょう。心を落ち着かせ人と人を和らげる力があります。戦国の世においては争いの合間に心を和らげ、太平の世では庶民の暮らしに花を添えました。

お茶の種類

お茶に様々な種類がありますが、お茶の葉は同じで発酵の度合いによって種類が異なります。日本茶は緑茶と煎茶が主流で、中国ではウーロン茶や鉄観音茶、プーアール茶、ヨーロッパでは紅茶が主流です。以下、各お茶の発酵の度合いをまとめておきます。 お茶は発酵の度合いによって香りも変わります。発酵すればするほどフルーティな香りになります。そして、効能にも変化があると言われております。 緑茶は身体を冷やす効果があり、逆に発酵させたお茶には身体を温める効果があるとされております。お茶葉の成分にはタンニンが含まれておりタンニンは鉄分とくっつきやすく、緑茶を多く摂ると血液の鉄分とくっつき酸素飽和濃度を下げる場合があります。ストレスなどで過呼吸の状態になりやすい人が緑茶を飲むことで、落ち着くことと関係があるようです。 その代わりに酸素飽和濃度が低い人や鉄分不足、冬場には緑茶は多く摂らない方が良いでしょう。 発酵したお茶はタンニンが変化して鉄分を吸着しにくくなるので、冬場や酸素飽和濃度が低めの方は烏龍茶や紅茶などの発酵茶をおすすめいたします。 そして、お茶には発酵、不発酵にかかわらず、様々な健康を守る成分が含まれております。 たとえば、 という具合に、昔から言われているお茶の効能はこのような成分のおかげなのですね。  

飲む瞑想

  飲むだけで瞑想効果は得られるという事ではありませんが、瞑想に入る前や瞑想後などに瞑想の効果をサポートすることは期待できそうです。そして、日常的なストレスや様々な病気などの予防にも効果が期待できそうです。 ただし、何事も「過ぎたるは猶及ばざるが如し」ですから、「適時適度」が大切です。つまり、どんな時に、どのようなお茶を、どのように飲むかということをしっかり考えてお茶を楽しむことが禅の心得にも通じます。 お茶の楽しみ方や生活の中に取り入れる方法については、「心が落ち着く「茶」の新作法について② お茶を生活に取り入れる工夫編」で書かせていただきます。

まとめ

お茶は仏教とも深く関係をしております。もともと仏教は信仰ではなく医学、天文学、建築、数学、物理、哲学などを含む現代で言えば総合科学でもありました。その総合科学を学びに多くの若い人が日本から中国へ渡り、多くの知識を再び持ち帰ったのです。 当時の旅は風と海流を頼りに命がけの旅でした。中国へたどり着き、再び帰国するまでに多くの命が失われました。そのような過酷な旅で持ち帰った貴重なものの一つにお茶がありました。今や世界で親しまれているお茶ですが、歴史とロマンを味わいながら心と身体を癒す時を味わいましょう。 ※本記事の内容は、執筆当時の学術論文などの情報から暫定的に解釈したものであり、特定の事実や効果を保証するものではありません。