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メディテーションの効果
「メディテーション」は瞑想のことで、続けると心と身体の両方に良い影響を与えてくれます。特定の宗教を信仰している人が行う慣習のような想像をされるかもしれませんが、近年メディテーションの在り方は変わってきました。
スピリチュアルの要素がなくなり、精神的疾病を抱えるクライアントの治療の一環として用いられるケースもあります。トップ企業やプロのアスリートたちも行っていると話題になりました。メンタリストのDaigoさんやサッカー日本代表として活躍する長友佑都選手も、メンタルトレーニングとして取り入れています。
日本ではメディテーションといえば座禅の印象が強く、座って行うイメージをお持ちではないでしょうか?実際にはさまざまなスタイルがあり、あぐらを組むやり方だけではないのです。
「歩く瞑想法」や「食べる瞑想法」など、日常生活にメディテーションを取り入れたものまであります。動きを伴うと注意を向けやすくなり、集中できると言われているため、こちらの方法がしっくりくる方もいるでしょう。どのようなやり方でも、メディテーションの効果は得られるので、集中しやすい方法を選んでくださいね。
メディテーションで得られる効果の特徴として、不安感の減少やストレスの軽減など主に精神面での変化が挙げられますが、身体面にも大きな変化を与えてくれます。メディテーションが疾病に与える影響が研究され、身体の問題を改善し、健康を促進する効果があると認められるようになりました。
・痛みの改善
2016年にアメリカで行われた研究で、メディテーションのひとつであるマインドフルネス瞑想を行うと痛みが緩和することが分かりました。メディテーションを鎮痛薬や脳内オピオイドを活性化する方法と、組み合わせることで痛みを軽減できると考えられています。
・血圧を下げる
高血圧の状態は動脈硬化を促進し、脳卒中や慢性腎臓病などを起こす要因にもなります。米国心臓協会(American Heart Association)の声明によると、超越瞑想を行うと血圧が下がるという根拠が示されました。(厚生労働省『「統合医療」に係る情報発信等推進事業』)
・コレステロール値の減少
「American Journal of Cardiology」に載った分析結果によれば、瞑想を行うとコレステロール値が減少することが明らかになったのです。2012年、2017年と2度にわたって調査が実施され、被験者のデータから判明しました。被験者全体の9.6%に当たる5851人は瞑想実践者です。瞑想実践者は高コレステロール血症(高コレステロール)の有病率が、瞑想をしない人と比較すると低い数値であることが分かりました。
米国疾病予防管理センター(CDC)の報告では、アメリカでは年間約67000人の方が心臓病が原因で亡くなっているのです。そのためアメリカ心臓協会(AHA)は、心身の健康のために、ストレスマネージメントを人々に推進しています。研究によって、瞑想は心血管疾病のリスクを低下する可能性があることが分かり、さらなる研究の成果が期待されているということです。(瞑想は心臓病のリスクを下げる可能性があると最新の研究が示唆)
メディテーションを行う前の準備
メディテーションは特別な器具や服装が必要ではないため、すぐに始められます。朝起きたとき、勉強や仕事のスキマ時間、夜寝る前など、いつでもあなたの行いやすいタイミングで構いません。
毎日、時間を決めると忘れずに継続できますが、張り切りすぎて挫折しないようにしましょうね。時間に縛られずに空いたタイミングに短くてもやる、という気持ちでいましょう。
たった1回のメディテーションでも、発見があったり変化を感じたりできるかもしれませんが、続けることでより効果が現れます。長く続けると、さらにコントロールできると思えるようになるはずです。
継続するためにも、メディテーションを行う際は集中しやすく、居心地の良い空間を選びましょう。「気分を高めたい」「集中したい」という場合も、少し身の回りを整えてから行うのがおすすめです。どんな準備が必要なのかをご紹介します。
・集中しやすい場所を選ぶ
メディテーションはどんな場所でも可能ですが、できれば誰もいない静かな空間で行ってくださいね。集中するのは意外と根気の要るものですが、騒がしかったり、気が散ったりするとやる気をそがれてしまいます。
メディテーションに慣れてくると、騒がしい場所であっても集中し、周りの雑音もシャットアウトできるようになるでしょう。けれど始めたばかりの頃は難しいので、落ち着いてメディテーションに臨める場所を選んでくださいね。
・香りや照明をセット
雰囲気作りは、メディテーションのモチベーションを上げてくれます。お家でのリラックスタイムにメディテーションを行う方も多いと思いますが、リラクゼーション効果を高めるためにも、アレンジを加えてみましょう。
リラックス効果の高いアロマオイルやお香を焚いたり、照明を落としてろうそくに火をともしたり、お気に入りの時間になるように工夫してみてくださいね。少し薄暗い方が、光の刺激を受けないので落ち着けます。アロマオイルによって精神的、身体的作用が異なるため、身体の不調によって香りを変えてみるのも良いですね。
・瞑想アプリを用意
初めて挑戦する場合は、ただ呼吸に意識を向けると言われても「これで合ってるの?」と不安になるかもしれません。そのような心配がある方は、瞑想音声コンテンツが利用できる瞑想アプリを使ってみましょう。
Relookならシーンに合わせたコンテンツが用意されているので、自分の気分に合わせて選べるのも嬉しいポイントです。音声ガイド付きなので、アプリから流れてくる声に従って呼吸を行うだけで、メディテーションができるようになっています。雨や火の自然音を聴くこともできるので、自分のペースで進めたい方にはそちらがおすすめです。音声の再生回数を確認でき、どのような変化があったのかを気付くこともできます。積極的に活用してくださいね。
メディテーションのやり方
数あるメディテーションの中で、特におすすめしたい3つのやり方をご紹介します。全てにトライしても良し、気になるものだけを続けるも良し、まずはどのようなものがあるのかチェックしていきましょう。普段の生活に取り入れるだけで、きっと変化を感じられるようになるはずです。メディテーションはこれまでもやってきて続けているけど、新しいものに挑戦したいという方も必見ですよ。
マインドフルネス瞑想のやり方
マインドフルネス瞑想はGoogleやApple、Facebookなど有名企業で採用され、ビジネスパーソンが習慣にすべき心のトレーニング方法として話題になりました。雑念が浮かんできても観察することに徹して、ひたすら呼吸に集中します。内面と深く繋がり、自分の思考や捉え方の癖を理解しましょう。
「過去」や「未来」ではなく、意識が「現在」に存在していることに気付くだけで、思考や物事の捉え方を変えられるのです。困難な状況に直面しても、ただ悲観するのではなく、パニックにならずに冷静な気持ちを取り戻せたり、打開策が浮かんだりといったことが期待できるようになると言われています。
1椅子に浅く座り背筋を伸ばします。身体の力は緩めましょう。
2大きく息を吐き出します。
3ゆっくりと鼻から息を吸いましょう。
4呼吸に集中し、酸素が身体に取り込まれていくことを感じます。
5雑念が浮かんでも惑わされないように、ただ呼吸を続けましょう。
ヴィパッサナー瞑想のやり方
ヴィパッサナー瞑想はインドで始まった古い瞑想法で、ヴィパッサナーは「物事をありのまま見る」という意味を持ちます。瞑想中は「スローモーション」「自分の状態を実況する」「感覚の変化を感じる」という三原則を守らなくてはなりません。ヴィパッサナー瞑想はできるだけゆっくりとした動きで行いましょう。2つ目の実況するは、目の前で起こっていることを心の中で言葉にしながら確認していきます。そして最後に、身体の動きの変化に対して、考えるのではなくただ感じることを意識しましょう。
歩いて行うことができるため、ヴィパッサナー瞑想は、じっとしているのが苦手な方に向いています。瞑想をするために歩いても、通勤中に人の邪魔にならないように行っても大丈夫です。
1真っすぐ立ち、足の裏が地面にしっかりとついていることを確認しましょう。
2右足か左足のどちらかを選んで、ゆっくりと踏み出します。
3上げた方の足が右足なら、心の中で「右足」と呟きましょう。
4普段より遅いペースで、動いた足の感覚を感じながら着地します。
5反対の足を踏み出し、同じように心の中でつぶやきながら足を動かしてください。
6動作を繰り返し、動きに注目しながら歩きましょう。
トランセンデンタルメディテーション(超越瞑想)のやり方
メディテーションのひとつに「トランセンデンタルメディテーション(超越瞑想)」と呼ばれるものがあります。マントラと呼ばれる宗教的な意味を持つ言葉を心の中で唱えながら行う瞑想法です。1日に2回、15〜20分間マントラを唱えて心を鎮めていきます。
何千年も前から受け継がれてきた瞑想法で、1980年代には日本でも広がりを見せます。トヨタ自動車や住友重機械工業などの企業がトランセンデンタルメディテーションのプログラムを取り入れました。
トランセンデンタルメディテーションのやり方は一般公開はされておらず、指導する教師から直接教わらなくてはなりません。指導を必要とするため、少しハードルが高いかもしれませんが、休息効果が高く人の潜在能力を目覚めさせるとも言われており、効果も実証されています。指導方法も統一されているため、正しい方法を学ぶことができるという点は初心者の方でも安心ですね。
メディテーションをする時のポイント
メディテーションを行う上で気を付けたいポイントがあります。自由度が高いからこそ自己流になってしまう可能性もあり、基本を無視していたとなれば、効果は薄れてしまうでしょう。ポイントを確認することで、さらにメディテーションの効果を実感できて、上手に付き合えるようになるはずですよ。
・ありのままの自分を受け入れる
メディテーションでは、自分をジャッジしないことが重要です。「できた、できない」を決めるために行うわけではないからです。「今」という瞬間を感じることに意味があります。集中できなくても、長く続けられなくても、そのことに対して判断する必要はありません。ネガティブな思考になってしまう、自分を否定してしまう、と思ってもただその事実を見つめるトレーニングだと思ってくださいね。
・丁寧な呼吸
メディテーションには丁寧な呼吸が欠かせません。普段は意識することのない呼吸に集中することで、身体にも良い作用があるのです。メディテーションのゆっくりとした呼吸は、酸素を多く取り込むことができます。そのため副交感神経が活発になり、身体がリラックスした状態になります。自律神経の乱れを整え、身体を健康に保ってくれるのです。ストレスの多い毎日を送っている方は、特に効果を感じられるでしょう。
雑念が湧いてきても、呼吸に集中し続けることでメディテーションに没頭できるようになります。呼吸がスムーズにできると、メディテーションも行いやすくなるはずです。常に深い呼吸を意識しましょう。
・できる範囲で行う
「めんどくさいな」「今日はいいか」とやめてしまうのは残念なので、続けられるように短い時間に変えるなど、工夫してみましょう。効果を感じるのに時間がかかる人もいます。長い目で見ることが大切です。
けれど無理をするのは避けてくださいね。心身ともにプラスの効果が現れるといっても、深く悩んでいるときや、辛いことがあったときは頑張りすぎずに休みましょう。悲しみや辛さがあると、メディテーションをすることによって鮮明に思い出したり、さらに苦しんだりすることになるかもしれません。自分の体調や気持ちに寄り添うことが大切ですよ。
まとめ
気になるメディテーションは見つかりましたか?メディテーションによって個性があり、自分に合うものはどれなのか、試してみると新たな発見があるはずです。心身の健康のために続けていきましょう。
リラックスできる時間がないと、身体の不調へと繋がっていきます。セルフケアはとても重要です。メディテーションは精神面だけでなく、身体面でも健康に導いてくれる優れものですよ。ストレスを溜め込んでしまう前に、自分自身で解消できる力を付けましょう。気軽にメディテーションに挑戦してみてくださいね。
※本記事の内容は、執筆当時の学術論文などの情報から暫定的に解釈したものであり、特定の事実や効果を保証するものではありません。