自律神経とは?

自律神経とは、内臓、血管、分泌腺の働き、呼吸などをコントロールし、体内の環境を整える神経です。

視床下部から脊髄を通り、全身に張り巡らされています。

運動神経と異なり、自分の意思で動かすことが出来ません。

 

食後、胃酸を出して消化したり、暑い時に汗を出して体温を一定に保とうとしたり、と24時間休みなく働いています。

この自律神経には、2種類あります。

昼間や活動しているときに活発になる「交感神経」と、夜間やリラックスしているときに活発になる「副交感神経」です。

 

交感神経が優位に働くと、インスリン、アドレナリンなどが分泌され、血圧や心拍数が上がります。
心と体は興奮状態になります。車で例えるならばアクセルの役割です。

 

一方、副交感神経が優位に働くと、アセチルコリン、セロトニンなどが分泌され、血圧や心拍数が下がります。
心と体がリラックス状態になります。こちらはブレーキの役割ですね。

基本的に日中は交感神経が働き、夜には副交感神経が働くようになっています。

この2つの神経が交互に作用することで、私たちの体と心のバランスを保ってくれているのです。

 

自律神経が乱れるとどうなるか?

先ほど説明したとおり、自律神経は全身のコントロールを行っている為、バランスが崩れると全身の機能に支障をきたします。

自律神経失調症という言葉をご存知でしょうか。

症状としては


・慢性的な疲労

・めまいや耳鳴り

・頭痛

・不眠

・便秘や下痢

・頻尿や残尿

・手足のしびれ

・口や喉の不快感

など、人によって症状は異なります。

また、ひとつだけでなく、複数の症状を同時に感じることが多いです。

 

心の状態としては


・不安感

・イライラ

・疎外感

・落ち込みや憂鬱

・やる気の喪失

などが挙げられます。


自律神経が乱れる主な原因として、ストレスが考えられます。

ストレスといっても人間関係や仕事の影響だけではありません。


・生活習慣の乱れ(夜型の生活)

・環境の変化(引越しや結婚、昇進など)

・気候の変化(季節の変わり目、気温差、気圧の変化)

・女性ホルモンの影響(女性は、一生の間にホルモンバランスが大きく変化する)

など、あらゆる変化がストレスの要因となります。


脳はストレスを感じると、扁桃体と呼ばれる部分が働き、視床下部に指令を出します。

それによって自律神経が作用し、交感神経を優位にさせることが分かっています。

 
ストレスに長時間さらされることで交感神経ばかりが活発になってしまい、バランスが崩れてしまいます。

 交感神経が優位に働き続けると、免疫力が低下し、癌のリスクも高まると言います。


では一日中、一定の温度の室内で、何の刺激もなく生活していれば良いのでしょうか。

答えは「No」です。


新潟大学の安保徹教授によると、副交感神経優位な状態が続きすぎると、自律神経がバランスをとるために、「交感神経刺激症状」が反動的に起こるとのこと。

結果、夜眠れない、なんとなくだるい、という症状が現れてしまうそうです。

やはり、一日を通して二種類の神経がバランスよく使われることが大切なんですね。

 

瞑想が自律神経に与える効果

呼吸

唯一、自立神経系の中で自分の意思でコントロールできるものがあります。

それが呼吸です。

普段私たちが眠っている間も息が止まらないのは、呼吸器系が自律神経の支配下だから。

この呼吸を意識的にコントロールすることで自律神経を整えることが出来ます。


呼吸には「胸式呼吸」と「腹式呼吸」の2種類あります。

試しに今、息を吸い込んでみてください。


どこが膨らみましたか?胸が膨らんだ、という方が多いのではないでしょうか。

無意識だと、肺上部に酸素が入る胸式呼吸を行っています。

副交感神経を優位にさせるためには、肺全体、特に横隔膜を大きく動かす腹式呼吸を行うことがポイントになります。

腹圧をかけるよう、大きく吸って、大きく吐きましょう。

 



先ほど説明したとおり、ストレスを認知すると、脳内の扁桃体と呼ばれる部分が視床下部に指令を出し、自律神経を働かせます。

実験によって、瞑想を続けると脳構造が変化し、この扁桃体の反応が鈍くなることが明らかになっています。

つまり、ストレスに対して脳が強くなり、過剰に視床下部に指令が行かず、交感神経をやたらと働かせることが無くなるということです。

詳しい内容が知りたい方はこちらの記事をご確認ください。

 

自律神経を整える瞑想のやり方

日中にオススメ、バランス呼吸瞑想

日中、交感神経が働きすぎると、イライラしてしまいます。

理想はふたつの神経が同じくらい活発になっている状態です。

よくスポーツ選手などが、「ゾーンに入った」と言うことがありますよね。

これは、集中していて、それでいてリラックスしている状態を表します。

1番実力が発揮でき、パフォーマンス効果が高い状態と言えるでしょう。

この状態を作るための、バランス呼吸瞑想法をお伝えします。

 

1.

肩の力を抜き、楽な姿勢で座ります。

ポイントは腰を立てること。

背筋を伸ばそうと意識しすぎると、「反り腰」状態になってしまいます。

お尻の左右についている骨、坐骨で体を支えるようなイメージで座りましょう。

 

2.

鼻から5~6秒かけて息を吸います。

おへその少し下、「丹田」と呼ばれる部分に酸素を入れるようなイメージで腹式呼吸をしましょう。

 

3.

口から5~6秒かけて息を吐きます。

口を少し尖らせ、「ふーっ」と吐きましょう。

お腹がペタンコになるまで全部吐ききります。

 

2と3を繰り返しましょう。

5分を目安に行ってみてください。

同じ時間吸って、吐いて、を繰り返すことで両方の神経を活性化させます。

呼吸の最中は意識を丹田に向け続け集中しましょう。

おなかが膨らんだりへこんだりするのを感じます。

眠る前にオススメ、イメージ瞑想

日中のストレスを忘れ、ぐっすりと眠りたいですよね。

夜は副交感神経を優位にさせ、寝つきを良くさせましょう。

通常の呼吸瞑想に、イメージを加えたイメージ瞑想をお伝えします。

 

1.

布団やベッドの上で仰向けになります。

息を吸いながら手と足で体を引っ張り合うように大きく伸びをしましょう。

ふぅ、と口から息を吐きながら全身脱力させます。

 

2.

目を閉じ、鼻呼吸に切り替えましょう。ゆっくりと呼吸をします。

お腹が膨らんだりへこんだりする様子を観察します。

 

3.

海にぽかーんと浮かんでいる自分の姿を想像しましょう。

自分の呼吸のリズムに合わせて波がゆらゆらと揺れています。

ゆっくりと呼吸をすると、波も穏やかにあなたの体を揺らします。

自分にとって心地の良いリズムで呼吸を続けましょう。

体の力を抜けば抜くほど、波の揺れを感じやすくなります。

 

瞑想の最中に、そのまま寝落ちしてしまうかもしれません。

リラックス効果抜群なのでぜひ試してみてください。

 

自立神経を整えるために使えるオススメ音声



フランスの耳鼻咽喉科医であったアルフレッド・A・トマティス博士は音の周波数と人間の脳脊髄の位置の間には、直接的な因果関係があるというトマティス理論を発表しました。

交感神経を優位にするには、胸椎や腰椎を刺激する、約250~2000ヘルツの音が、
副交感神経を優位にするには、延髄を刺激する、約4000ヘルツ以上の高音が良いそうです。

また、焚き火の音など、一定ではない「揺らぎ音」も副交感神経を優位にさせることがわかっています。

(参考サイト:https://academy.doctorbook.jp/columns/USEN_bgm2#

以上を踏まえ、ユーチューブで聞ける、自律神経を整える音声を2つ選びました。


オススメ音声その①川のせせらぎ


オススメ音声その②バッハ ピアノ演奏(グレン・グールド演奏)

 

 

まとめ

最新の研究では、年齢を重ねると副交感神経の働きが悪くなることが分かっているそうです。

ストレス社会で生きる私たちは、どうしても交感神経が優位になってしまいます。

 

これからは積極的に深呼吸を行い、副交感神経を優位にさせていきましょう。

 

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ぜひ試してみてください。

※本記事の内容は、執筆当時の学術論文などの情報から暫定的に解釈したものであり、特定の事実や効果を保証するものではありません。