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血圧とは
私たちの心臓は、脳や筋肉に酸素や栄養素を送るために圧力をかけて血液を送り出しています。
この圧力を血圧とよびます。
運動や環境の変化によって、常に血圧は上下しており、一時的な血圧上昇は誰でも起こりえることです。
しかし、安静な状態であっても、慢性的に血圧が高い状態が続いた場合は、「高血圧」と診断されます。
血圧が上がるのはなぜ?
実は、高血圧を起こしてしまう根本的な原因は明確になっていません。
影響していると考えられる要因として、以下のような点が挙げられています。
・遺伝
・過度な飲酒
・肥満
・運動不足
・疲労
・老化
・塩分過多の食事
・ストレス
複数の原因が絡みあっていることも考えられます。
この記事ではストレス性高血圧に注目して詳しく解説しましょう。
血圧とストレスの関係
血圧と自律神経はとても深く関係しています。
自律神経には、交感神経と副交感神経の2種類あります。
交感神経は緊張した状態、副交感神経はリラックスした状態の時に優位になります。
緊張状態の時は、交感神経が優位になり、血管が収縮して血圧が上がります。
逆にリラックスしている時は、血管が拡張して血圧が下がります。
ストレスを受けると交感神経の働きで血管が収縮し、血圧が上昇する…従来は、簡単にそう説明されてきました。しかし、最近ではより科学的なメカニズムがわかってきています。
ストレス(とくに心理的なストレス)を受けると、脳(視床下部や脳下垂体)から副腎ホルモンが分泌されます。その刺激を受け、副腎からアドレナリン、神経末端からはノルアドレナリンが分泌されます。
アドレナリンは、興奮したときなどに多く分泌される物質で、心拍数を高めます。
また、ノルアドレナリンは交感神経を刺激し、血管を収縮させます。
こうした一連の作用は、ストレスに対抗するための防御反応なのですが、結果として血圧を上昇させることにつながります。
一方、私たちのからだではストレスによる緊張を和らげるため、副腎ホルモンを分解する酵素(アミノ酸化酵素)が分泌されます。
副腎ホルモンが分泌したり、酵素によって分解されたりする過程で、体内には活性酸素が多く発生します。
活性酸素は細胞を変質させ、がんや動脈硬化などの病気を発生させることが知られています。
最近の研究から、活性酸素によって私たちのからだが受ける酸化ストレスも、高血圧の要因であることが指摘されています。
引用:オムロンHP
高血圧が続くことによる健康被害
・脳卒中
脳梗塞、脳出血、くも膜下出血など
高血圧によって最もリスクが高くなるのが、脳卒中です。
脳卒中は命が助かっても、運動障害や言語障害が残りやすく、長期のリハビリが必要となることも少なくありません。
・心筋梗塞、狭心症など
高血圧は、心疾患のリスクも高めます。
特に、男性の場合は影響が大きく、心筋梗塞や狭心症の危険度が増します。
・慢性腎臓病
血圧が高いと腎臓にも大きな負担がかかり、血液中の過剰な塩分などの排泄がうまくいかず、さらに血圧が上昇する悪循環を起こしやすくなります。
慢性腎臓病を起こすと、脳卒中や心筋梗塞による死亡率も高くなることがわかっています。
瞑想で血圧が下がるメカニズム
もちろんお薬を使って血圧を下げる方法もありますが、薬は根本的解決にはなりません。
その証拠に薬をやめてしまえば、またすぐに高い血圧へと、戻ってしまいます。
そこで、治療に取り入れてもらいたいのが瞑想です。
瞑想が高血圧に効果があるというエビデンスは数多くあります。
最新の研究をご紹介しましょう。
2020年9月15日付けの「American Journal of Cardiology」に掲載された論文です。
マイケル・E・ドゥベーキー退役軍人省医療センター、ベイラー医科大学、マウントサイナイ医科大学のチャヤクリット・クリッタナウォン医師らは、健康に関する様々な項目を調べた国民調査である全国健康インタビュー調査 (National Health Interview Survey) のデータを用いて瞑想と健康状態の関連性を検討しました。
研究者らは、瞑想を行っている人々では行っていない人に比べ、
高コレステロール血症、高血圧、糖尿病、脳卒中、冠動脈疾患の罹患率が低いことを明らかにしました。
このうち、最も差が大きかったのは冠動脈疾患で、瞑想実施者では非実施者の51%の罹患率でした。
瞑想によるリスク低下効果は、年齢、性、喫煙歴、BMIなどの心血管疾患に関連する交絡因子を調整し、解析しても、有効であると認められました。
クリッタナウォン医師は「瞑想は我々に落ち着き、平和、ストレス緩和の感覚を与え、感情的に良好な状態をもたらすと確信している。」と説明しています。
瞑想を行うことによって、ストレスが緩和され、精神的な健康状態を改善することがわかりました。
その結果、血圧が下がることを示唆しています。
また、長期的に瞑想を行うことにより、脳がストレスに対して強い構造に変化することも、別の実験で明らかになっています。興味がある方はこちらの記事をご覧ください。
血圧を下げる効果のある瞑想のやり方
ヨガと瞑想を組み合わせることで、より血圧を下げることが実験によって認められています。
そこでオススメなのが、「マインドフルネスヨガ」です。
通常のヨガよりもポーズの難易度を低くし、気持ちよく、ゆっくりと身体をほぐした後、深い瞑想へと入っていきます。
ヨガのポイントは、ポーズをとっている最中、心と身体に意識を向け続けることです。
「気持ちがいい」や「ちょっとつらいな」
そのような気持ちを、善悪の判断なく、そのまま受け入れましょう。
そして、どこがどんな風に伸びているのか、常に観察を続けましょう。
また、呼吸がとても大切です。
息を止めないように、吸って吐いてのリズムに合わせながら動きましょう。
できれば、腹式呼吸を意識してみてください。
今回は、布団の上でも実践できる、マインドフルネスヨガをお伝えします。
・伸び猫のポーズ
背骨をグーンと気持ちよく伸ばすことができるポーズです。
①四つんばいになります。
②膝の位置は変えず、手の位置を20センチほど前に付き直します。
③大きく息を吸い、吐きながら脇の下や胸を、マットに近づけていきます。(胴体をマットに沈める)
④気持ちがいいところで動きを止め、そのまま5呼吸ほど行いましょう。
ゆらゆらと揺れてもよいでしょう。
気持ちよさを優先させます。
⑤最後、息を全部吐ききったら、ゆっくりとかかとにお尻を乗せ、正座に戻ります。
・前屈のポーズ
脚全体を気持ちよく伸ばすことができるポーズです。
①両足を伸ばし、揃えます。
②アキレス腱を伸ばすために、足先は天井へと向けておきましょう。
この時点で痛みがある場合は、膝を緩めておきます。
③息を吸って背筋を伸ばします。吐きながら、おへそを脚にくっつけるようなイメージで、上体を倒しましょう。
④脚の伸びが感じられるところで動きを止め、5~10呼吸繰り返します。
前屈系のポーズは力を抜けば抜くほど、深まっていきます。
歯を食いしばったりしていませんか?余分な力は全部抜きましょう。
⑤最後、息を吐ききったらゆっくりと戻ります。
・手足ぶらぶら体操
ゴキブリのように仰向けに寝転がり手足をぶらぶらさせる体操です。血圧に効果があるといわれています。
①仰向けになり手足を天井に向けて、持ち上げます。
②そのままぶらぶらとゆすりましょう。30秒からスタートし、辛くなければ、もう30秒増やします。
③最後、ゆっくりと仰向けになり、手足の余韻を感じましょう。
・瞑想を行います。
あぐら、もしくは結跏趺坐で座ります。
肩の力を抜いて膝の上に手の甲を置きます。
まずヨガで緩まった身体を感じましょう。
そのままゆっくりと腹式呼吸を行い、お腹が膨らんだりへこんだりする様子を追いかけます。
「吸って、吐いて」と心の中で唱えても良いでしょう。
途中考え事をしていることに気が付いたら、「考え事をしている」と心の中でつぶやき、また呼吸に戻るのを繰り返します。
5分ほどを目安に行ってみてください。
最後に大きく深呼吸をし、大きく首回しを一周ずつ行います。
マインドフルネス瞑想法について、もっと詳しいことが知りたい方はこちらをご覧ください。
まとめ
すでに薬による治療を行っている人も多いかもしれませんが、同時に生活習慣の見直しを行うことで、高血圧の悪化予防に役立ちます。
睡眠の質を高め、適度な運動を行い、暴飲暴食や塩分の少ない食事を心がけましょう。
その為にもやはり、ストレスをためないことが一番大切ですよね。
ヨガを行う時間がないときは、Relookのアプリによる誘導瞑想がおすすめです。
毎日瞑想を行い、1日の疲れをリフレッシュさせましょう。
※本記事の内容は、執筆当時の学術論文などの情報から暫定的に解釈したものであり、特定の事実や効果を保証するものではありません。