瞑想に様々な効果があると聞いて、あなたはどのくらい信用できますか?
瞑想には集中力の向上や幸福感アップなど数多くの効果があることが知られています。
さらにそれらの効果は科学的に実証されているものがほとんどです。
ではそうした効果がなぜ得られるのか、その仕組みはご存知でしょうか?
この記事では瞑想の効果をもっと信用するために、瞑想の効果の仕組みを解説していきます。
目次
瞑想と脳の繋がりとは?
まず重要なポイントとして、瞑想の効果は脳の変化を通して得られます。
集中力や幸福感の向上など、瞑想の効果はどれも精神的なもので脳が関わるものだということです。
またその効果は即効性のものと遅効性のものがあります。
例えば瞑想の直後はスッキリした気分になることもありますが、もちろんそれはごく短期的な効果です。
せいぜい寝るまでその気分が続く程度のものでしょう。
それに対して、瞑想を長く続けて得られる効果は長期的なものです。
先ほど挙げた集中力の向上などは、1回の瞑想で得られるものではありませんが、その分長期間持続します。
オーストラリアのラ・トローブ大学の研究によれば、10日間の瞑想で得られた精神的な効果は瞑想をやめてから半年間ほど持続しました。
こうした特徴は筋トレによく似ています。
筋トレの場合も、直後に得られる代謝アップなどの短期的な効果と、筋肉量の増加などの長期的な効果がありますよね。
その意味で、瞑想は脳の筋トレだと言えるでしょう。
瞑想の効果とそれらに関連する脳科学
では具体的にどんな脳の変化で瞑想は効果を発揮するのでしょうか?
瞑想は種類によってその効果が違うため、瞑想の種類ごとに解説していきます。
脳の変化をどう測定しているのか?
瞑想の効果の仕組みについてお話する前に、まずどうやって瞑想が脳に与えている変化を測定しているのかを軽くご説明します。
脳の変化を測るには、脳の活動の測定がよく使われます。
その方法には主に2つあって、一つが脳の血流を測る機能的MRI (fMRI)で、もう一つが脳表面の電気的な活動を測る脳電図 (EEG)または脳磁図 (MEG)です。
前者のfMRIでは、脳の深いところなども測れる一方で、被験者がトンネル状の装置に頭を突っ込まないといけないのと騒音がかなり大きいので瞑想には不向きな環境となってしまいます。
それと対照的にEEGやMEGでは脳の頭の上にセンサーを貼るという比較的簡単な計測法になるため瞑想と両立しやすいのですが、多くの場合で脳の表面の大まかな活動しかわからないという欠点があります。
ちなみに、よく聞く“脳波”はこのEEGやMEGで測定できる脳の周期的な活動ですので、脳波と聞いたらEEGやMEGで測定したんだなとわかります。
脳活動の測定法はこの辺にしておいて、実際の瞑想の効果についてみていきましょう!
サマタ瞑想・ヴィパッサナー瞑想の効果の仕組み
まずサマタ瞑想・ヴィパッサナー瞑想という2つの瞑想についてご紹介します。
サマタ瞑想は1つのものに意識を集中する瞑想法で、呼吸に集中するやり方が一般的です。
またヴィパッサナー瞑想は心身の状態をスキャンするような瞑想法で、いろんなことに意識を移動させます。
この2つの瞑想法にはいくつか共通の効果がありますが、その中で今回は集中力の向上について仕組みを解説します。
コロンビア大学の研究によれば、瞑想の熟練者と初心者の脳の活動を比較したところ瞑想の熟練者は注意散漫と関連する脳の活動が少ない傾向がみられました。
具体的には前帯状皮質や中前頭回などの活動の低下が見られたんですね。
瞑想によって集中力が向上することはこうした脳科学的な背景や他の多くの研究からも明らかになっています。
慈悲の瞑想の効果の仕組み
続いて慈悲の瞑想という瞑想について、その効果の仕組みを解説します。
慈悲の瞑想とは、あらゆる生き物を慈しむ心を得ようとする瞑想法になります。
もう少し具体的に言うと、自分の幸せを祈ることから始めて、次第にあらゆる生き物への祈りに広げていく瞑想法です。
慈悲の瞑想の効果として、共感性が高まったり感情のコントロールが上手くなったりすることが知られています。
その脳科学的な仕組みに関してウィスコンシン大学の研究によると、慈悲の瞑想を習慣化している人は初心者と比べて、不快な音を聞いた時に島皮質という脳部位の活動が強い傾向がありました。
島皮質は大脳辺縁系との関連も深く、感情のコントロールに関与する脳部位です。
こうした感情に関わる脳部位の活動の変化を見ると、慈悲の瞑想の効果が出ていることがわかりますね。
またプリンストン大学の研究によると、慈悲の瞑想ではガンマ波という脳波が強くなることが知られています。
ガンマ波は脳内で色々な情報を統合する機能を持つと言われていますから、慈悲の瞑想を行うことで、自分の感情と他者の感情など様々な情報を関連づけて処理しているのかもしれません。
超越瞑想の効果の仕組み
また別の瞑想法として超越瞑想というものがあります。
超越瞑想は、マントラという意味を持たない言葉を繰り返すことによって、ゲシュタルト崩壊のような独特な感覚に浸る瞑想法です。
超越瞑想の効果としてリラックス効果が知られています。
その仕組みに関する科学的な知見をみてみましょう。
私たちの脳にはデフォルトモード・ネットワークという脳のネットワークがあり、これはボーっとしている時に活動するものです。
このデフォルトモード・ネットワークの活動が超越瞑想中に上昇することが長年の研究から知られています。
つまり超越瞑想中には脳科学的にもボーっとしている状態に近いと言えるでしょう。
その結果としてリラックス効果が得られていると考えられています。
瞑想と脳科学の関係についての書籍
最後にもっと瞑想の脳科学を知りたい方に向けて、参考になる本をご紹介します。
1. マインドフル・ワーク 「瞑想の脳科学」があなたの働き方を変える
この本は瞑想の基本に加えてその科学的な背景を簡単に紹介してくれています。
瞑想の導入本としても有名なので、初心者の方にオススメの本になります。
https://www.amazon.co.jp/dp/B00YJ6EIKO/ref=dp-kindle-redirect?_encoding=UTF8&btkr=1
2. 瞑想する脳科学
もう少し専門的な内容を知りたい方にはこちらの『瞑想する脳科学』をオススメします。
導入本を読み終えて、脳科学的な背景を深く知りたいと思った方はぜひ読んでみてください。
まとめ
この記事では、瞑想の効果をもたらす脳科学的な仕組みについて、瞑想の種類ごとにいくつかご紹介しました。
なかなか難しい話ですしまだまだ研究を進めていかないとハッキリしない内容も多いですが、今回ご紹介したお話、特に集中力アップの仕組みとリラックス効果の仕組みはかなり長い間研究されてきて信ぴょう性のある情報になっています。
こうした話にもっと興味のある方は、ぜひ最後にご紹介した本や、他の記事などを読んでみてください。
どんどん瞑想に対する理解が深まっていくはずです。
※本記事の内容は、執筆当時の学術論文などの情報から暫定的に解釈したものであり、特定の事実や効果を保証するものではありません。