一番オススメの瞑想のやり方


結論から言います。一番オススメの瞑想法は「やった後に気持ちがいいと感じる方法」です。

なぜなら、自分にとって気持ちがいいことは、習慣として続けやすいから。


え、そんな理由なの?と思ったかもしれませんね。 

でも、習慣として定着しなければ、瞑想を続けられず、効果を実感することが難しくなります。

今日から頑張ろう!明日から頑張ろう!そんな決意が、三日坊主で終わった経験はありませんか?

ランニング、筋トレ、読書、英会話、ダイエット、禁煙、などなど。


これらが続けられない原因の多くは、習慣として生活に定着できなかったところにあります。
新しく何かをする、ということは、これまでの何かを一部やめる、ということでもあるのです。

早朝にランニングをするのであれば、その分、何かをする時間を削らなくてはなりません。

朝の睡眠時間、テレビや新聞を見る時間、朝ごはんの時間・・・

いや、就寝時間を早めるために、夜の生活習慣から見直しましょうか。

動画を見ずに、ゲームをせずに、SNSをチェックせずに、早く眠るべきかもしれません。

以上を認識できていないと、ランニングを始めても、長く続きません。

ランニングをする時間が作れず、続けることが辛くなるからです。

新しいことを続けるためには、1日24時間の過ごし方を振り返り、デザインし直す必要があります。


そして、あなたにとって楽な方法を見つける必要があります。

できるだけ我慢をしなくてもいいタイミングで、瞑想に取り組んでください。



瞑想を習慣にすれば、あなたは日々の暮らしが今までよりも快適に感じられるはずです。


今回は、数多くある瞑想の方法を幅広くご紹介しますので、いろいろ試しながら、あなたにピッタリの方法を見つけてください。

こう聞くと、「どれから手をつけていいか分からない!」と迷ってしまうかもしれません。でも、大丈夫。

基本を中心に、日常生活に取り入れやすい方法を多く紹介します。興味が湧いたものから気軽に試してみてください。


瞑想とは


世界的な一流企業や著名人が実践していることで、すっかり知名度が上がった瞑想

しかし、日本ではいまだに「座禅を組み、居眠りしたら棒で肩をたたかれるもの」というイメージが強いのではないでしょうか。


そもそも瞑想とは「今の自分にただ、気が付いている状態」を目指す行為のことを言います。

ただ気が付く、とは、どのような意味なのでしょうか。

鎌倉一法庵の住職である山下良道氏は、このように説明します。


私たちが常に、評価、好き嫌い、とらわれでできた映画の世界を生きていることを自覚したうえで、その映画の世界から外に出ること。(中略)私たちは映画を出たところから、すべてをマインドフルに観るのです。

(出典:集英社 「マインドフルネス×禅」であなたの雑念はすっきり消える 山下良道著)


つまり、思い込みや色眼鏡で物事を判断している自分から脱却するという意味です。


主観の世界では、私たちは、怒ったり、悲しんだりします。そういう気持ちがなぜ起こるかと言えば、何かを期待しているのに、その通りにならない。期待が裏切られしまったと判断するからです。

やさしくして欲しいのに、冷たくされて悲しい。酷いことをされて、腹が立つ。

・・・やさしくして欲しいと望むのも、冷たくされたと判断するのも、すべて自分自身ですよね。

このように、「期待」や「裏切り」は、勝手な思い込み、主観から生まれるものなのです。

その結果、様々な出来事に対して、感情が揺れ動いてしまう。


このことを前提に、感情や判断、思い込みを、一歩引いたところから冷静に見つめ、主観で物事を観ていることに気が付くこと。それが瞑想の目的です。


瞑想とマインドフルネスとは


マインドフルネスとは、「今、ここ」に全ての意識が向いている状態のことです。

そして、その状態を目指す手段が瞑想であり、かつては宗教的な営みと考えられていました。

しかし、マインドフルネスは仏教に特別な信仰心や関心がなくても、問題なく瞑想に取り組めます。近年は、そのような認識が定着しました。

その証拠に、iPhoneの標準アプリである「ヘルスケア」には、「マインドフルネス」が実装されています。

それほどまでに、「今、ここ」に意識を集中させる行為は、当たり前のものになったのです。


私たちの思考は、過去と未来を行き来しています。「今、ここ」にとどまっていること時間はほとんどありません。


仕事をしながら、「週末にケーキでも食べに行こうかな」と考えたり、

ケーキを食べながら、過去に起こした職場でのミスを思い出したり、

友達とおしゃべりをしながら、職場の同僚にLINEしたり


目の前にある仕事もケーキも友達もそっちのけで、いつも心はどこかをさまよっています。

仕事の休憩時間やせっかくの休日の間も、ずっとこの調子。眠りにつく直前でも、思考は止まりません。


「どうしてあの時あんなことを言ってしまったんだろう」

「来週までにこの仕事、終わるだろうか」

このように、過ぎたことを後悔し、まだ来ないことを不安に思っています。


あなたにも心当たりがありますよね?
では、実際にどのくらい「今、ここ」を留守にしているのでしょうか?


ハーバード大学のマット・キリングワースとダン・ギルバートの調査によると、

活動時間の平均47%は、気が散っている状態にあるようです。

調査の概要を説明します。

「trackyourhappiness.org」というサイトを立ち上げ、iphoneを使い、80を超える国々、15,000人を超える人びとから、いま何をしているのか、いま何を考えているのか、いまどらくらい幸せかということについて、65万を超えるリアルタイムのデータを集めました。


分析の結果、今していることと、考えていることが一致しない「注意散漫」の割合は47%となりました。


また何をしていようと、「注意散漫」の場合は幸福度が低くなることが分かりました。

つまり、考え事の内容が楽しいものでも、楽しくないものでも、考え事をしていない状態と比較すると、幸福度は低くなったのです。

私たちは目を覚ましている時間の半分を「今、ここ」にない状態で過ごし、その結果、不幸になっている可能性があるということがわかりました。

マット・キリングワースは「幸せになりたい? 目の前のことに集中しましょう」と主張します。

https://www.ted.com/talks/matt_killingsworth_want_to_be_happier_stay_in_the_moment/transcript?language=ja


目の前のことに集中するために、厳しい修行を積んだり、禅寺へ行ったりする必要はありません。
なぜなら瞑想は今すぐに実践することが可能であるからです。


瞑想の効果


瞑想で得られる代表的な効果を5つ紹介します。

 
 ○自分の気持ちをコントロールできる

喜怒哀楽、人に感情があるのは当たり前です。 それがなくなってしまう、というわけではありません。

感情の波に飲み込まれないようになるのが瞑想の効果です。
感情の波に飲み込まれる、とはまるでジェットコースターに乗っているようなもの。
毎日のようにジェットコースターに乗っていては、ぐったりと疲れてしまいますよね。

悲しいならその悲しみを、嬉しいのであればその喜びを、少し距離をとって眺めることで感情と自分の間に距離が生まれます。

それによりいつでもフラットなあなたでいられるのです。

○コミュニケーション能力の向上

コミュニケーション能力が高いとは、人と繋がる能力が高いことをいいます。そして、うまく繋がるためには、ある程度の自己肯定を保つことが必要です。そうでないと、相手との摩擦を恐れ、避けようとする行動をとってしまいます。

このような行動は、結果的にあなたも相手も不幸にしてしまいます。なぜならどちらかが我慢をする関係には、いつかズレが生まれてしまうからです。そのような事態を招かないための手段が円滑なコミュニケーションであり、その土台として自己肯定がとっても大切です。

瞑想は、ありのままの自分を受け入れるところから始まります。今の自分をそのまま受け止めることにより自己肯定があがり、自信を持って相手に接することができます。また、自己肯定が上がると他者への思いやりが高まることがわかっています。


 ストレス軽減

瞑想はストレスに効果的、という研究結果が報告されています。
ドイツのマックス・プランク研究所の研究チームは、3つの瞑想トレーニングプログラムを1日30分で週6回、3カ月以上実践した参加者の脳活動を詳しく調べところ、別名“ストレスホルモン”と呼ばれるコルチゾールの分泌を最大で51%抑制し、ストレスを低減していることが確認されています。

瞑想訓練を受けている人々は、人間関係のクオリティと協調性を向上させることができるだけでなく、脳神経接続の構造が変化し、ストレスレベルが減少する効果があることがわかっています。

https://advances.sciencemag.org/content/3/10/e1700489

○集中力の向上

集中しようと思っても、次々と雑念が頭の中に浮かんでしまい、集中できない。あなたも経験あるでしょう。
自分には集中力が足りないのではないかと感じていませんか?

しかし、異常なことではありません。人間は脳の構造上 “集中しにくいようになっている” のです。つまり、雑念まみれなのが普通なのです。

瞑想は この雑念を打ち消し、脳を活性化させてくれます。また瞑想中の集中力を高めてくれるだけではなく、雑念にまみれにくい脳へ構造を変えることができるのです。



○記憶や判断力の向上

仕事中や誰かとコミュニケーションをとっている時、記憶の貯蔵庫である海馬が常に働き、そこからの伝達により前頭前野が物事の判断をします。

米マサチューセッツ州の生体医学イメージングのマルティノス・センターとハーバード大学医学部で行った実験の結果、瞑想を実践する人は、しない人よりも、気を散らすものを遮断し、生産性を向上させる脳波(シータ波)を調整する力があることを発見しています。

その脳波が発生する場所が海馬なのです。つまり瞑想によって海馬が活性化されθ(シータ)波を発生。それにより記憶力がアップするということがいえるのです。

https://psychcentral.com/news/2013/06/23/meditations-effects-on-emotion-shown-to-persist/56372.html




つまり、感情のコントロールから始まり、記憶力や判断力の向上までもが瞑想の効果として期待できます。

 

感情に左右されないと他人とうまく繋がることができる。

他人とうまく繋がることができるとストレスが減る。

ストレスが減れば雑念もなくなり集中力が上がる。

集中力が上がることによって記憶力が上がる。

記憶力が上がり、自分にとって良い判断ができるようになる。

 

そして、良い判断が、あなたの感情にとってより良い結果を生む、より気持ちをコントロールしやすくなっていく。そんな好循環が期待できます。


この循環を繰り返すほど、効果が相互作用により高まっていくでしょう。

 

瞑想を習慣化しよう


好循環を感じれば感じるほど、私たちは瞑想を生活に積極的に取り入れます。
このような積み重ねが、習慣です。


ニューヨーク・タイムズ記者はチャールズ・デュヒッグ氏によれば、私たちの習慣は、


①きっかけ、②欲求、③反応、④報酬


この4ステップから成り立っています。


これを瞑想に応用すると、例えば、

①仕事でミスをする ②冷静になりたい ③トイレで瞑想をする ④冷静になりたいという欲求が満たされる


結果的に、仕事でミスをすることと、トイレで瞑想をすることが結びつくようになります。


そうなると、仕事でミスをしても、感情的にならなくて済む機会が増えるようになります。自分の感情をコントロールできるので、破壊的なコミュニケーション(同僚にイライラをぶつける、など)をとることが少なくなるので、自然と職場でのストレスが減ります。

悩みが少なければ、仕事に集中でき、良い判断がしやすくなり・・・とこのように成功体験が積み重なっていくことで、瞑想をする習慣が強化され、雪だるま式に効果が高まっていくということです。

(参考文献:講談社 チャールズ・デュヒッグ著 習慣の力)


また、習慣化した瞑想は、脳の構造を変化させることがわかっています。


これを裏付ける2003年マサチューセッチュ工科大学名誉教授ジョン・カバット・ジンとウィスコンシン大学のリチャード・デビットソンが行った研究を紹介します。


健康だがストレスを感じる労働者に、8週間のマインドフルネス・ストレス低減法(MBSR)を実施し、その効果を検証しました。その結果、瞑想を実践した人々は、MBSRを実施しなかった対象グループと比べ、右の前頭前葉よりも、感情の表出と関係する左の前頭前葉の活動に増加が見られました。

つまり、瞑想をした人たちは、そうでない人たちよりも、不安や落ち込みといった感情に上手く対処しており、いわゆる「心の知能指数(EQ)」が高くなったことが示唆されました。

さらに同じ実験において、インフルエンザの予防接種を実施したところ、瞑想をしたグループのほうが、免疫系における抗体反応がより強くなることもわかりました。

(参考:北大路書房 マインドフルネス ストレス低減法 J・カバットジン著)


このように瞑想を行うことによって広い範囲でのポジティブな変化が期待できることがわかります。

しかもそれは瞑想を行っている間だけでなく、脳を変化させ長期的にポジティブな変化が続くことが証明されているのです。


心の知能指数(EQ)とは


瞑想の効果で触れた、EQという言葉。
あなたはご存知でしたでしょうか。


自分の気持ちを自覚し、コントロールする能力はEQ(こころの知能指数)といいます。

IQとはちがい、私たちの幸せに大きく影響しています。

EQを提唱してきた心理学者のダニエル・ゴールマンは、次のように述べています。


IQが同じでも人生に成功する人とつまずく人がでてくるのは、EQに差があるからだ。私たちが知能をはじめとするさまざまな能力をどこまで活用できるか決めてしまうという意味で、EQは「メタ能力」と呼ぶべき能力だ。

(出典:講談社 EQこころの知能指数 ダニエル・ゴールマン著)


心の能力(感情や心の有り様)は生まれつきの才能ではなく、学んで身につけることができるといいます。
そして大人になってからも鍛えることができるということがわかっています。


EQの能力を伸ばすとどのようなメリットがあるのでしょうか。自己認識の研究で有名な組織心理学者のターシャ・ユーリックは、このように主張しています。


自分自身のことや、他人からどう見られているかを理解している人間の方が幸福度が高いという確固たる科学的証拠がある。そういう人びとのほうが賢明な判断をする。公私ともにより良い関係を築く。より成熟した子供を育てる。頭が良く、成績も上位で、より良いキャリアを選んでいく。(中略)現在の世界における成功にとってきわめて重要な各種の力-心の知能指数、共感力、影響力、説得力、コミュニケーション力、強調力など-は、すべて自己認識がもとになっている。

(出典:英治出版  insight(インサイト)――いまの自分を正しく知り、仕事と人生を劇的に変える自己認識の力
 ターシャ・ユーリック著)


つまり、EQを鍛えることにより、自分にとって適切な選択をすることができ、さらには他人との関係を築くのがスムーズに行くようになるということです。


このEQを伸ばす為に必要なのがまず、注意力を鍛えることです。

注意を統制する能力を伸ばせば、感情に翻弄されることなくその感情を客観的に、はっきりと眺めることができるようになります。

例えば、職場であなたの後輩がありえないミスをしたとき、カッとなり反射的に舌打ちをしてしまったり、感情的に大声を出してしまったり、なんてことがあるかもしれません。
もしくはパートナーとの喧嘩で物を投げる、というパターンもあるでしょう。

しかし、注意力を高めれば、その「反射的」な行動を起こす前に自分の感情に気がつくことができ、少しの間を置くことができるようになるのです。この注意力を鍛える方法が「マインドフルネス瞑想」です。

 

瞑想で効果を実感するコツ


瞑想のコツは、頑張り過ぎないことです。

ここには、2つの意味があります。
1つは、瞑想中に力み過ぎないと。もう1つが、瞑想を気合いで続けようとしないことです。


瞑想中の姿勢、呼吸について、「こうしたほうがいい」というセオリーがあります。
しかし、「そのとおりにしよう」と意識しすぎないようにしましょう。かえってうまくいかないのです。背筋を伸ばそうとすると、度が過ぎて背中が反れてしまうことがあります。

そうした頑張りが、体に不要な力みと緊張感をもたらし、「全然心地よくないな」という気持ちにさせてしまいます。そして、知らず知らずのうちに、歯をかみ締めてしまうかもしれません。

マインドフルネスとは、集中力とリラクゼーションがともに高まる状態です。

セオリーは、先人たちが「これが一番リラックスできるぞ」と思ったオススメの方法というだけで、あなたが我慢をして従うべきものではないのです。セオリーを参考にしつつ、あなたが瞑想しやすくなることを最優先にしてください。


続いて、瞑想を気合いで続けようとしないことについて。瞑想に効果があると分かれば、その効果を早く実感したいと思うのが人間です。

しかし、その効果を得るために気合いで頑張ろうとすると、効果を実感するまで続けられなくなるかもしれません。

なぜなら、すぐには効果が出ないからです。


その点は、筋トレやダイエットと共通しています。腹筋を割る、体重を減らすという目標を立てたとして、それが実現するのはいつでしょうか?しかも、最初のうちはトレーニングが辛く思える。更に「なぜか体重が増えた!」という日があるかもしれません。それでも続けるうちにジワジワと効果を実感できるようになるのです。


そのためには、続けるのが辛くなるような努力はしないこと。

頑張らなくても、気合いを入れなくても自然にできる。
歯磨きのように、あなたの生活に落とし込む。短い時間でも欠かさずにできるようなタイミングと方法を考えながら、記事をお読みください。


瞑想に過度な期待を抱くと、瞑想中に雑念がわいた自分を責めたり、瞑想の効果を感じられなくてガッカリしたり・・・と思い込みにドップリとはまった状態になってしまいます。

効果を実感するためには、頑張らない。効果を期待しない。

トンチのような、哲学のような、不思議な話ですね。


頑張らない瞑想を目指しましょう。


基本的な瞑想法


瞑想の基本、それは「調身」「調息」「調心」です。

簡単に言うと、身体・呼吸を整えコントロールし、それらを通して心にアプローチをしていきましょう、という意味で、瞑想状態に入るためにとても重要なポイントになります。

自分の感情を認識し、受け入れることによって自分を客観的に見ることができます。


基本的な瞑想のやり方① 座る瞑想


イスや床など座って行ういつでもどこでもできる呼吸瞑想のやり方です。


やり方


1.姿勢を整える

床に胡坐をかく、もしくはイスに浅く腰掛け、背筋を気持ちよく伸ばし座ります。

ポイントは、「背筋を伸ばそう!」と意気込みすぎないことです。

筋肉が緩み、骨で身体を支えているような感覚で座りましょう。余分な力は抜きます。

富士山になったつもりで堂々と腰掛けてください。


2.息を整える

大きく深呼吸をしましょう。鼻から大きく吸って、口から細く長く吐き出します。

次は、自然に呼吸します。

無理にゆったりとした呼吸をしなくても大丈夫です。

そして、呼吸に意識を向けましょう。
腹式呼吸を繰り返し、おなかが膨らんだり、しぼんだりする様子を追いかけます。

心の中で「膨らむ」「しぼむ」とつぶやきながら動きを観察すると集中しやすくなります。

 

3.心を整える

次々に浮かび上がる考え事によって呼吸に意識が向けられなくても、ただそれを認め、そして受け流しましょう。

まるで車が通り過ぎるのをただ見ている歩行者のように、ぼんやりとその考え事を受け流しましょう。

もし何か思い浮かんで気が逸れてしまっても、心の中で「考え事をした」とつぶやき、また呼吸に意識を戻します。


自分の中に起こる感覚・思考・感情を、1つ1つ言葉にしていきます。これをラベリングと言い、心の動きにラベルを貼ることで、その存在を自覚しやすくなります。
ポイントは、良し悪し・好き嫌いの評価を加えない、ということです。


例えば、昨日の料理を思い出したとします。

この時に「あの味付けは失敗だった」と評価すると、「次からは醤油を少なめにしておこう」という具合に思考が広がり、感情が生まれ、考え事にのめりこんでしまいます。

これを防ぐために、「吸う」「吐く」「雑念が浮かんだ」のように、単純な言葉でラベルを貼るようにしましょう。

そうすることで、考え事をしている自分に早く気が付き、考え事と距離をとる、つまり考え事に巻き込まれる事態を回避することができます。


基本的な瞑想のやり方② 寝たまま瞑想


布団の上など寝る前に行えるボディスキャンのやり方です。


やり方

1.基本姿勢を取る
あお向けになり、肩幅程度に足を広げ、自然な呼吸を行います。

そして、ゆっくり目を閉じます。

 
2.自分の体の重みを感じる
体が布団に触れている面に意識を向け、体の重みを感じます。


3.
頭のてっぺんから足先まで体中をスキャンしていく
頭皮を懐中電灯でゆっくりと照らすようなイメージで、観察していきます。

そして、「かゆい」「つっぱるような感じがする」などの感覚をそのまま受け止めます。


皮膚の感覚を観察し終えたら次は筋肉に意識を向けていきます。

力みや緊張感がありませんか?

この方法で、体の上から下へ、頭、顔、喉、肩、腕、胸、背中、お腹、腰、お尻、脚、

足の指先まで観察します。
CTスキャンで自分の体を精密に読み取るイメージで取り組んでみましょう。


4.「余分な力」を呼吸とともに吐き出す

筋肉に緊張感を感じたら、大きく息を口から吐き出し、余分な力を抜いていきます。

ふわっとやわらぐような感覚になるまで呼吸を繰り返しましょう。

 

以上が、ボディスキャンの基本です。慣れてきたら、意識する体のパーツをどんどん細かくしていきましょう。

例えば、顔というパーツを、鼻、右目、左目、くちびる、のように細かく分解するほど、集中度が上がっていきます。

実践中は、いろんな思考が浮かんできます。そのことに気が付いたら、体のパーツに意識を戻すようにしてください。

どんな感覚があるかを静かに観察しつつ、感覚や思考を、そのまま受け入れましょう。


基本的な瞑想のやり方③ 立ったまま瞑想


エレベーターを待つとき。電車を待つとき。エスカレーターに乗っているとき。

あなたは何をして過ごしていますか?日常で、ぼんやりと立って過ごしている時間は意外とあるものです。

そして、その僅かな時間に急いでやるべきこと、すぐに終えられることは、あまりありません。SNSのチェックをする程度でしょうか。

だとしたら、その時間を、立ったまま瞑想に使わない手はありませんね。


やり方

1.足を揃えてまっすぐ立ち上がり、右足・左足と肩幅程度に広げる。 
 
このとき心の中で「右足を広げる」「左足を広げる」とラベリングしましょう。

右足と左足に均等に体重が乗っているかよく観察します。


2.手を前か後ろの自分の好きなほうで組む。

「腕を運ぶ」とラベリングし、ゆっくりと両腕を前か後ろに持っていきます。
両手が重なったら「手を結ぶ」とラベリングし、指の感覚を味わいながら結びます。


3.背筋をのばす。

頭のてっぺんに糸が付いていて、誰かに上に引っ張ってもらうような感覚で背筋を伸ばします。
骨が上に伸びていく感覚を味わいましょう。


4.足の裏の感覚を感じながら実況中継

「立っています、感じています、立っています、感じています、…」

とまるで実況中継をするようにラベリングを繰り返していきます。


途中で気が散ってしまったら「雑念」とつぶやき、足の裏に意識を戻しましょう。

イライラなど感情に心が支配されてしまったら「感情」とつぶやき、また足の裏に意識を戻します。

時間がとれるときは、これを10分程度続けると効果的です。


瞑想のやり方〜応用〜① 歩く瞑想法


座って行う瞑想で得られる心の穏やかさを、日常に持ち込みやすいのが歩行瞑想です。

「歩く」という、日常生活の中で当たり前のように行っている行為に注意を向け、足の感覚を味わうことで集中力を養います。


やり方

まず、じっと立ちます。足が地面についている感覚、そして体重を支えている圧力を感じましょう。

次に、一歩踏み出してください。注意しながら片足を上げ、その足を前に進め、自分の前にしっかりと下ろし体重をその足に移します。今度はもう一方の足で同じことを繰り返します。

呼吸とあわせながら息を吸うときに足を上げ、動かすときと下ろすときに息を吐き出します。

もしくは「右足、左足」と踏み出す足を心の中で唱えるのもいいでしょう。

最初はゆっくりと歩かないと注意力が落ちてしまいますが、慣れてきたらどんなスピードでも行うことができます。


お手洗いへ行くついでや、家を出てから駅に付くまでの間など、どんなタイミングでも行うことが可能です。気持ちを切り替えたいときに試してみてください。


瞑想のやり方〜応用〜② 食べる瞑想法


「食」、それはおなかを満たすという目的だけでなく、娯楽や喜びといった側面もあり、私たちの生活に欠かせない行為ですね。

しかし、あなたには、食べるという行為を“味わう”機会がどれだけありますか?

食べながら、スマホを見たり、テレビを見たり、考え事をしたり・・・

「ながら作業」に心を奪われ、食事そのものを楽しめているのか、おなかがいっぱいになったのか、よく分からない。

そんな日も、あるかもしれません。

本来、食べることは体にも心にもハッピーなことなのに、それを見逃しているとしたら、なんとも不幸なことです。

そればかりか、食べ過ぎてしまい、気分が悪くなったり、体型が変わってしまったり・・・


そこで、ぜひ一度試して欲しいのが、食べる瞑想です。代表的な「レーズンエクササイズ」をご紹介しましょう。


やり方

1.レーズンを1粒用意します。苦手な場合は、粒チョコ、小さめの梅干しのように、香りや味がはっきりしていて、表面に凹凸が感じられる小粒の食べ物で代用しましょう。


2.まるで生まれてはじめてレーズンを見るような気持ちで、弾力や表面の形、色、光の反射具合、凹凸などをよく観察します。


3.親指と人差し指で挟み、鼻に近づけながら、匂いをかぎましょう。


4.口に含む。噛まずに舌の上で転がし、口の中でレーズンの質感を感じます。


5.ゆっくりと噛み、舌のどの部分で甘みを感じるか、丁寧に観察します。


6.ゆっくり飲み込みます。のどの奥から食道、胃へと移動していくことを感じましょう。


「もっと早く食べたい」、「もっとたくさん口にいれたい」といった感情が起こってきたら、そのような感情もありのままに観察します。


このように五感を刺激しながらじっくりと味わうことで意識を集中させ、瞑想状態に入りやすくなります。また、少量で心が満たされるため、食べ過ぎを防ぐ効果もあり、ダイエットの手段に使えます。



【コラム】ヨガと瞑想の違い



ヨガと瞑想はまったく同じだということを知っていましたか?

ヨガは動く瞑想と呼ばれています。それはなぜなのでしょうか。解説していきましょう。


ヨガ、と聞くと体をやわらかくしたり、ダイエットをしたりするために、マットの上でポーズ(アーサナ)をとる。そういうイメージが強いでしょう。

実際、そのような広告宣伝をしているヨガスタジオばかりですね。もちろん、体を動かせば気分がよくなります。それは間違いないのですが、ヨガの一面に過ぎません。ヨガの本質は別にあります。


◇ヨガの本質


ヨガは元々、「ヨーガ学派」とよばれるインド哲学の一派で、「ヨーガ・スートラ」という経典にすべての教えがまとまっています。


ヨーガ・スートラには、このように記されています。


「ヨガとは心の動きを静止させること」


心を止めるとは「今の自分にただ、気が付いている状態」を言います。

そう、ヨガの本質とはマインドフルネスだったのです。

つまりヨガも瞑想も、マインドフルネスを目指す手段だという点では同じものと考えられるのです。


様々なポーズは、身体を客観的に観察してコントロールすることを促し、それらを通じて心が安定するのを手助けしているのです。また、安定した座法を組むための練習とも言われています。つまり、動くヨガは瞑想状態へ向かう準備体操のようなものだったのですね。


◇ヨガ瞑想を体験しよう~シャバ・アーサナ~


ヨガのレッスンでは必ず最後に「シャバ・アーサナ」といって仰向けになる時間があります。

身体と思考を手放し、意識だけで自分を俯瞰することができるポーズです。


1 床に仰向けの状態で横になります。

 

2 両足を肩幅に広げ、手のひらを上に向け、わきの下にこぶし1個分程度のスペースを空けます。

 

3 全身の力を抜いてリラックスします。

 

4 目を閉じて腹式呼吸をし、自分の呼吸に意識を向けます。

 

5 呼吸から意識を放し、深いリラックス状態に入ります。

 

6 意識や感覚を、少しずつ体へ戻していきます。


身体の力をすべて抜き、重力を感じましょう。5分を目安にはじめてみてください。


◇まとめ


瞑想とヨガ、この2つに本質的な違いはありませんでした。

もしも体が硬くてヨガをすることに抵抗があるのであれば、ポーズの完成度にとらわれず、瞑想への準備として行ってみてはいかがでしょうか。

今、どこが伸びていて、どんな気持ちなのか。体と心に意識を向けてヨガに取り組んでみてください。



いまから実践できる瞑想のやり方~日常のマインドフルネス~

自分にやさしく


ここからは、毎日の習慣に取り入れやすい、簡単瞑想法を紹介していきます。


イライラしたときにおすすめ!1分瞑想法


あなたが最近イライラしたのはいつですか?どんな場面でしたか?意外と思い出せないかもしれません。
通勤時の渋滞や満員電車、職場でのトラブル、家族やパートナーからのなにげない一言。

そんな、ひとつひとつは些細な出来事なのに、イライラとしてしまうことがあるでしょう。


ストレスは、コップに落ちる雫のようなものです。そして、コップの水がいっぱいになった時にはじめてあなたはイライラしていることを、はっきりと自覚できるのです。

でも、どんなストレスがコップを満たしていたのかは、はっきりしない場合がほとんどでしょう。

そのため、少し冷静になった後に、さっきは些細なことだったのに、なぜあんなにも苛立ってしまったのだろうか、と不思議に思うかもしれません。あなたが思っているよりも、人は自分自身の感情を自覚できていないのです。


生物学的に、そのようになっているから当然です。
そして、その特徴があるからこそ、絶滅することなく人類は生き残ることができました。詳しく説明しましょう。


人類が文明化する以前は、外敵から身を守ることが文字通り「生き残ること」に必要不可欠でした。
外敵が視界に入ったときに、「逃げるか戦うか」を瞬時に判断しなければなりません。それを実現するために人類の脳構造は進化しました。

緊急時は、

視覚情報を大脳が正確に処理する前に、扁桃核が「逃げるか戦うか」を判断するようになったのです。

恐怖を感じる場面では、顔の血の気が引き、血液が両足などに向かって流れ出します。危険から逃げ出すためです。

怒りを感じると、血液は両手に集まります。両手で武器や拳を握り戦うためです。同時にアドレナリンが急増し、激しい動作に備えます。


このようなメカニズムは、現代も変わっていません。あなたの大脳が認識していなくても、鼓動が速まり、冷や汗が出て、息が浅くなっている瞬間があるのです。

そして、冷静になる前に、舌打ちをしたり、暴言を吐いたり、喧嘩を売るような態度をとってしまうのです。

このような特徴は、「戦闘」が必要のない現代には馴染まない場合が出てきています。


だからこそ、1分間でいいので呼吸瞑想をしてください。


おなかが大きく膨らんだりへこんだりするのに意識を向け、呼吸を繰り返します。

呼吸が深くなり、脈が静まるにしたがって心が落ち着いてくるのを感じることができるはずです。


あなたの大脳が見過ごした緊張感や体の力みを自覚しましょう。そして、自覚できたとき、心身は自然とリラックスに向かっていきます。


その体験を、脳は学習します。ふと感情に巻き込まれそうになっても、扁桃核でとっさに「逃げるか戦うか」を判断する必要がないことを学び、大脳で考えて、冷静に対処できるようになるのです。



ネガティブになったときにおすすめ!3分瞑想法


誰しもが常に何かしら悩みを抱え、心配事をしています。
大小差はあったとしても「何も悩んでいないし自分はいつだってポジティブだ!」と言い切れる人は少ないでしょう。

しかし、過度な心配は脳を疲弊させ、心身ともに不調をきたしてしまいます。


クヨクヨと悩み続けてしまうのは頭の中で過去の失敗体験や、それによって引き起こされるかもしれない嫌な未来を、頭の中で思い描いているから。

“瞑想とは”という項目で説明した言葉を使えば「脳内で自分が作り出した映画を見ている」状態です。


物事を論理的に考えるためには脳の前頭前葉を活用します。脳のワーキングメモリといわれる部分です。
しかし、ワーキングメモリが処理できる情報量には限度があります。

いつまでも「過去と未来の脳内映画」を上映していては思考が前に進んでいきません。

そんな時にはどんどんとアウトプットしていく必要があるのです。


こんな時は書く瞑想といわれる「ジャーナリング」が最適です。

やり方はとても簡単です。

3分の時間制限の中で頭に浮かんだことを何でもいいから書きます。注意点は、時間中に手を止めないように書き続けることです。


瞑想は、ありのままを受け入れるところから始まります。今の自分の感情に無視することなく“つらい”悲しい“投げ出したい”など、「こんなこと思っていてはダメだ」という判断しないまま正直に書き出しましょう。


ジャーナリングの効果について調べた研究を紹介します。

ステファニー・スペラとエリク・ブールファイントとジェイムズ・ペネベイカーは、失業者に5日間連続で毎日20分ずつ、ジャーナリングをしてもらいました。結果、ジャーナリングをしなかったグループと比べて就職率が40%以上の差が出たことがわかりました。


表現力豊かなライティングと失業への対処より


自分の本音や無意識へアプローチすることで、自分が囚われていた感情に気付くことができます。そして、その感情を手放すことにより、自己肯定感をあげることも期待できます。


集中したいときにオススメ!5分瞑想法


職場で集中力が切れたり、勉強中に気が散ったり。もっと長いこと集中できていれば作業効率も上がるのに、と思う場面は日常にたくさんあります。


しかし私たちの脳は原始時代の名残により、1つのことに長時間、集中しにくい構造になっています。

人類は、過酷な弱肉強食を生き抜いてきました。

当時は、外敵に襲われないよう、常に注意を払う必要があったのです。そして、そのような時代を長く過ごすうちに、周囲に注意を分散する機能が発達しました。

このような進化の過程で、私たちの脳は、構造的に、注意散漫な性質を備えるようになったのです。

一方で、現代を生きる私たちには、身の回りに注意を向けるよりも、目の前の課題へ集中的に取り組むことが求められます。

脳の本来的な機能と、現代社会が脳に求める機能との間には、大きなギャップが存在するのです。そして、このギャップが、あなたを困らせています。


また長時間のデスクワークはVDT症候群を引き起こしかねません。

VDT症候群とは、パソコン機器、スマホなどのIT機器の使用が原因とされる頭痛、腰痛、背部痛やめまい、眼精疲労のことを言います。


手軽に気分転換をし、VDT症候群の予防にもなる、ストレッチ瞑想を5分間行ってみましょう。


ポイントは2つ。

ひとつは呼吸と動きを連動させ、ゆっくりと動くこと。

もうひとつは骨、皮膚、筋肉などの感覚に意識を向けながらストレッチをするのが特徴です。


まずイスに座ったまま姿勢を正し、ゆったりと深呼吸を3回繰り返します。

外側に向けていた気持ちを自分の内面へと切り替えていきます。


次に両手を肩に乗せて肘で大きな円を描くように、前から後ろに回します。

息を吸いながら前、吐きながら後ろです。これを10回行います。

反対も同様に行いましょう。

肩甲骨が大きく動き、背中全体が温まるのを感じましょう。


肘は耳の近くを通るようにゆっくり大きく回します。


ポイントを抑えればどんなストレッチでも対応可能です。

今、自分の身体はどこが滞っているのか、どんな風に伸ばしてあげたら気持ちがいいのか。
セルフチェックからマインドフルに行えばさらに集中力もあがっていきますよ。


しっかりとリラックスしたいときにオススメ!寝る前のロング瞑想


疲れているのに布団に入ると眠れない、という経験はありませんか?それは日中の活動の影響で交感神経 が活発な状態だからです。

そもそも自律神経とはどんなものでしょうか。


意志とは無関係に働く内臓器官を支配する神経系。心臓・胃・腸・肝臓・膀胱などの臓器や、汗腺・内分泌腺・唾液腺などの分泌腺の活動を調整する。互いに拮抗(きっこう)して作用する交感神経と副交感神経の二神経系からなる。 

(出典:精選版 日本国語大辞典)


「交感神経」と「副交感神経」の2つをまとめて「自律神経」といいます。この「交感神経」と「副交感神経」は、シーソーのように片方が強い時は片方が弱いという関係にあるのですが、これが人体や感情のあらゆることに関わっていると言われています。


例えば「交感神経」が優位(強い)な状況では、毛が逆立ち、汗が出たり、消化が抑制されたり、興奮するとされています。アクセルを踏んでいる状態と一緒ですね。


逆に「副交感神経」が優位な状況では、毛が寝て、消化が進み、リラックスした穏やかな心身になるとされています。


夜は副交感神経を優位にさせ、脳と体にブレーキを掛けてあげる必要があります。


そのためには寝たまま行える瞑想がオススメです。


布団の中ででき、そのまま高確率で寝落ちしてしまう「ヨガニドラ」をお伝えします。


仰向けの状態で、足、足首、ふくらはぎ、太もも、お尻、お腹、背中、胸、肩、腕、首、顔、と体の下から上に意識を向けていきます。

その際に、意識を置いた場所を「ゆるめて」あげるようにするのがポイントです。

例えば「右ふくらはぎがゆるまる」「右ひざがゆるまる」、頭であれば「眉間がゆるまる「まぶたががゆるまる」と心で唱えながら、できるだけ細かい部位に意識をめぐらせていきます。次第に全身が緩まってくるのを感じられるはずです。


しかし自分でやるのは少し面倒だと思う夜もありますよね。

そんな時はスマホのアプリを利用するのもオススメです。


無料動画サイトなどで、気軽に見ることができますが、音質が悪い為リラックスしにくいのが難点です。そこで、例えばRelookといった音にこだわりを持つアプリで誘導してもらうのがいいでしょう。心地よい音楽と柔らかい声に包まれて、ほっとすることができるはずです。


特にアプリ内の「深睡催眠でぐっすり眠る」というタイトルは、日本催眠術協会理事が監修の睡眠専門音声。ただ聞いているだけで心と身体の緊張を解きほぐしてくれます。誘導に身を任せることで頭が空っぽになり気が付いたら眠っているなんてこともあるかもしれません。


コラム:瞑想の歴史


瞑想の歴史は長く、今から約5000年前にはすでに行われてたことがわかっています。

歴史的な資料としてもっとも古いのが、インダス文明の遺跡、モヘンジョダロの遺跡から発見された印章です。
ここには、瞑想しているような人が刻まれていました。

そして、そのインドで釈迦が悟りを開いたのが今から約2500年前と言われています。


◇釈迦が悟りを開いた瞑想とは


詳しい内容は割愛しますが、釈迦は6年もの間、苦行を行うことによって悟りを開こうとしました。しかしうまくいかず考えを一転させます。

栄養のあるものを食べ健康を取り戻した後、風通しが良く日の当たらない大きな木の下に座り、精神集中して自分の心と向き合うという、新しい修行を始めました。

そう、ただ座って瞑想を続けたのです。

そして釈迦は悟りに至りました。釈迦が悟った真理がマインドフルネスのルーツです。

つまり、釈迦は瞑想によってマインドフルな状態を極めた、ということですね。


その後、釈迦は入滅(釈迦が亡くなることをいう)するまで布教の旅に出ました。


雑談ですが、釈迦の死因をご存知ですか?それは食中毒だったそうです。仏教が「普通の人によって作られた普通の人のための教え」といわれるのがよく分かるエピソードですね。


釈迦の入滅後、多くの弟子が釈迦の教えを広めていったといわれています。


◇マインドフルネスと坐禅 


われわれ日本人にとってなじみがある坐禅。
マインドフルネスも坐禅も同じようなものだと考えている方も多いでしょう。
たまに「マインドフルネスは坐禅がルーツと言われています」と記載してあるウェブサイトもありますね。
残念ながらその情報は半分正解、半分不正解となります。理由は後ほど説明しましょう。

マインドフルネスは坐禅ではありません。歴史的な文脈がまったく違うからです。


は東アジアの大乗仏教の中で、マインドフルネスはアジア南方のテーラーワーダー仏教上座部仏教・南伝仏教ともいう)と呼ばれ初期仏教に近いとされるものの中で、それぞれ発展してきました。

紀元後すぐに、シルクロードを通って中国に大乗仏教と上座部仏教が同時に伝わり、中国では大乗仏教を主に取り入れました。その結果、日本は大乗仏教のみが伝わったのです。


坐禅を行うのは、大乗仏教の一派である禅宗とよばれる宗派です。

ここでは主に曹洞宗における禅の考えをお伝えします。

道元という僧侶が中国に渡り、仏教を学び日本に広めました。

その特徴は、ひたすら坐禅すること。これを只管打坐といいます。

座り続けることで、釈迦の悟りを直接体験することを目的とします。

つまり「ただ座るだけで仏になれる」という教えです。あなたの中に仏がいますよ、という概念ですね。
教えとして、自分の中の仏、本来の自己になるためには、思いを手放すことを求められます。

 一方、テーラーワーダー仏教では釈迦の教えに基づき、釈迦と同じ方法で悟りを開くことを目指します。
特徴は瞑想メソッドに沿って、具体的な瞑想の課題を与えられ、各自それに取り組むようになっています。
指導者との面談で瞑想の進み具合をチェックされるシステムです。

様々な対象を色々な方法でマインドフルに観察していくことで、マインドフルネスをマスターしていきます。

つまり思いを単に手放すだけでなく集中する対象を持っているということです。


思いをただ手放すのか、それとも何かに集中することで結果的に思いを手放しているのか。
この点が坐禅とマインドフルネスの大きな違いといっていいでしょう。

◇アメリカでみせたマインドフルネスの広がり


1950年代から60年代にかけて、アメリカ・カリフォルニアを中心に禅ブームが巻き起こりました。
西海岸でのカウンターカルチャー、いわゆるヒッピー文化の中で禅が広まったのです。
そのブームの火付け役が鈴木俊隆僧侶です。サンフランシスコにZENセンターを設立しました。

仏教への関心が高まる中、マインドフルネスという言葉を広めたのがティク・ナット・ハン僧侶です。
1955年から1975年に渡るベトナム戦争を終わらせるために尽力したことで、広く知られるようになりました。


そしてインドフルネス」をより一般的にしたのがジョン・カバット・ジン博士です。

米国マサチューセッツ大学医学部の教授で、同大マインドフルネスセンターの創設所長でもあります。
禅の指導者から、瞑想を始めとした修行法と教えを学んだ博士は、そこからエッセンスを抽出して、宗教と関係なく一般の人にも取り組みやすいツールとして、1979年に「マインドフルネスストレス低減法」を提唱しました。

宗教や信仰の要素を取り除き、万人に有効なメソッドにした、ということです。

マインドフルネスのルーツが禅、と言われている理由はここにありました。
しかし何度も説明するように「マインドフルネス」とは概念のことであり、禅とは異なります。

話を戻しましょう。

2000年代に入り、脳科学の発展と共に、マインドフルネスがメンタルヘルスや生産性の向上に効果があると科学的に明らかになってきました。2007年からは米Googleがマインドフルネスを企業研修として開発、世界的に大きな話題になり、逆輸入という形で日本へやってきたのです。


◇まとめ

朝瞑想


日本人には「禅」という精神が備わっています。その禅とマインドフルネスを融合させることで、新たな境地へとたどり着けるかもしれません。そして、それこそが釈迦の目指していたものなのかもしれません。

釈迦の悟り、と聞くと私たちには無関係なもののように感じられますが、意外と身近なものなのですね。


(参考文献:NHK出版 佐々木閑著・ゴータマは、いかにしてブッタとなったのか/:集英社 「マインドフルネス×禅」であなたの雑念はすっきり消える)


さまざまな瞑想の種類


巷でよく耳にする瞑想の種類を解説します。


 サマタ瞑想


サマタ瞑想とは、こころを特定の対象に結びつけて集中力を養う瞑想のことをいいます。高ぶった心を鎮める手段としても使います。テーラーワーダー仏教の瞑想法で、約40種類の方法があるといわれています。


ヴィパッサナー瞑想


ヴィパッサナー とは、「物事をあるがままに見る」という意味で、自己観察によって自己浄化を行う方法です。

今、この瞬間のありのままの現実の変化を観察し続けることで、外界からの接触に対して、心が揺さぶられることを予防します。
また、すでに心にある過去の記憶や思考などから発生する怒りや欲に対しても、それらを防御し、消し去ることができるのです。


ここまで読んでいて「あれ、これって呼吸瞑想で意識を呼吸に向けて、そして心の変化をそのまま受け入れるっていう話と一緒では?」と思ったあなた。大正解です。

世間で言われている「マインドフルネス瞑想法」とは、サマタ瞑想ヴィパッサナー瞑想を組み合わせたもの。

マインドフルネスとは概念のことであり、それを実行するためのサマタ瞑想とヴィパッサナー瞑想なのです。


超越瞑想


超越瞑想とはTM瞑想、TMとも呼ばれています。マントラ瞑想法のことをいいます。
インド人のマハリシ・マヘーシュ・ヨーギーによって1950年代にアメリカで広がりました。

20分の瞑想を1日に2回行うというルールがあり、瞑想中はマントラを繰り返すのみで、内観の必要がないのが特徴です。

マントラとは、サンスクリット語で「文字」「言葉」を意味しています。TM瞑想では四文字程度の意味を持たない音の組み合わせをマントラとし、指導者が一人ひとりにマントラを授けてくれるそうです。

瞑想の指導も個人の必要性に合わせて行うので、本やアプリやビデオで学ぶことはできないのも特徴です。


超越瞑想の実践者として知られているのが、映画監督のデヴィッド・リンチです。独創的なストーリーや映像が有名で、業界では「カルトの帝王」と呼ばれています。そんな彼は、この瞑想法をもっと多くの人々に伝えたいという思いから、デヴィッド・リンチ財団を設立し、必要としている人々が超越瞑想を学ぶことができるように経済的支援を提供しています。


もっと瞑想を知りたい方のために。推薦図書5選!


ここまでじっくりと読んだあなた。ますます瞑想に興味が湧いたのではないでしょうか。

インターネットで得る情報は要約されていて分かりやすいのが利点ですが、もっと詳しく知るためにはやはり本で知識を得るのが一番なのではないでしょうか。

そこで、より瞑想の深い知識が得られる分かりやすい書籍をご紹介します。


①マインドフルネスストレス低減法(Jカバット・ジン著 北大路書房)


オススメポイント

マインドフルネスを語る上で欠かすことができない存在であるジョン・カバット・ジン氏。

8週間プログラムの詳しい内容が載っています。教科書的な存在ですので、ぜひ手元に置いていただきたい一冊です。


②サーチ・インサイド・ユアセルフ―仕事と人生を飛躍させるグーグルのマインドフルネス実践法(チャディー・メン・タン著・英治出版)


オススメポイント

瞑想で世界平和を実現したい、と本気で願う著者がgoogleでどのような研修をし、それを受けた従業員たちがどのように成果をあげていったのかが分かりやすく書かれています。また、瞑想に関する表現もプログラマーらしい言語に置き換えて書かれているので、理性で理解することができます。著者のメン氏のユーモアセンスのおかげで難しい内容もさくさくと読めるのが特徴です。


③10% HAPPIER~人気ニュースキャスターが 「頭の中のおしゃべり」を黙らせる方法を求めて 精神世界を探求する物語~(ダン・ハリス著・大和書房)


オススメポイント

「瞑想なんて胡散臭い」そう思っている人にこそ読んで欲しい1冊です。

すべてに疑い深く、プライドが高いのに心配性の人気キャスターが、ドラッグで心身をすり減らし、うつ病を経験します。そこから抜け出すヒントとして瞑想に出会い、追求していくドキュメンタリーです。著者の素直すぎる言葉に、思わずクスッと笑ってしまうこと間違いありません。


④あなたの脳は変えられる 「やめられない! 」の神経ループから抜け出す方法(ジャドソン・ブルワー著・ダイヤモンド社)


オススメポイント

あなたは「やめなきゃ、と思っているけどやめられない」という習慣はありませんか?

脳科学者である著者が、科学的な視点から「瞑想を利用した悪癖をやめるための方法」が書かれています。やめたい習慣ごとに章が分かれているのでとても読みやすいのが特徴です。



⑤アップデートする仏教(藤田 一照 , 山下 良道著 幻冬舎)


オススメポイント

仏教に興味がないあなたでも、読めば必ず納得する一冊です。形だけになってしまった日本の仏教をアップデートすることで、本来仏教が持っていた力を取り戻していきたい。そう願う藤田一照氏と山下良道氏の対談形式で構成されています。いま日本で広がるマインドフルネスブームを「テクニックとしての仏教」ととらえ、そこからより急進的な「仏教3.0」へと展開していく内容に引き込まれてしまいます。


番外編

・ジェームズ・クリアー式 複利で伸びる1つの習慣(ジェームズ・クリアー著 パンローリング株式会社)


オススメポイント

瞑想についての本ではありません。今の生活の悪い週間を断ち切り、よい習慣を無理なく身につけていくための最善の方法が実践的にとても分かりやすく説明されています。

瞑想を習慣にするためにもぜひ読んでいただきたい一冊です!


さいごに


たくさんの瞑想法を様々なシーンに対応できるよう切り口を変えてお伝えしてきました。

あなたのやってみたいと思えるような瞑想法は見つかりましたか?

歴史や理論など少し難しい内容もあったかもしれませんが、やはり一番大切にして欲しいのは「これならできそう」「続けられそう」と思えることです。

続けるためには習慣から見直していく必要もありましたね。

瞑想をきっかけに、あなたの今の生活を見直してみるのもいいかもしれません。

瞑想は、まず自分を大切にするところから始まります。

自分を大切にできるようになると、おのずと他人にやさしくなれます。


早速生活に取り入れていただければ幸いです。


※本記事の内容は、執筆当時の学術論文などの情報から暫定的に解釈したものであり、特定の事実や効果を保証するものではありません。