自分に自信が持てない
あの人はあんなに素敵なのに私は……
自己否定が強い人は、上記のように自分に自信がなく、人と比較しやすい傾向があります。自己否定とは、自分を否定する感情のことです。
育った環境や過去の経験などが原因で、傷つきやすい・人間関係が不安定になるなど、たくさんのデメリットがあります。
そこで本記事では、自己否定感を克服する方法を専門家の知見をもとにご紹介します。自己否定感は改善可能なので、本記事を参考に、ぜひ改善を試みてください!
自尊心について知りたい方は、「自尊心とは?自尊心を育てる方法をご紹介!NGアプローチ方法も」の記事をご覧ください。
目次
自己否定感とは
自己否定の意味は、言葉のとおり、自分を否定する感情・思考・感覚ことです。
自己否定感が強い人は、自分に否定的な考えや感情を持つことが多く、なかなか自分を受け入れられません。
もちろん、精神的な健康に悪く、うつ病や不安障害の原因にもなる可能性があります。自己否定感を減らすためには、自分をありのまま受け入れ、自分自身の良いところに注目しましょう。
自己一致・自己不一致とは?
公認心理士の川島氏によると、人間が自己否定をしてしまう原理を探るうえで、心理学者であるカール・ロジャーズが提唱した「自己一致」「自己不一致」がキーワードになると言います。
下記で、それぞれの言葉の意味を詳しく解説します。
自己一致とは
自己一致とは、自分の理想と現実が近い状態です。自己一致ができている状態では、下記のような心理的特徴があります。
- 自分が望む理想をある程度実現できる
- 現実的な目標を持てる
- 積極的に行動できる
自己一致は、自己肯定感を高め、自己否定感を軽減できます。
自己一致が高い状態になるように、自分の望む理想像を具体的に描いて目標を設定し、現実とのギャップを埋める努力をするのがおすすめです。
自己不一致とは
自己不一致とは、自分の理想と現実が大きく乖離している状態です。自己不一致をしている場合、以下のような特徴があります。
- 自分の理想に到達できない
- 自分が生きている現実と自分の理想に大きな距離がある
- 理想が高くチャレンジできない
自己不一致が大きい場合、自分を否定する気持ちが強くなり、自己肯定感が低下しやすいです。
自己否定感を改善するためには、現実的な目標を設定し、現実の自分を受け入れましょう。自分自身の特性や能力を客観的に認めることも大切です。
自己否定は歳をとると減少する
公認心理士の川島氏によると、自己否定感や自己嫌悪感は、年齢を重ねるとともに減少する傾向があることがわかっています。
なぜならば、若い時期は理想と現実の自分のギャップが大きいですが、年齢を重ねるにつれて理想と現実の距離が縮まっていくからです。
ただし、人によっては、自己否定をする期間が長期化する場合もあるので、その場合は注意が必要です。
自己否定の原因5つ
自己否定が止まらない原因をご紹介します。
自己否定は病気の可能性もあるので、自分が当てはまるかどうか、下記で確認してみましょう。
原因1. 育った環境による影響
自己否定が強い原因の1つとして、育った環境が挙げられます。
例えば、親から厳しいしつけを受けていたり、「君はダメだ」と言われるような批判的な環境で育ったりしていた場合、トラウマになり自己否定感が強くなる傾向があるのです。
上記のような環境下では、自分が価値ある存在であるといった自信を持てなくなります。
原因2. 学校教育による影響
学校教育による影響も、自己否定感の原因の1つです。
同級生と成績や能力を競い合う環境下で、自己評価が低くなり、自己否定感を抱くことがあります。
また、教師やクラスメートからの否定的な評価を受けることも、自己否定感を強める原因となるのです。
原因3. 過去に大きな挫折を経験したことがある
過去に大きな挫折を経験したことがある場合、自己否定感が強くなる傾向があります。失敗体験を繰り返すと、自信や自己評価が低下し、自己否定感を増大させるからです。
例えば、就職活動で何度も落ちた場合や、長期間にわたる無職期間なども挙げられます。
原因4. HSPの可能性がある
自己否定の原因の1つに、HSP(Highly Sensitive Person、高感受性者)の可能性が考えられます。
HSPは、生まれつき感受性が高く、環境の変化や外部からの刺激に非常に敏感です。5人に1人の割合で当てはまると言われています。
HSPの人は、何かに失敗したとき、その失敗を自分自身の能力不足や欠点として見てしまうことがあります。他人と比べて自分が優れていないと感じることも多く、自分自身を責めることも多々あるのです。
もしあなたがHSPである場合は、自分が過剰に失敗に反応していることを認識し、自己否定的な考え方を改めましょう。また、自分の感受性を活かし、自分らしさを発揮することも大切です。
原因5. 自己否定はうつ病の可能性がある
自己否定の原因の1つとして、うつ病の可能性も考えられます。
うつ状態では、自分自身や周囲の人々からの評価や意見に過敏に反応し、自己否定的な感情が生じやすいです。
うつ病の人は、何をやってもうまくいかないと感じたり、自分自身に対する批判的な思考を抱いたりすることがあります。また、周りの人々と比較して、自分自身を劣っていると感じることも多くなるのです。
うつ病の人は否定的な思考に陥りやすいため、症状に気づかずに適切な治療を受けないままだと、どんどんうつ症状を悪化させる可能性が高いのです。
うつ症状を治したい方は、精神科医の受診をおすすめします。
自己否定感が強い人の特徴5つ
自己否定感が強い人の特徴は以下の5つです。
特徴1. 自分に自信がない
特徴2. 他人と自分を比較しがち
特徴3. 人に合わせてばかりいる
特徴4. 完璧主義
特徴5. 人間関係が不安定
下記で詳しく解説します。
特徴1. 自分に自信がない
自分に自信が持てないのはなぜか悩んだ経験はありませんか?
自己否定感が強い人は、自分に自信が持てず、未来のできごとをネガティブに捉えてしまいます。自己評価が低いと、失敗に過敏になり、新しいことに挑戦できなくなるのです。
実際に、「自己志向的完全主義の特徴 : 精神的不健康に関する諸特性との関連からの研究」によると、自己否定感が強い人は、失敗を気にしすぎる傾向にあることが示されています。
自分を過小評価することを避け、自己肯定感を高めるためには、専門家のアドバイスや支援を受けることが有効です。また、自分をたくさん褒めて、自分の良いところを挙げることも効果的とされています。
特徴2. 他人と自分を比較しがち
自己否定感が強い人は、他人と自分自身を比較しすぎるクセがあります。心理学の分野では「比較効果」と呼ばれています。
他人と比較して自信がなくなることで、行動も消極的になってしまうのです。自分なりの成長をしっかり認めてあげましょう。
特徴3. 人に合わせてばかりいる
精神科医によると、人に合わせてばかりいる人も自己否定感が強い人の特徴です。自分が失敗することを恐れたり、他者からの否定的な評価を受けることを避けたいと思っているからです。
上記のような傾向は、人間関係においてストレスを感じたり、自己肯定感を低下させる原因となることがあります。
「Culture and conformity: A meta-analysis of studies using Asch’s (1952b, 1956) line judgment task の研究」によると、人が周囲の意見に合わせてしまうといった傾向は、幼少期や家庭環境によって形成されることが多く、また社会的な圧力や文化的な影響もあるとのことです。
自分自身の意見を抑え続けることで、自己表現能力が低下したり、自分自身が置かれた状況に不満を感じることがあります。
また、メンタルヘルスに悪影響を与えることもあるとのことです。自分自身の意見や価値観を大切にしましょう。
特徴4. 完璧主義
自己否定感が強い人は完璧主義の傾向があります。完璧主義的な思考を持つ人は、自分に高い目標を設けてしまい、自分の失敗を許せません。
上記の傾向が自己否定の原因となってしまうのです。完璧主義と自己否定の関係は、心理学の分野でもよく研究されています。
完璧主義を治したい方は、自分に合った目標を設定し、1つ1つ成功体験を積んでいきましょう。自己否定に陥ってしまった場合には、過剰な基準から解放されるために、カウンセリングや心理療法を受けることも有効です。
特徴5. 人間関係が不安定
自己否定感が強い人は、人間関係が不安定になることが多いです。自己否定感が強い人は、自分に対する不安や不信感が強く、それが原因で人間関係が不安定になってしまいます。
その他にも
- 自分を受け入れてもらえるかどうか不安を感じる
- 人から受ける評価や承認に過剰に依存する
- 相手が自分を嫌っていると勘違いしやすい
などの特徴から、相手との信頼関係が損なわれてしまうというわけです。
自己否定感が強いと何が起こる?
自己否定の症状は、以下のような状態が考えられます。
- コミュニケーションがうまく取れなくなる
- 傷つきやすくなる
- 人を信じられなくなる
- 自己成長につながることもある
自己否定をなくすには、自己否定の症状を把握し、改善のための行動をする必要があります。下記でしっかり自己否定の症状を確認してください。
コミュニケーションがうまく取れなくなる
自己否定感が強いと、人とのコミュニケーションがうまう取れなくなります。
自分に対して否定的な見方をされるのではないかという恐れから、自分の意見や感情を表現することができなくなったり、他人との関係性が悪化することがあります。
結果的に、人とのコミュニケーションを避けようとするのです。
傷つきやすくなる
自己否定感が強いと、自分に対して否定的な評価や批判を受けることが非常につらくなり、傷つきやすくなります。
また、否定的な評価や批判を過剰に気にしてしまい、自分自身を責め続けてしまう傾向があるのです。
したがって、自己否定感が強いと非常に傷つきやすくなります。
人を信じられなくなる
自己否定感が強い人は、他人も自分と同じように厳しい目で見てしまうため、人を信じられなくなります。
実際に、「中学生におけるソーシャルサポートと自他への肯定感に関する研究」でも、自己肯定が低い人は他者への肯定も低いことがわかっています。
したがって、自己否定感が強いと、人への信頼感が薄くなってしまうというわけです。
自己成長につながることもある
自己否定感が強いことは悪いことばかりではありません。
デメリットがたくさんある一方で、自分自身の短所や問題点を認め、改善しようとする積極性を持つことがあります。したがって、自己成長につながることもあるというわけです。
自己否定の治し方
自己否定をやめたい人は、下記の方法をお試しください!
公認心理士の川島氏の見解を交えながら解説します。
自分を意識的に褒める時間を作る
自分に優しい言葉をかけることで、自己否定感を減らせます。マーティン・セリグマンが提唱したポジティブ心理学で推奨されているやり方です。
例えば、自分が何か良いことをした場合には、「よくやった」と自分自身に言ってあげるなど、意識的に褒める時間を作りましょう。自己否定を克服できます。
人間関係やコミュニティを変えてみる
自己否定感が強い場合、周りの人たちがあなたにとって良くない影響を与えている可能性があります。思い切って人間関係やコミュニティを変えてみましょう。
例えば、
- 悪口や批判的な言葉をよく口にする
- 他人を馬鹿にするような態度をとる
- 過度に競争意識を持ち、他人と自分を比較する傾向がある
- 自分に対して厳しく、完璧主義的な考え方を持つ
- 自分自身を卑下するような言動をする
上記のような特徴を持つ人とは、なるべく関わらないのがベストです。
リフレーミング
自己否定感が強い場合、何事も否定的に捉えがちです。そこで、リフレーミングという方法を使って、物事を肯定的に捉えるように心がけましょう。
リフレーミングはある物事をさまざまな角度からみる訓練のようなものです。
例えば、自分には才能がないと思っている人がいたとします。その場合、
- 才能がなくても努力や練習でスキルを身につけられる
- 自分にあった分野を見つけて挑戦する
- 過去に挫折した経験を生かして自分に必要な能力を身につける
- 才能がなくても、自分にしかできない価値を見つけることが大切
とリフレーミングします。
リフレーミングを続けると、失敗しても、それを学びの機会として捉えることができるようになるので、ぜひ試してみてください。
詳しいやり方は「自己肯定感の高めかたをご紹介!高める具体的な方法やセミナーなどをご紹介します」の記事でご紹介しています。
マインドフルネス瞑想
マインドフルネス瞑想は、自分自身の内面に意識を向けることで、自己否定感を減らせます。
瞑想を通じて、自分自身に対して優しい気持ちを持ち、自分自身を受け入れてあげましょう。
詳しいやり方は「マインドフルネス瞑想のやり方・効果とは?生活習慣の中で継続しよう」の記事でご紹介しています。
瞑想初心者の方は、瞑想アプリRELOOKの活用もおすすめです!
まとめ
自己否定感が強いと、さまざまなデメリットがあることがわかりました。本記事のポイントを復習しましょう。
上記ポイントを押さえて、あなたがどのくらいの自己否定感を持っているかを認識し、適切な方法でポジティブ思考を目指しましょう。
自己否定感が改善すれば、今まで悩んでいたことから解放されます。ぜひ試してみてくださいね!