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マインドフルネス市場は今、どうなっているのか?
anan・プレジデントウーマン・日経ビジネスなどでも取り上げられるなど、だんだんと話題になってきているマインドフルネス。
では、マインドフルネスはビジネスとして今、どうなっているのでしょうか。
日本でマインドフルネスを提供している企業・団体は、主に以下のようになっています。
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1、MiLi=一般社団法人マインドフルリーダーシップインスティテュート(https://mindful-leadership.jp/)
説明:Googleで生まれたマインドフルネスメソッドの「SIY」を日本で広めている団体
2、cocokuri(https://www.cocokuri.com/)
説明:enジャパンの子会社であったインナーコーリング株式会社から現在、一般社団法人寺子屋ブッダが運営。メガネのJINSが開発したIOTデバイス「JINS MEME」を使用して、変化を測定している。
3、株式会社マインドフルヘルス(https://mindful-health.co.jp/)
説明:福岡に拠点を構えるお医者さんが代表を務めている。企業研修、認定オンライン講座、マインドフルネスを使ったダイエットプログラム、VRアプリの開発など事業を多角的に展開している。
4、True Nature Meditation(http://truenature.jp/tnm)
説明:アメリカでも著名なメディテーション・ティーチャーのデイビット・ニクターンの監修を受けたマインドフルネスプログラムを提供している。
5、東京マインドフルネスセンター(https://tokyo-mindfulness-center.jp/)
説明:医療法人の和楽会が運営している。マサチューセッツ大学医学校名誉教授のジョン・カバット・ジンが開発したMBSRというマインドフルネスのメソッドを提供している。
6、株式会社ヨギー(https://www.yoggy.co.jp/service/)
ヨガスタジオ運営がメイン事業の会社。「muon」という瞑想スタジオを新宿を作り、そして同時に瞑想アプリを提供している。
7、Campus for H(http://campus-h.com/)
ハーバード大学院を卒業し、予防医学研究者として活躍される石川善樹さんが共同創業者を務める会社。マインドフルネスの研修に加え、MYALOというマインドフルネスアプリを提供している。
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MiLiは、2日間で13万円と相対的に高額なセミナーを定期的に提供しており、かつ代表理事の荻野淳也さんは、リクルートマネジメントスクールで講座を持っているため、ビジネス的に回っていると思われる。
しかし、その他を見てみると、なかなかビジネス的には厳しいと考えられる。
cocokuriを元々運営していたenジャパンの子会社インナーコーリングは、2期目で赤字約4500万円を出し、撤退を余儀なくされたようだ。
またライフネット生命の初期投資家の谷家さんが会長、東大卒で元P&Gの米倉さんがCEO、そしてハーバード院卒の石川さんと、スタープレイヤーを擁する「Campus for H」が出したアプリ「MYALO」も2017年から運営が止まっているようだ。
このような大企業の子会社による早期撤退、スタープレイヤーを擁しての撤退をみると、そもそもの市場が、日本には現状ないと考えられる。
では、日本ではマインドフルネスの市場は今後も成立しないのだろうか?
この問いに答えるために、アメリカのマインドフルネス市場を見ることにする。
アメリカのマインドフルネス市場
2016年においてアメリカのマインドフルネス市場は、約1200億円あり、毎年約11%の平均成長率を誇り、2022年には2000億円を突破すると予想されている。
現在では、22%の企業が何らかのマインドフルネスプログラムを導入しているようだ。
代表的な企業には、Google、インテル、Facebook、マッキンゼーなどが挙げられる。
マインドフルネスを実際に導入することで、従業員の健康改善・満足度UP、コストダウン、売上UPを成し遂げる企業の例も報告されている。
エトナ(アメリカ保険大手)
始まり)
CEOが、大怪我のリハビリ中にマインドフルネスに出会い、実施することでその効果を実感。
発展)
職場で、マインドフルネスを実施するために、マインドフルネスを指導するイーマインドフルという会社と医療分野の権威のデューク大学に協力を求める。
それで出来た12週間のマインドフルネストレーニングを1000人以上の従業員へ提供。
結果)
・ストレスと睡眠障害が大幅に改善
・医療費が従業員一人当たり2000ドル(20万円)下がった。計630万ドル。
・生産性が一人当たり3000ドル向上。投資の11倍のリターンだった。
グリーン・マウンテンコーヒー(世界3位のコーヒー会社)
始まり)
創業者がマインドフルネスのクラスを経営幹部のために始めた
発展)
「マインドフル・ストレッチ」というヨガを組み込んだプログラムを開発し、5000人以上の現場作業員に提供。
結果)
現場事故件数の減少
マインドフルネスを導入してから株式時価総額は、最大15倍に。
◇生の声
・Kカップ製造機のオペレーター
「1日仕事の場合は、あれはとても大切だ。柔軟で軽快になるんだ。終業時に感じる辛さがずっと軽くなった」
「週の終わりの緊張感がじっと軽くなった。足の痛みも以前ほどではなくなったよ」
・グラフィック・アーティスト
「集中力は最大の助けになりますね。デザインの仕事というのは、どれだけ没頭できるかが鍵なんです。あと、前より直感的になりましたよね。作業段階で以前なら気づかなかったかもしれないことに気づくこともしばしばです。」
「微妙なレベルの話ですが、トレーニングをすることで、ベースとなる幸福感が向上した感じもします。職場に積極性を持ち込むことも大きいですよ。8年前に比べて働きやすい、とっつきやすい人間になったと思います。」
「マインドフルネスは会社から受けた恩恵の中で一番大きいですよ。」
さらにマインドフルネスはこういった企業だけでなく、アプリを通じて個人にも広まっています。
Headspaceは、アンディ・プティコムというマインドフルネスのカリスマが監修をしており、2012年のリリースから6年で約3000万人のユーザーを誇っている。
Calmは、2013年にリリースされたリラックスできる雨の音や風の音、海の音などの自然音にマインドフルネスを組み合わせたアプリだ。
それぞれユーザーへの月額課金(サブスクリプション)モデルで、約100億円・約75億円(利益22億円)という優秀な結果を出している。
マインドフルネスは、アプリだけに留まらず、話題のIOTと絡んだプロダクトも出てきている。
脳波測定器の「muse」がその1つだ。(価格は約2万円)
今までにmuseを開発・販売するベンチャーは約30億調達しており、今後の伸びに期待がされている。
このようにマインドフルネスは、アメリカでは十分に市場が存在して、ビジネス的に成り立っている。
アメリカでマインドフルネス市場が成立する理由
では、なぜ日本と違い、アメリカではマインドフルネスが一般に浸透しているのでしょうか。
アメリカでは、メンタルケアが一般的な文化があります。
実際、両アプリのレビューを分析すると、そこには4つのユーザー層がいます。
上から多い順に)
1、不安や精神的落ち込みケア
2、睡眠障害ケア
3、ストレスケア
4、能力アップ
と、不安や精神的落ち込みのケアというメンタルケアの側面で多く使われています。
また「Talkspace」というオンラインでセラピストの施術が受けられるサービスは、約30億円の調達を行うなど、ビジネスを拡大している。
日本でマインドフルネス市場ができにくい理由
このように、アメリカではメンタルケアは一般的なものとして浸透している。
しかし、日本ではメンタルケアというと、元ゴールドマン・サックス証券の櫻本さんが代表を務めるオンラインカウンセリング「cotree」が2014年にリリースされるなど広まりの兆しを見せてはいるが、まだまだ一般的とは言えないのが現状である。
「メンタルケアを受けてると人に言えば、精神的に弱いやつと見られそうで怖い」と思うのが一般的だろう。
さらにメンタルケアの方法として使われるマインドフルネスも、日本では「宗教」というイメージが連想されてしまうことも、市場としてなかなか拡大しない要因だろう。
日本でマインドフルネス市場は成立するのか
私が思うに、答えは”YES“だ。
アメリカも、日本も同じ都市社会であり、そこに住む人間が抱える悩みは共通している。人が過密で、情報に常に晒され、ストレスフル。なのに、自然が周りにないから癒されにくい。
だから、アメリカでその解消策として、広まったマインドフルネスは、日本の都市に住む人の問題も解消されうる可能性が高い。
マインドフルネスを広める戦略
では、どうすれば広まるのか?
同じように宗教的なイメージがあったものに「ヨガ」がある。
今、ヨガと聞いて宗教を連想するだろうか。
多くの人は、「美容」を連想するのではないだろうか。
このようにマインドフルネスと聞いた時に、
・「美しい」
・「かっこいい」
・「科学的」
の3本柱で、宗教の色をグリグリと上塗りして変えていくことが求められる。
では、どのように上塗りしていくのか?
日本は、”お上の事には間違いはございますまいから”という文化がある。
国がやれば、地方行政がやる。
一部上場がやれば、中小企業がやる。
というように、トップダウンな性質がある。
一流にいかにやってもらうか。ここがキーだろう。
その中でも、スポーツ選手や芸能人に広めてもらうと強い可能性が高い。
なぜなら、彼らは「憧れ」的存在だからだ。彼らに抱く憧れのイメージがマインドフルネスにも浸透していくのだ。
実際にアメリカでは、世界元テニスランキング1位のノバク・ジョコビッチや、NBAのスーパースターであるレブロン・ジェームズがマインドフルネスを行い、メディアに取り上げられることでその認知度が上昇した。
日本だと、長友選手がマインドフルネスをやっていると著書に書いている。
ちなみに世界トップモデルのミランダカーはマインドフルネスを習慣的にやっていて、インスタにアップしている。
日本だと、Rayモデルとかの間でもブームになればアツいかもしれない。
とある大手ヨガスタジオの方から聞いた話では、ヨガがここまで広がるのに15年かかったそうだ。
しかし、今は、昔はなかったスマホがあり、当時と情報の広まるスピードが格段に違う。
戦略を間違えなければ、マインドフルネスのイメージが変わるまで、数年といったところではないだろうか。
アメリカも1990年代頃までは、実は瞑想的なものはニューエイジ的な印象があり怪しいものという認識だったのだが、ブランディングに気を使うことで確実に浸透していったのだ。
muse、HeadSpace、calmを見てわかるように、そこには宗教色など一切ないことがわかるだろう。
全て美しく、イケている。
マインドフルネスを広めるためのキー。
それは、“緻密に設計されたブランディング”なのだ。
具体的にどうしていくのか
このような状況の中で、自分はマインドフルネス市場を作りにいっている。
何と言っても ”キー” はブランディングだ。
今、自分は「マインドフルネスを美しく、かっこいいものに」を合言葉に、マインドフルネスだけでなく、あらゆるものとコラボして広める戦術を取っている。
以前は、小杉湯さんという都内で革新的な動きを行っている銭湯さんと、「銭湯×マインドフルネス」を行った。
1つは、地道にこのようにコラボによるブランディング戦術を取っていく。
しかし、個人として広めるには限界がある。届けられる人に物理的な制限があるからだ。
そこで、同時に「指導者にマインドフルネスを伝える」という方法を取っていく。
マインドフルネスは先に見たように、一般企業だけでなく、スポーツや美など様々な分野において有効的である。
指導者を通じて、多くの人にマインドフルネスを広める。一つの倒したドミノが枝分かれして、どんどん次へ次へと伝わっていくように。
果たして、指導者はマインドフルネスに興味を持つだろうか?
答えは、ここでも当然”YES”だ。
指導者の仕事は、受講者の能力を伸ばし、結果を出してもらうことだ。つまり、そのためならマインドフルネスを学ぶことは投資的行為になる。
そして、現段階においては、99%の指導者はマインドフルネスを学んでいない。
今このタイミングで、マインドフルネスを学び、自分の講義に組み込むことは大きな差別化になる。
パイオニアになれるのは、今このタイミングのみなのだ。
そして、このような形で浸透してきたタイミングでアプリを出す。
今、マインドフルネスのアプリを出しているところは複数あるが、どれもビジネスが回るレベルでユーザーを掴んでいるところはないだろう。
「MYALO」が撤退したのも、こういった地道な浸透活動なくしてリリースしたことに起因していると思われる。
アプリコットベンチャーズの無料オフィス支援プログラム「FLAP」の第二期に採択されたので、来年の1~3月に「都市にオアシスをつくる」をテーマにマインドフルネスを軸にした会社を作る予定だ。
(※結果、実際に作ったのがRelook株式会社になります。2019年11月11日更新)
興味がある人がいれば、仲間を募集しているので、
mindfulencer@gmail.com
まで連絡をよろしくお願いします。まずは気軽に喋りましょう!都市の人を癒していくぞ。