もうひとつのヨガの楽しみ方
リラクゼーションやダイエットのために、ということで人気のスポーツ、ヨガ。
わたしたちは、なんとなくヨガの良さを体感していますよね。
でも、なんとなく良さを理解してしまうのにはワケがあって・・・
ヨガには約5000年の歴史があり、人間のことを探究しつくされて創られたものだからです。
約2000年前にまとめられたヨガの専門書「ヨガスートラ」では、今のような体の動かし方についてはふれられておらず、ひたすら瞑想をするよう指南されていました。
詳しいことを知らなくても、今までどおり楽しめるヨガではありますが、ヨガに込められた想いがわかると、ヨガの楽しみ方がより深まります。
この記事では、ヨガの真髄であるカラダとココロに効く瞑想について、ヨガの歴史や科学的なことを含めて解説します。
ぜひ、あなたのヨガライフにお役立てください。
目次
そもそもヨガにおける瞑想とは?
前述のように、もともとヨガは、瞑想をすることがメインとされていました。
ヨガの根本的な経伝のひとつ「ヨガスートラ」には、ヨガを深めるための8つのステップが記載されています。
その過程には、日常的に守るべき道徳→ポーズ→呼吸→感覚の制御→意識の集中など、段階的なトレーニングがあります。
そして、最終的にサマーディと呼ばれる「悟り」の状態を目指します。
ちなみにサマーディとは、万物との一体感があり、豊かで幸せな気持ちになる状態のことです。
つまり、ヨガにおける瞑想は、幸せになるための古来から伝わるトレーニングのひとつだと言えます。
マインドフルネスの瞑想とヨガの瞑想の違い
ヨガの瞑想は、呼吸や特定のものに意識を集中させるという点で、マインドフルネスの瞑想と似ています。
では、両者の違いは?というと
それらの成り立ちから紐解いていくと、分かりやすいかもしれません。
マインドフルネスの瞑想は、約2500年前の仏教が元となっています。
しかし、宗教色は一掃され、1970年代からストレスを軽減するために医療で使われるようになり、その後、企業や教育の現場に広まっていきました。
瞑想を通して「いま」の瞬間に気づき集中するココロの在り方を習得していきます。
一方、ヨガの瞑想には、ヨガの哲学が伴います。
ヨガの哲学では、人間の本質はココロやカラダにあるのではなく、わたしたちが意識しているよりももっと深いところにある「真我」にあるとされています。
※「真我」とは、わたしたちが意識できる自分「自我」の対照的な言葉として用いられ、「魂」や「本当の自分」と表現されることがあります。
つまり、ヨガの瞑想は、本当の自分とつながり、この世の全てのものと一体化して大きな力を発揮し、最高の人生を送るために自分という枠を超えることを目指しています。
そのために、ヨガの瞑想は、より深い瞑想の状態が求められます。
深い瞑想状態に入る前準備として、体の動きや呼吸法、姿勢があり、マインドフルネスの瞑想よりも多くのバリエーションが存在します。
*参考*
<座って行うマインドフルネス瞑想のやり方>
1.頭頂部が天井から吊り上げられているイメージで背筋を伸ばす
2.楽に息を吐く
3.鼻から息を吸って口から深く吐く
4.吐く息で、唇に空気が触れることに意識を向ける
5.意識がほかに外れたら、気づいて、また唇に意識を戻す(1分続ける)
【実践】上記の瞑想を音声の誘導・リラックスミュージック付きで行う場合は、こちらのアプリをご活用ください。
↓
RELOOLアプリ>「瞑想」タブ>「瞑想をはじめる」>「マインドフルネス」>「マインドフルネス瞑想基礎」> 「Day2 呼吸の瞑想」
RELOOKアプリについてはこちらを参照してみてください。
ヨガの瞑想がもたらす5つの効果
ヨガの効果について、科学的な研究が進められています。
リラックス効果
わたしたちのカラダは、交感神経と副交感神経のふたつの自律神経が体内でバランスをとっています。
交感神経が優位に働いているときには血圧が上がり、脈が早くなり、手に汗をかき、戦闘モードへ。
一方、副交感神経が優位に働いているときには逆の働きをし、リラックスモードになります。
ヨガは、交感神経から副交感神経へのシフトを促進するという複数の研究結果から(#1)、リラックス効果が示唆されています。
(参考文献#1.) https://www.jabfm.org/content/18/6/491.short
ストレス解消
長時間のデスクワークは、ストレスがたまりがりがちになります。
そこで、パソコンなどの情報機器を用いてデスクワークを行っている人を対象にヨガを行ったところ、ストレスレベルの指標とされている唾液中のアミラーゼ活性が顕著に減少し(#2)、ストレスが低減することを示唆されています。
(参考文献#2.) Chieko Kato, et al, A Survey of Analysis of Stress Reduction using Break Time Yoga Therapy in the Workplace:Measuring Stress Levels via Changes in Amylase Activity,人間工学 Vol 46, No2, p95-101
関連記事:論文レポート:マインドフルネスによるストレス軽減効果
集中力の向上
古来のヨガ実践者は、ヨガには集中力を向上させる可能性があると信じていました。
その可能性を示唆するものとして、イリノイ大学の研究者たちは11の研究結果を検証しました。
そして、定期的なヨガの練習をすることで、マルチタスクなどを担う脳の前頭前野がより大きく効率的に働くようなると、まとめています。(#3)
(参考文献#3.) https://www.sciencedaily.com/releases/2019/12/191212105851.htm
関連記事:論文レポート:マインドフルネスによる集中力向上効果
睡眠の促進
睡眠に関係するホルモンとして、メラトニンがあります。
脳内の松果体から分泌されるホルモンで、明るい光によって分泌が抑制され、光の少ない夜に多く分泌される、体内時計の働きをしています。
ヨガを3ヶ月続けることで、血液中のメラトニンが増加し(#4)、ヨガによって睡眠が促進される可能性を示唆されています。
(参考文献#4.) https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15165407/
関連記事:論文レポート:睡眠の質の向上―脳波からみたマインドフルネスの効果-
自分自身を内側から浄化
わたしたちは、呼吸によって酸素を取り込み、一部の酸素が活性酸素に変わります。
活性酸素は、DNAやタンパク質を傷つけてしまうことで、カラダをサビつかせてしまうことがあります。
ヨガの呼吸法では、このようなカラダのサビの原因となる活性酸素を除去する力を持つ酵素(スーパーオキシドジスムターゼ)を増加させ(#5)、カラダのサビを浄化する働きがあることが示唆されています。
また、週3回のヨガのトレーニングが、ストレスや不安、うつ病を軽減するのに効果的な役割をはたすという研究結果に示されているように(#6)、ココロの浄化にも役立つと考えられています。
(参考文献#6.) https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5843960/
ヨガの瞑想を始めるにあたっての準備
ヨガの瞑想を快適に始めるための準備として、以下のようなものがあります。
用意するもの
①敷物:ヨガマットやラグ、座布団など。
②服装:体を締め付けない、ラクなもの。
③環境:まわりに気が散るものがなく、自然と落ち着ける場所。
最初の2週間くらいは、同じ場所で行うことで、瞑想に慣れやすくなります。
暑すぎず、寒すぎず、湿度が快適で落ち着ける場所がオススメです。
<例>
・リビングルームのソファ
・ベッドの上
好みによって、音楽やアロマを使用したり、照明の明るさを調節します。
ヨガの瞑想のやり方3選
実際のヨガの瞑想の方法を3つ紹介します。
チャクラ瞑想
ハタヨガでは、体のエネルギーの通り道として、脊椎に沿って蓮華様円盤状のチャクラというエネルギー中枢があると考えられています。
チャクラは、頭のてっぺんから尾骨のあたりまで、7カ所あります。
それぞれのチャクラにはエネルギー的な意味づけがあり、7つのチャクラが整うことで体全体のエネルギーがスムーズに循環し、調子の良い状態になると考えられています。
そこで、全体のバランスが整うように、チャクラ瞑想によってエネルギーの不足しているチャクラを浄化します。
<やり方>
1. あぐらをかき、両手は力を抜いて膝の上に置く。2. 目を軽く閉じる。
3. 骨盤を立てるようにして座る。
4. 深呼吸を繰り返す。
5. 第1チャクラから第7チャクラまで順番に、各チャクラの色と各々の意味づけをイメージして、下から上へエネルギーが流れるのを感じる。
第1チャクラ:ルートチャクラ。赤色。尾骨のあたり。(意味:地に足のついた安定感。)
第2チャクラ:オレンジ色。へその下のレベル。(意味:情熱。性的エネルギー。創造性。)
第3チャクラ:黄色。みぞおちのレベル。(意味:意思力。自発性。)
第4チャクラ:緑色。心臓のレベル。(意味:思いやり。愛情。人間関係。)
第5チャクラ:青色。喉、甲状腺のレベル。(意味:自己表現。コミュニケーション。)
第6チャクラ:紺色。眉間のレベル。(意味:直感力。知恵。)
第7チャクラ:紫色。頭のてっぺん。(意味:スピリチュアリティ。神の導き。)
チャクラ瞑想のより詳しい解説はこちらの記事をご覧ください。
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関連記事:チャクラ瞑想のやり方とは?7つの効果で豊かな人生を手に入れる!
呼吸瞑想
自分の呼吸のリズムに意識を集中させる瞑想方法です。
<やり方>
1. あぐらをかき、両手は膝の上に力を抜いて置く。
2. 目を軽く閉じる。
3. クッションをお尻の敷いて、骨盤を立てるようにして座る。
4. 呼吸に意識を向ける。
5. 途中で考え事が浮かんできたら、そのことに気付き、また意識を呼吸に戻す。
イメージ瞑想
景色や人、花や写真など、イメージを用いて、それに集中する瞑想方法です。
自分の好きなものを対象物として選びましょう。
頭の中でイメージするのが難しい場合は、実際に目の前に持ってきて、眺めながら瞑想します。
<やり方>
太陽をイメージする場合
1. あぐら、または椅子に座り、背すじを伸ばす。
2. 息を吸うとき、太陽の光を吸い込むようなイメージをする。
3. 息を吐くとき、吸い込んだ太陽の光を全身に行き渡らせて、エネルギーが満ちていることをイメージする。
4. 息を吸って太陽の光を吸い込み、吐いて体にエネルギーを行き渡らせる。
5.このイメージを繰り返す。
ヨガの瞑想の代表的な3つのポーズ
ヨガの瞑想では、呼吸がしやすく、ラクに座り続けられる姿勢が大事です。
代表的なポーズを3つ紹介します。
ロータスのポーズ(蓮華座)
<方法>
1. 骨盤を立てて、左右の坐骨に均等に体重をのせる。
2. 両足を曲げ、右足を左太腿の上に、左足を右の太腿の上にのせる。
3. 両手は膝の上で親指と人差し指で丸を作る。
しかばねのポーズ
ヨガの最後に行われることの多いポーズです。
<方法>
1. 仰向けになる。2. てのひらを上にして、脇の下に握り拳ひとつぶん開いて、腕を広げる。
3. 足は肩幅より広めに開く。
4. 自然に呼吸をして、呼吸に意識を向ける。
5. リラックスしているのを感じる。
スカーサナのポーズ(安楽座)
<方法>
1. 骨盤を立て、左右の坐骨に均等に体重をのせる。2. 足の力をぬいて、あぐらをかく。
3. 左右の手は膝の上で掌を上向き、または下向きに置く。
まとめ
ヨガはもともと、瞑想することがメインでした。
ヨガの瞑想は、姿勢や呼吸を整え、深い瞑想に入ることで、万物との一体感が得て幸せを感じるトレーニングです。
ヨガの瞑想のやり方や代表的なポーズを紹介しました。
※本記事の内容は、執筆当時の学術論文などの情報から暫定的に解釈したものであり、特定の事実や効果を保証するものではありません。