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世界中が睡眠で悩んでいる?
あなたは毎日の睡眠に満足できていますか?
「睡眠に満足している人はわずか49%」という驚きの調査があります。
グローバル企業であるフィリップスが2020年に行った睡眠に関する世界調査です。
フィリップスは、ヘルスケア製品・医療関連機器を中心とする電気機器関連機器メーカーとして、日本でも知名度がありますよね。
この調査によると、日本で睡眠に満足している人の割合は32%に留まり、13カ国中、最下位という結果でした。
睡眠の現状として目立ったのは、夜中に目が覚める回数が平均1.8回、目覚ましアラームを鳴らす回数は平均1.7回というもの。
ここから、〈眠りが浅く、目覚めが悪い〉という課題が見えてきます。
眠りにお悩みのあなたなら、以下の対策は打ったことがあると思います。
・寝る前にスマホを見ない
・入浴し身体を温める
しかし、これだけでは、いまいち効果を感じられなかったのではないでしょうか?
そこで、睡眠の質の改善に瞑想を取り入れることを、オススメします。
科学的データをご紹介しながら、瞑想と睡眠が「よい関係」であることを解説します!
瞑想が睡眠の質を高めるメカニズムとは?
レム睡眠とノンレム睡眠
睡眠時間を延ばせば、頭と身体の休息は十分と言えるのでしょうか。
答えは「No」です。
睡眠時間、すなわち睡眠の量だけでなく、質も満たされている必要があります。
そして、睡眠の質を上げるには、入眠して最初のノンレム睡眠がとても大切になってきます。
睡眠は、時間の経過と共に、レム睡眠とノンレム睡眠の2種類を繰り返しています。
レム睡眠の間は、脳が活発に働き、記憶の整理や定着が行われます。
ノンレム睡眠の間は、脳が休息し、脳や肉体の疲労回復に充てられます。
入眠時の深いノンレム睡眠中に、成長ホルモンが出ます。
この成長ホルモンが新陳代謝を促進し、体の修復を行い、美容やアンチエイジングにも役立ちます。
深い睡眠は、眠気や疲労からの解放、免疫力の増強、老廃物の代謝にも深く関わっていることがわかっています。
つまり、ノンレム睡眠の質を上げることが、睡眠全体の満足度に繋がるのです。
深い睡眠に入るためには、眠る前に、リラックスした気分になっていることが重要です。
そのため、リラックスに向かうことを妨げるような要素、
すなわち不安や緊張を取り除き、ストレスフリーな状態に整える必要があるのです。
ストレスフリーな心身を整えるツールとして、瞑想が役に立ちます。
瞑想でストレスをなくそう
ストレスと瞑想に関する研究をご紹介します。
ドイツのマックス・プランク研究所の研究チームは、3つの瞑想トレーニングプログラムを1日30分間で週6回、3カ月以上実践しました。
その後、参加者の脳活動を詳しく調べところ、瞑想の実践により、別名“ストレスホルモン”と呼ばれるコルチゾールの分泌が最大で51%抑制され、ストレスが軽減されていることが確認されました。
また、瞑想訓練を受けている人々は、脳神経接続の構造が変化し、ストレスレベルが減少する効果があることも、わかっています。
更に、瞑想を行うことにより、自律神経が整い、副交感神経が優位になります。
自律神経とは、作用が相反する2つの神経、すなわち交感神経と副交感神経に分類されます。
車で例えると、交感神経がアクセル、副交感神経がブレーキです。
日中は、交感神経が働き、体を活動的な状態にします。
夜は、副交感神経が働き、体を休息させる役割を担います。
ところが、仕事などのストレスが多いと、2つの神経がうまく機能しなくなります。
つまり、夜が来ても、交感神経の働きが強い状態が続き、体を休めるモードへうまく切り替わらない事態が発生してしまうのです。
瞑想を行うことで、ストレスが減り、その結果、自律神経が正常に働くようになるのです。
瞑想と睡眠に関する研究をもっと知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
睡眠の質が体調に与える変化
最近の研究で、睡眠不足はさまざまな病気のリスクを高めていることがわかってきました。
いま注目されているのが、睡眠と癌の関係です。
2014年に米シカゴ大学が行った研究では、実験的に睡眠を不足させたマウスの癌細胞が増殖しやすくなることがわかりました。
本来ならば癌細胞を攻撃するはずの免疫細胞が、睡眠不足の場合、逆に癌細胞の増殖を手助けするようになる可能性が見えてきたといいます。
実験を行った研究者は、今回の研究はマウスを特殊な方法で睡眠不足にしているので、この結果をそのまま人間の睡眠負債にあてはめられるかどうかは議論の余地があるとしながらも、人間でも同じことが起きている可能性が高いと指摘しています。
睡眠不足は、免疫システムの働きに影響を及ぼし、結果として癌のリスクを高めている可能性が見えてきました。
その他、このような病気のリスクが高まるといわれています。
・高血圧、不整脈
・肥満、糖尿病、脂質異常
・うつ、認知症
健康のためにも、毎日の眠りの質を改善する事がとても重要なのです。
瞑想で不眠症が改善する?
南カリフォルニア大学の研究チームが、マインドフルネス瞑想によって不眠が改善するという研究を発表しました。
その内容は、中等度の睡眠障害を持つとされた高齢者数十人に対して6週間、マインドフルネス瞑想を行うチームと、睡眠衛生教育を受けるチーム(つまりマインドフルネス瞑想を行わない対象群)に分けて行うというもの。
この結果、実験前と比べてマインドフルネス瞑想を行ったチームのほうが、睡眠障害尺度の減少が確認されたそうです。また、日々の疲労や抑うつ症状も改善したと言われています。
加えて、ミネソタ大学アカデミックヘルスセンターが実施した対照臨床試験では、興味深い結果が明らかになりました。
慢性不眠症に苦しむ人々を、医薬品の睡眠補助剤を使用するグループと、マインドフルネスストレス低減プログラムを受けるグループに分け、2グループの比較実験を行いました。
その結果、マインドフルネスを受けたグループは、睡眠補助剤を使用したグループと同様の結果となったのです。
つまり、薬と瞑想の効果が同じだった、ということが言えます。
すべての参加者はいつもより早く眠りに落ち、より長く眠りました。
医薬品を服用しているグループの一部では、薬による副作用の報告がありましたが、マインドフルネスのグループでは副作用などの報告はありませんでした。
薬学部および看護学部のシンシアグロス博士は言います。
「この研究は、慢性不眠症の治療としてのマインドフルネストレーニングの有効性の最初の証拠を提供します」
「慢性不眠症の人、特に睡眠薬を使用できない、または使用したくない人には、マインドフルネストレーニングを検討することをおすすめします。」
瞑想のやり方を知って睡眠の質を上げる
睡眠の質を上げることが目的であれば、やはり眠る前に瞑想を実践するのが効果的でしょう。
寝転がったまま行う瞑想と、アプリを利用した誘導瞑想をご紹介します。
ボディスキャン
やり方
1. 基本姿勢を取る
あお向けになり、肩幅程度に足を広げ、自然な呼吸を行います。
そして、ゆっくり目を閉じます。
2. 自分の体の重みを感じる
体が布団に触れている面に意識を向け、体の重みを感じます。
3. 頭のてっぺんから足先まで体中をスキャンしていく
頭皮を懐中電灯でゆっくりと照らすようなイメージで、観察していきます。
そして、「かゆい」「つっぱるような感じがする」などの感覚を
そのまま受け止めます。
皮膚の感覚を観察し終えたら次は筋肉に意識を向けていきます。
力みや緊張感がありませんか?
この方法で、体の上から下へ、頭、顔、喉、肩、腕、指先、胸、背中、お腹、腰、お尻、脚、
足の指先まで観察します。
CTスキャンで自分の体を精密に読み取るイメージで取り組んでみましょう。
4. 「余分な力」を呼吸とともに吐き出す
筋肉に緊張感を感じたら、大きく息を口から吐き出し、余分な力を抜いていきます。
ふわっと体から力が抜けるまで、呼吸を繰り返しましょう。
5. ポジティブな感情を身体に感じさせる
幸せで喜びにあふれた出来事や、自分の力を最大限に発揮し自信を感じたときの記憶を思い出してください。ポジティブな感情は、体の中ではどんな風に感じられますか?
呼吸はどう変化しますか?観察します。
6. 元の状態に戻る
最後は呼吸に意識を向け、心が落ち着かせます。
以上が、ボディスキャンの基本です。
慣れてきたら、意識する体のパーツをどんどん細かくしていきましょう。
例えば、顔というパーツを、鼻、右目、左目、くちびる、のように細かく分解するほど、集中度が上がっていきます。
実践中は、いろんな思考が浮かんできます。そのことに気が付いたら、体のパーツに意識を戻すようにしてください。
どんな感覚があるかを静かに観察しつつ、感覚や思考をそのまま受け入れましょう。
Relookアプリを利用した誘導瞑想
「疲れ過ぎでもう何もする元気がない」という日は、お布団の中でアプリを使った瞑想をするのもいいでしょう。イヤホンを付けて誘導に従うだけで、すぐにリラックスすることができます。
多く存在する瞑想アプリの中でも、relookがオススメです。
「脳の疲れをとるクリスタルボウル瞑想」や「深呼吸ルーティンで熟睡する体質になる」など、睡眠に関する誘導瞑想の種類がたくさんあるので、その日の気分に合わせて選ぶことができます。
14日間は無料で使えるのでぜひ試してみてください。
ユーチューブを利用した、寝る前の瞑想にオススメの動画も知りたい!という方は、こちらも読んでみてください。
まとめ
質のよい睡眠をとるのための、夜の行動をまとめました。
・ベッドに入る2時間前の食事・飲酒は避ける。
・ベッドに入る前の60~90分前に入浴する。
・ベッドに入る前の60分は、思考を刺激する情報を取り込まない(テレビやスマホを見ないようにする)
・眠る直前に、ボディスキャン瞑想もしくはRelookの誘導瞑想を聞く
これらを自分に生活に少しずつ取り入れてみてください。
質のよい睡眠のためにも、瞑想を習慣化してみましょう。
ぐっすりと眠り、明日を今日よりもよい日にしましょう!
※本記事の内容は、執筆当時の学術論文などの情報から暫定的に解釈したものであり、特定の事実や効果を保証するものではありません。