瞑想とマインドフルネスの違い

日本でも静かなブームとなっているマインドフルネス。

元々は仏教用語のサティを英訳した言葉になります。

日本語で言うと「気づき」と訳すのが一番分かりやすいのではないでしょうか。

「今、この瞬間に気が付くこと」

これをマインドフルネスと言います。


人の思考は移ろいやすく、常に過去や未来のことを考え続けています。

例えば、
仕事中に週末はどこに遊びに行こうかと考え、夜ごはんを食べながら、上司の発言を思い出して腹を立て、眠る前に、過去の失敗を思い出して恥ずかしくなる・・・。

このように、脳内が過去や未来へと行ったり来たりしている間は、目の前の事に気付くことはできません。

マインドフルネスはこれと対極にある状態と考えてよいでしょう。
今、ここに全集中している「マインドフルな状態」になるために、瞑想を行います。

つまりマインドフルネスと瞑想は、目的と手段の関係にあるのです。

マインドフルネス瞑想と坐禅の違い

日本人にとって、瞑想と聞いて頭に浮かぶのは、やはり坐禅ですね。

坐禅は、ただ座ります。
それ以上でもそれ以下でもなく、座り、思考を捨て続ける瞑想法です。

一方、googleなど大企業の研修プログラムとして取り入れられているマインドフルネス瞑想法は、注意の対象を決め、そこに意識を集中させることで、思考が自然と抜け落ちていく瞑想法です。

坐禅もマインドフルネス瞑想法も、どちらも「マインドフルネス」つまりサティを得るための瞑想法です。


まとめましょう。


・マインドフルネスとは「今、この瞬間に気づくこと」であり、瞑想はマインドフルネスになるための手段である。

・坐禅とマインドフルネス瞑想法の大きな違いは、注意の対象があるか、ないか。

 

マインドフルネス瞑想の効果

 

健康面


・糖尿病の治療に役立つ

マインドフルネス瞑想を、病状コントロールやストレスコントロールのために取り入れるクリニックが増えています。

糖尿病患者は「あなたは糖尿病です」と診断を受けること自体や、合併症に対する恐怖、

さらには日々の食事や運動の自己管理など、ストレスを抱きやすいそうです。

これらのストレスは、血糖コントロールを悪化させることが分かっています。


このストレスの軽減を目的として、マインドフルネス・ストレス低減法を14名の2型糖尿病患者に実施したところ血糖コントロールに改善が見られたそうです。

(引用論文:http://www.alternative-therapies.com/at/web_pdfs/rosenzweig.pdf

 

また、食事の際にマインドフルに食べることで、少量で満足でき、結果としてストレスなく減量が可能です。

マインドフルネス瞑想だけで病気が改善することはありませんが、上手に取り入れることで、治療が良い方向に進むことが期待できそうですね。

 

・血圧が下がる

2019年4月に「高値血圧」に再定義されたこと、ご存知でしたか?

ファンケルの調査によると、これにより、新たに約2,200万人の方が高血圧予備軍となります。

(参考:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000404.000017666.html#:~:text=2019%E5%B9%B44%E6%9C%8825,%E3%82%92%E4%BB%98%E3%81%91%E3%82%8B%E5%BF%85%E8%A6%81%E3%81%8C%E3%81%82%E3%82%8A%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82)


高血圧症は、もはや国民病と定義しても過言ではなさそうです。

瞑想によって血圧が下がることを示すエビデンスはたくさんあります。

米国保健社会福祉省のホームページでも瞑想によって血圧を下げることが出来ると記載されています。

マインドフルネス瞑想によって血圧にどう作用するか、詳しい内容を知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

 

・慢性痛の改善

角に足の小指をぶつけて、「ぎゃー」と叫ぶほど痛い思いをしたことがある方はたくさんいらっしゃると思います。

このような痛みは「急性の痛み」と呼ばれ、原因がハッキリとしていて、長時間続くことはありません。

何かしらの理由で身体が傷ついても、薬や手術などの処置で痛みが無くなります。

これに対し「慢性的な痛み」は、原因が良く分からず、薬を使っても良くならない状態を言います。

その痛みが、半年以上続いたり、一定期間ごとに繰り返されたりする場合は慢性状態と言えるでしょう。

 

慢性痛は、身体的な「痛み」と、痛みによって引き起こされる「苦痛」「絶望感」「無力感」などの感情面が一緒になってしまい、治療を困難にさせています。

まずは瞑想によって痛みと感情を切り離し、痛みを「ただの痛み」として受け入れることによって、コントロールできることがわかっています。

文献の批評的レビューによると、1960年から2010年までの間に慢性痛とマインドフルネスの調査が16件報告されており、そのうち、16件中10件 で、慢性痛の緩和が確認されました。

マインドフルネスが痛みから来る苦痛を緩和する効果がある、と結論付けています。

(引用:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23240921/)

 

・自律神経が整う

自律神経とは私たちの体をコントロールしている神経のこと。

交感神経と副交感神経の2種類が存在し、車のアクセルとブレーキのような役割を果たしています。

自律神経が整うことによって、リラックス効果が生まれ、夜良く眠れるようになります。

 

精神面

・集中力が上がる

何かひとつに集中したいけど、すぐに気が散ってしまう。
誰もが1度は悩んだことがあるのではないでしょうか。

実は人間の脳は「雑念にまみれやすい」構造をしているんですよ。

「マインドワンダリング」といって、私たちの目覚めている生活の約50%は、今目の前で起きている事とまったく違うことを考えているのです。

最初に説明した「過去と未来を行ったり来たり」の状態ですね。
マインドワンダリングは、デフォルトモードネットワーク(DMN)として知られる、脳領域のネットワークにおける神経活動と関係があることが分かっています。

このDMN活動を減らすための方法として有効なのが、マインドフルネス瞑想です。

瞑想熟練者の脳活動を調べると、集中力を妨げるDMNの活動が低いことも分かっています。

つまり、瞑想を習慣化することで、脳が集中しやすい構造に変化すると言えるでしょう。

 

・感情のコントロールが出来る

あなたはついついカッとして、大きな声を出したり、物に当たってしまったり、衝動的な行動をしてしまった経験はありませんか?

怒りは、脳の「扁桃体」と呼ばれる部分が反応して生まれる感情です。

扁桃体が暴走してしまうと、思考をストップさせてしまいます。
心理学者のダニエル・ゴールマンはこれを「扁桃体ハイジャック」と呼んでいます。

怒りの感情自体は悪者ではありませんが、この感情に巻き込まれてしまうと他者を傷つける危険性もあります。
また、自分自身もエネルギーを使いすぎて疲れてしまうかもしれません。


マインドフルネス瞑想を行うと、怒りの感情をすぐに認知できるようになります。
それによって扁桃体の暴走を食い止めることが可能です。

瞑想を習慣化させることで、脳構造が変化。
怒りや悲しみなどの感情に巻き込まれることが少なくなってきます。

 

・思いやりの気持ちが育つ

強い自己認識を持っている人は、共感能力も高いことを示す科学的根拠があります。

脳内の島皮質と呼ばれる部分は、自己認識と共感の両方に関係があるそうです。

つまり、マインドフルネス瞑想によって、自分の体や感情を認識する練習をすれば、島皮質が活性化され、共感能力も同時に伸ばすことが出来るのです。


・ポジティブになれる

マインドフルネスによって物事をありのまま受け入れることで、ポジティブになることができます。

瞑想とポジティブについての詳しい記事はこちらをご覧ください。

 

マインドフルネス瞑想のやり方

基本の呼吸瞑想

1.基本姿勢をとる

イスに浅く腰をかけるか、座布団の上に胡坐で座ります。

酸素がたくさん入るよう、お腹はゆったりさせておきましょう。

両手は膝の上。イスに座っている場合、脚は組まず、足の裏をしっかりと床に付けましょう。

目を軽く閉じ、あごを緩めましょう。

 

2.体の感覚に意識を向ける

膝に乗せている手の重み、体の重みを支えるおしり、床に触れている足の裏。
体の細かい感覚を味わいます。

 

3.呼吸に意識を向ける

鼻から吸って鼻から吐く呼吸を繰り返しながら、お腹が膨らんだりへこんだりする様子を追いかけます。
呼吸をコントロールしないように、自然と繰り返しましょう。

 

4.雑念が浮かんだら

あなたは必ずよそ事を考えます。

雑念が浮かんだことに気がつき、また呼吸に注意を向けましょう。

雑念が浮かぶ自分を責めないでください。
善悪の判断なく、ただ呼吸に集中しましょう。

 

5分から10分行います。

始めは1分間瞑想からスタートしても良いでしょう。

少しずつ時間を延ばしていって大丈夫ですよ。

 

 

RAIN

怒りや欲望などを感じた際にオススメなのが「RAIN」です。

瞑想教師のミッシェル・マクドナルド氏が開発しました。

 

「Recognize」認識する

「Accept」受け入れる

「Investigate」検証する

「Non-Identification」距離をとる


のステップで実践します
怒りで例えて説明しましょう。

 

1.Recognize

今、自分は怒っているな、と気づきましょう。そして体にどのような変化が起きているか観察します。

「なんだか呼吸が浅いな」「心臓がドキドキする」「顔がカーッと熱い」

この観察がマインドフルネスな状態を作ってくれます。

 

2.Accept

「また怒ってる、だめだ!」「そもそも私を怒らせたあの人、許せない!」と、どんどん感情の中に入り込まないようにしましょう。
「しょうがない、そんなこともあるよね」と怒りが起きている事実をそのまま受け入れましょう。

 

3.Investigate

「なぜ怒ったのかな?」と自分にインタビューするような気持ちで自分に聞いてみましょう。

「そんなことで怒っちゃダメだよ」と自分に説教してはいけません。

ただ、同調しましょう。

そして1で感じた体の変化をもう一歩進め、今の自分をもう一度検証します。

 

4.Non-identification

「怒りが収まるといいなぁ」

怒りを突き放して「他人事」のように考えてみる。

もう一人の自分が、怒っている自分を遠くから見つめているような感覚です。

 

 

「自分のストレス症状の意味を認識し、受け入れ、探求した後、最終段階に現れるのは、自分がそうしたものを経験している最中ではあるけれども、それが自分そのものではないという気づきだ」

『「RAIN」で極度の緊張を乗り切れ』(モニク・バルコア)『ハーバード・ビジネス・レビュー』(2019年5月号)

 

怒っている自分と、自分を分裂させることで、扁桃体の働きを抑えることが出来るのです。

 

マインドフルネス瞑想だけじゃない!他の瞑想もご紹介

エイブラハム瞑想

エイブラハムと言う言葉を聞いたことがなくても「引き寄せの法則」なら聞いたことがあるかもしれません。

瞑想を行い、頭の中をすっきりさせることで、周りの声や主観などにごまかされず、本当に自分が欲しているものを、見つけることが出来ます。

やり方はリラックスして座り、自分の内側に意識を向け続けることだそうです。

 

超越瞑想

TMとも呼ばれ、著名人や、ハリウッド関係者たちが多く実践しています。

その為アメリカでは知名度が高く、学校教育などでも取り入れられています。

 

マントラと呼ばれる意味のない短い言葉を唱える瞑想法で、朝晩の1日2回、20分行うことを推奨しています。

リラックス効果が非常に高く、血圧を下げる作用は、マインドフルネス瞑想よりも高いことがわかっています。


マインドフルネス、瞑想におすすめのYouTube音楽5選


瞑想の際にBGMとしてぴったりな、アンビエント・ミニマル音楽をご紹介します。


 

アンビエントの生きる伝説と呼ばれるララージ。

どの曲も瞑想と相性が良いので、ぜひ色々と聴いてみてください。


ニューエイジ、メディテーションミュージックシーンを代表する演奏家、スティーブ・ローチ。
筆者はいつもこのレコードを聞きながら夜の瞑想しています。


 

アンビエントの大御所、ブライアン・イーノの楽曲に雲の映像が合わさっています。

見ているだけでマインドフルになれそうです。


 

南青山にオープンしたメディテーションにアートと煎茶文化を融合した体験型スタジオ、メディーチャのサウンドプロデューサーであるコリー・フラー。ゆっくりと深呼吸したくなる音楽たちです。

 


東京拠点のアンビエントアーティスト、HTakahashiの楽曲です。
どの曲も瞑想にピッタリです。ほっとしたいコーヒータイムなどにもオススメです。



まとめ

今回は瞑想とマインドフルネスの違い、マインドフルネスの効果、やり方、オススメ音楽と、マインドフルネスの全体を理解できる記事となりました。

少し情報量が多かったので、まとめましょう。

 

・瞑想は手段、マインドフルネスは目的。

・身体的にも精神的にも、多くの効果が期待できる。

・呼吸に集中したり、あえて感情と距離をとったりするような瞑想法がある。

・マインドフルネス瞑想以外にも色々な瞑想法がある。

・音楽はなくても瞑想できるが、あるとより気分が良くなる。

 

以上、今回の記事のまとめでした。

 

マインドフルネス瞑想の効果を感じるためには、なるべく毎日、同じ時間に行ってください。

1.2回では効果はあまり感じられないからです。

 

瞑想用にRelookのアプリをダウンロードしておけば、スマホを手にするたびに瞑想が関連して思い出され、習慣化されやすいのでオススメです。

今日から瞑想を始めましょう!

 

※本記事の内容は、執筆当時の学術論文などの情報から暫定的に解釈したものであり、特定の事実や効果を保証するものではありません。