目次
ジャーナリングとは何か?
「気分がなんだか晴れない」「考えがまとまらない」と、心がスッキリしないときは、ぜひジャーナリングにトライしてみましょう。
ジャーナリングは「書く瞑想」とも呼ばれ、頭に浮かんできた言葉をひたすら紙に書き出す作業のことを指します。
ペンと紙を用意して、自分の思いを書いていくだけです。
紙に言葉を並べて可視化すると、自分の気持ちを客観視できるため「気づき」を得ることができると言われています。
また作業記憶がアップしたり、パフォーマンスが向上したり、他者とのコミュニケーションがうまく取れるようになったり、社会生活にも良い影響を与えてくれるのです。
企業研修にSIY(Search Inside Yourself)と呼ばれるマインドフルネスプログラムを取り入れたことで注目されたGoogleでも、その一環としてジャーナリングが行われてきました。
リーダーシップには自己認識や自己管理が欠かせません。
ジャーナリングはそれらの能力を高めてくれるのです。
自分の頭の中にしかなかった考えや理想を文字に落とし込むことで、自分の目的やビジョンが明確になります。
自己理解が高まると具体的な目標を定められるようになり、実現化しやすくなると言えるでしょう。
GoggleのSIYを日本に広め、マインドフルネスを基盤とするリーダーシップのプログラムを展開している「一般社団法人マインドフルリーダーシップインスティテュート」(MiLI)理事の吉田典生氏は著書の中でジャーナリングを次のように定義しています。
ジャーナリングは最適のメンタルで仕事に臨むため、ストレスと向き合うため、難しい課題を探求するために、手軽でパワフルに、かつ楽しみながら実践できるマインドフルネスワークです。(引用:吉田典生,「手で書くこと」が知性を引き出す 心を整え、思考を解き放つ新習慣「ジャーナリング」入門,文響社,2017)
ペンと紙さえあれば、ジャーナリングはいつでもどこでも行えます。
忙しい方でも、移動時間や仕事の合間に取り入れられるため続けやすいのが特徴です。
手軽に行えるにも関わらず、身体面でも精神面でもプラスの効果が得られます。
ジャーナリングはマインドフルネス瞑想法とは異なるアプローチで、自己理解を深めるための方法として生活に取り入れたい習慣です。
ジャーナリングでマインドフルネス状態が作れる
「今、この瞬間」に意識を向け続けるマインドフルネス瞑想法は、心身を健やかに保てる習慣として注目されています。
宗教色を取り払った瞑想法のため、特定の宗教を信仰していなくても行えるのが特徴です。
高いリラックス効果を得ることができ、脳を活性化させるので、作業パフォーマンスの向上にも繋がります。
マインドフルネス瞑想法では、マインドフルネスな(Mindfulness注意深い)状態を作ることが可能です。
ありのままの自分を受け入れ、感情や思考に判断を下さず、現在に集中している状態を指しています。
過去や未来にとらわれず、今の状況や自分自身を客観的に捉えられるようになるので、心の安定にも繋がるのです。
マインドフルネス状態に導いてくれる方法は、呼吸に集中する瞑想法だけではありません。
ジャーナリングを行い、集中して自分自身と向き合う時間を持つことで、マインドフルネス状態を作ることができるのです。
自分の気持ちを「書く」作業は、さまざまな作用をもたらします。
自己理解が高まる
大人になると、本当にやりたいことや、自分の思いを口にすることができなくなるものですよね。
ジャーナリングでは心の奥底に沈んでいた、自分でも気付けなかった気持ちが見つかることもあるのです。
気持ちを紙に書き出して言語化すると、メタ認知が働き、自己理解が高まると言われています。
自分自身を冷静に客観視できるようになれば、柔軟性や問題解決能力がアップすることにも繋がるでしょう。
ストレス軽減
ネガティブな気持ちを否定したり、怒りを我慢したり、悲しみをやり過ごしたりと、自分の感情に蓋をしていませんか?
ネガティブな感情を溜め込んでいると、ストレスとして蓄積されてしまいます。
ジャーナリングでは、誰にも言えずにいた感情を吐き出すことで、心に溜まっていたネガティブな気持ちが減っていくでしょう。
書き出すと解決策が見えたり、捉え方を変えたりすることができ、結果的にストレスの軽減に繋がります。
集中力アップ
ジャーナリングは瞑想のように、「今、この瞬間」に意識を向けて書くことだけに没頭するため、集中力が向上すると言われています。
一定の時間、何かに向き合い続けるのは意外と難しいことですが「書く」という行為によって、集中しやすくなるのです。
普段なら、書きながら別のことに意識が向いたり、違うことを考えたりしているかもしれませんよね。
けれどジャーナリングの間は、そのようなマルチタスクをやめて、書くことだけに集中するため、集中力アップが期待できます。
頭の中を整理できる
忙しい毎日を過ごしていると、落ち着いてゆったりと過ごせる時間を取れないことも多いですよね。
そんなときにジャーナリングを行えば、思考の整理ができ、頭の中がクリアになります。
考えがまとまり、もやもやが消えると、新しい発想が浮かびやすくなるため、作業パフォーマンスの向上にも繋がるでしょう。
ジャーナリングがおすすめの人
ペンと紙さえあれば行うことができるため、誰でもジャーナリングは可能ですが、その中でも特におすすめしたい方をご紹介します。自分に当てはまる、と思った方はぜひジャーナリングに挑戦してみてくださいね。
悩みを抱えている
座ったり、仰向けで行ったりする瞑想が苦手だと感じた方や、心地良いと思えなかった方は、ジャーナリングが向いているかもしれません。呼吸に意識を向けて行う瞑想法は、思考と感情に正面から向き合うことになるため、全ての思考を受け流す作業が難しいと感じることもあります。
特に悩みを抱えている場合や、辛いことがあった直後などは、浮かんでくる感情や思いをただ眺めるだけでも苦しいと感じてしまうでしょう。ジャーナリングでは、悩みや辛さを書き出すことで、客観視できるようになり、自然にそれらの感情と距離を取れるようになります。ただ悲しさに飲み込まれるのではなく、目の前にある状況を冷静に捉えることができるでしょう。
瞑想に集中できない
瞑想に集中できずに諦めてしまったという方は、ジャーナリングをやってみましょう。
呼吸に意識を向ける感覚が掴めないと瞑想を続けることが苦痛になってしまいます。
集中できない、しっくりこないと感じたときはジャーナリングで「今、この瞬間」を意識してみましょう。
マインドフルネスワークのひとつと言われているジャーナリングは、瞑想を行わなくてもマインドフルネス状態になれる優れものです。
じっと座っていることに集中できずに嫌気がさしてしまう場合は、ひたすら手を動かすジャーナリングなら飽きずに楽しめます。
スキマ時間を有効活用したい
自分のためになることを習慣化したいと思っていても、続けるのはなかなか難しいものですよね。
手帳に書き込むだけで、思考の整理ができて新しいアイディアが浮かぶきっかけになるジャーナリングなら気負わずに始められます。
バスを待つ間や仕事の休憩時間など、空いた時間に行ったとしても、何かを書いているだけなので、どこでも実践できるのです。
1分や5分でも書けるため、忙しい方にもぴったりです。
スキマ時間を活用して、問題解決や思考の整理ができるため、仕事の作業効率アップも望めるでしょう。
書く瞑想、ジャーナリングのやり方
自由に紙に書くことで思考の整理ができ、ネガティブな感情に支配されずに、感情と向き合えるジャーナリングにトライしてみましょう。
気が散ってしまいやすいパソコンやスマートフォンではなく、手書きで行ってくださいね。
慣れているからと、スマートフォンやパソコンで打ってしまうと効果は半減します。ペンと紙を用意して、自分の字で気持ちを綴りましょう。
ジャーナリングを行うときは時間を設定し、その間は手を止めることなく書き続けることを意識してください。
考えるよりもとにかく手を動かします。
全く文章が浮かばないという方は、単語だけ並べても構いません。
自分が見返して、意味が分かれば良いので完璧な文章を書けなくても大丈夫です。
まずは1分や5分程度の短い時間から始めて練習しましょう。
- 紙と書くものを準備
- テーマを決める
- 心を落ち着ける
- タイマーをセットして書き始める
- 書いた内容を見返して振り返る
ジャーナリングをする時のポイント
静かな空間を選ぶ
集中しやすい場所を選んでジャーナリングを行うようにしましょう。
誰かに見られるかもという心配をしなくて済むように、プライベート空間で安心して書けるのが望ましいです。
心を落ち着けて、ジャーナリングだけに没頭できると本音を書きやすくなります。
テーマを決める
今悩んでいることや、考えてしまうこと、決めかねていることなど、書きたいテーマを選びましょう。初めのうちはテーマを絞ると、漠然と書くよりも書きやすくなるはずです。
下記に挙げた例を参考にしてみてくださいね。
慣れてきたらテーマを決めずに、書いてみるのも良いでしょう。
「今悩んでいること」
「モヤモヤしていること」
「自分の変えたいところ・好きなところ」
「どんな1週間だったか」
「自分の望んでいること」
「いつか叶えたいこと」
・時間を計る
書く前に何分間と決めてから始めましょう。
時間は5〜20分を目安に設定します。
5分から始め、10分、15分と長くして取り組みやすい時間を見つけてくださいね。
時間の計り方は、時計を見るのではなくタイマーをセットし、音が鳴るまで書き続けるようにすると集中できるのでおすすめです。
その間は手を休めずに頭に浮かんでくることを躊躇わずに書いていきましょう。
最初は止まってしまうかもしれませんが、続けていると深く考えなくても書けるようになりますよ。
・自由に書く
誤字脱字は気にせずに、思うがままに書き綴りましょう。
誰かに見せるための文章ではありません。
綺麗でなくても、間違っていても良いのです。
自分のためだけに書くことが大切です。
「こんなことを書くのは馬鹿げてる」「叶いもしないのにただの空想だ」と切り捨てることなく、浮かんできた感情を全て丁寧に受け止めましょう。
普段は気に留めていなかった気持ちを知ったり、新たなアイディアの発見に繋がったりすることもあります。
良いものを書こうとせずに、自分しか見ないのだからと割り切って、思いきり好きなことを書いてくださいね。
振り返る時間を設ける
書いた内容を読み返して、自分の感情や思考を分析してみましょう。
問題の表面的な部分だけでなく、本質的な部分を読み取れるようになります。
例えば、悩んでいたことを深く掘り下げてみると、どこの地点で行き詰まっているのか、どんな言葉に傷ついているのかなど、より具体的に見えてくるでしょう。
普段なら無視していたような気持ちから大切なことが見えてくるかもしれません。
問題が明確化されると、より効果的な解決策も浮かんできます。
まとめ
自分を深く見つめる時間を持ちたいけれど、座って行う瞑想法が苦手だという場合にはジャーナリングが最適です。
紙と書くものさえあればすぐに行えるため、敷居も低く気軽に取り組めるのも魅力的ですよね。
外出先で気持ちを整理したいと思い立ったとしても、ペンと手帳を用意しておくだけでジャーナリングは行えます。
スマートフォンやパソコンを使うことが増え「書くこと」から離れている方も多いのではないでしょうか?
手を使って気持ちを文字にすると、心に溜まっていたことや言葉にできなかった思いなどが溢れてきます。
抑え込んでいた感情を言葉にできると心もスッキリできるはずですよ。
社会生活を送る上で、何でもかんでも思っていることを口には出せませんよね。
我慢も遠慮も必要になります。
だからこそ、自分の本音を吐き出せる場を持つことは大切です。
書くことを習慣にすれば、定期的に気持ちの整理ができるため、心と身体の健康に繋がるでしょう。
ジャーナリングはマインドフルネス瞑想法と併用してもOKなので、気が向いたときや、悩みやモヤモヤが溜まったとき、選択に迷っているときなどに使うのがおすすめです。
マインドフルネス瞑想法とジャーナリング、目的によって使い分けると良いでしょう。
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瞑想を習慣化できると、生活にも良い影響が現れるでしょう。
瞑想とジャーナリングを取り入れて、さらに充実した毎日を過ごしてくださいね。
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※本記事の内容は、執筆当時の学術論文などの情報から暫定的に解釈したものであり、特定の事実や効果を保証するものではありません。
参考文献
吉田典生,「手で書くこと」が知性を引き出す 心を整え、思考を解き放つ新習慣「ジャーナリング」入門,文響社,2017