瞑想を英語で表すとMeditationという綴りになります。

近頃は「瞑想」と言わず、「メディテーション」と表記しているメディアが多くなりましたね。

地下鉄サリン事件以降、日本人はどうしても「マインド」や「瞑想」という文字を見るだけで拒否反応を示してしまいます。

メディテーションと表記するのは、偏見なく瞑想の良さを知ってほしい、そんな思いが込められているのでしょう。

 

今回はせっかく「メディテーション」と横文字表記をしているので、アメリカでの瞑想の広まり方を含めた瞑想の歴史、やり方などを解説します。

 

メディテーションの歴史

いつから行われていたか

歴史的に最も古い瞑想の資料は、パキスタン周辺に存在します。

今から約五千年前に栄えたインダス文明の遺跡モヘンジョダロ。
この遺跡の中に、瞑想を行っているような姿が刻まれている印章が発見されています。

 

語源

meditationの語源はラテン語で熟考する、という意味のmeditatumに由来するものだと言われます。

似ている単語としてmedicalが挙げられますが、medicalの語源はラテン語で治す、という意味のmediriから由来し、メディテーションとは関係がなさそうです。

 

宗教

かつて、瞑想は宗教的な行為でした。

物事の本質を捉えるため、人知を超えた何かと繋がるため、など理由は様々ですが、数ある修行の中のひとつに「瞑想」がある、と考えてよいでしょう。

例えば、私たちに馴染みのあるヨガも宗教瞑想です。

インド周辺の宗教だけでなく、西洋のキリスト教、中東のヒンドゥー教でも瞑想が行われています。

また、ユダヤ教ではスーフィーのように瞑想をダンスのように表現する方法もあります。


他にも、異なる風土・風習・歴史をもつ国や地域でも瞑想は行われていました。

ネイティブアメリカンや、アボリジニー、中国やアフリカなど、
各々の宗教、哲学、シャーマン文化の中で瞑想が発展してきたと考えられています。



スカートのようなものを履き、くるくると回るsufi dance.


仏教とブッタ

ざっくりと仏教の教祖、ブッタについて説明しましょう。

 

彼はインドの王家に生まれ、何不自由なく暮らしていました。

しかし、死や病の恐怖にさいなまれ、出家を決意します。

 

6年もの間、あらゆる苦行を行うことによって、死の恐怖や、あらゆる欲望を捨て去り、悟りを開こうとしました。

しかしうまくいきません。むしろ苦行により死が近づいてくるのを感じ、考えを一転させます。

 

健康を取り戻した後、精神を集中させ、自分の心と向き合うという新しい修行を始めました。

そう、ただ座って瞑想を続けたのです。

そして悟りに至りました。

 

彼が悟りを開いたのがヴィパッサナー瞑想と呼ばれる瞑想法で、インド最古の瞑想法のひとつです。

 

ブッタが瞑想法を考えた、と勘違いされていることが多いですが、実際は異なります。

彼は実践として瞑想の価値を広めることに尽力しましたが、彼自身が瞑想法を生み出すことはしませんでした。

 

アメリカのメディテーション

1700年代頃、インド宗教や、仏教などの東洋哲学が西洋で翻訳され始めたと言われています。

東洋哲学が一部の哲学者や知識人の間では話題に上ることがあっても、一般の人たちに広まることはありませんでした。

しかし、1960年代に東洋哲学ブームが訪れます。

同時、アメリカはベトナム戦争の真っ只中でした。
これに反対する若者たちの間で、反体制的意識や、反キリスト教の思考が盛り上り、新しいカルチャーが生まれました。
このようなムーブメントで生まれた、新しい思想の人たちを「ヒッピー」と呼びました。

余談ですが、ヒッピーの著名人と言えば、やはりスティーブ・ジョブズでしょうか。

彼が禅の実践者だったという話は有名ですよね。

東洋哲学は、ヒッピーの間で瞬く間に広がりました。

上座部仏教のティク・ナット・ハン、曹洞宗の鈴木 俊隆など多くの宗教家たちがアメリカを訪問し、多くの人にその教えと、瞑想を広めていきました。

同時に、超越瞑想、ヒマラヤ瞑想、セルフ・リアリゼーションなど、多くのスピリチュアル瞑想も生まれ、実践されました。

マインドフルネスの誕生

宗教的行為のひとつであった瞑想は、師からの教えの中で「体感する」「習得する」ものでした。

しかし、アメリカでは、瞑想を宗教的なものから切り離し、「理解する」ものへと変化させていったのです。

 

1970年代、マサチューセッツ大学医学部の教授であったジョン・カバット・ジンは、禅やヴィパッサナー瞑想などを学び、健康との関連を研究しました。

1979年には、マインドフルネスベースのストレス低減法を提唱。

ストレス低減クリニックを開設しました。

完全に宗教や信仰の要素を取り除き、ストレスを抱える人たちに有効なメソッドへと変化させたのです。

 

チョプラとgoogle

病気を抱えている人や、ヒッピーの間だけでなく、一般の人たちに瞑想を広めたのが医師のディーパック・チョプラでしょう。

1993年に処女作を出版。その後、80冊以上の本を出版しています。

著書は35か国に翻訳され、累計発行部数は2000万部を超えています。

マイケル・ジャクソンやオプラ・ウィンフリーといった著名人らから賞賛され、多くのメディアが彼の本を紹介しました。
特別な思想を持たない人たちにも瞑想が受け入れられ始めたのです。

2007年にはgoogleがマインドフルネスを社員研修に取り入れます。

これで、日本でも多くの人に瞑想が知れ渡ることとなりました。

 

メディテーションを実践している有名人


映画監督

・デヴィット・リンチ

・マーティン・スコセッシ

・ジョージ・ルーカス

など

 

女優・俳優

・アンジェリーナ・ジョリー

・ミランダ・カー

・ジャレッド・レト

・ヒュー・ジャックマン

・マイケル・J・フォックス

・キャメロン・ディアス

・ハル・ベリー

など

 

アスリート

・ノバク・ジョコビッチ

・マイケル・ジョーダン

・長友佑都

・イチロー

など

 

アーティスト

・レディー・ガガ

・ケイティ・ペリー

・シェリル・クロウ

・マドンナ

・ブリトニー・スピアーズ

・スティービー・ワンダー

・ビートルズ

など

多くの著名人たちが瞑想を行っています。

多忙なスケジュールや、過度なプレッシャーの中で活動を続けられるのは、
瞑想が役立っているから、なのかもしれません。

 

メディテーションの効果

不安やストレスを軽減

伝統的な瞑想によるリトリート効果に関するメタ分析があります。

合計20の論文を調査したところ、不安、抑うつ、ストレスの測定にポジティブな影響を及ぼし、感情的調節と生活の質の測定にも良い傾向が現れていることがわかりました。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27998508/

 

集中力の向上

短期間の瞑想でも、集中力が高まることが分かっています。

瞑想初心者にマインドフルネス瞑想を1日20分、週4回実践してもらいました。

結果、大幅に集中力が向上。また、倦怠感、不安感が軽減していました。

https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S1053810010000681

その他効果として
・ポジティブになる
・共感能力が高まる
・寝つきが良くなる
・血圧を下げる
などが科学的に証明されています。

メディテーションの種類

伝統的なものから、現代風にアレンジされたものまで、多種多様な瞑想が存在しています。

よく知ったものから、初めて聞くような瞑想まで紹介して行きましょう。

 

・マインドフルネス瞑想

ヴィパッサナー瞑想とほぼ同じと考えてください。

「マインドフルネス」の状態になる、つまり「常に気が付いている状態」になるための瞑想法です。

 

・サマタ瞑想

なにか1点に集中し続ける瞑想法です。

ろうそくの炎を見つめる方法や、呼吸にだけ集中し続ける方法などがあります。

 

・坐禅

禅宗が行う瞑想法です。

 

・阿字観

真言密教で行われる瞑想法です。

 

・超越瞑想

マントラを唱える瞑想法です。

 

・ダイナミックメディテーション

宗教家のOSHOが考案した瞑想法です。

Netflixのドキュメンタリー番組でOSHOの存在を知った、という方も多いのではないでしょうか。

 

・チャクラ瞑想

人間の体に7つあるといわれる「チャクラ」に意識を集める瞑想法です。

 

他にも、ヒマラヤ瞑想や薔薇十字瞑想などあらゆる瞑想法があります。

 

注意してもらいたいのが、悪意ある団体に嵌らないことです。

マインドフルネスブームにより、「瞑想を体験しませんか?」などと声をかけ、そこから団体へと勧誘する手口も増えています。
瞑想を体験したければ、一人で行える瞑想アプリなどを利用してください。

Relookアプリは医師監修のアプリです。
14日間無料で体験できます。
登録して、妙な団体に勧誘されることもありません。
ご安心ください。

 

メディテーションのやり方

手動瞑想

タイの僧侶が生み出した瞑想法で、手を動かし続ける瞑想法です。

過度に集中しすぎず、リラックスした状態で体を感じ続けるのがポイントです。

呼吸瞑想で挫折した経験がある方はぜひこちらを試してみてください。

 

やり方

準備

楽な姿勢で座ります。指先に意識を向け、両手を太ももの上に乗せましょう。

以下の手順で手を動かします。

 

1 右手の親指を上にして立てる

2 そのまま垂直に肩の高さまで上げる

3 ひじの位置は変えないまま丹田に手のひらを当てる

4 左手の親指を上にしてたてる

5 そのまま垂直に肩の高さまで上げる

6 ひじの位置は変えないまま右手の上に重ねる

7 右手を胸に当てる

8 そのまま外に開く

9 小指を下にして太ももの上に立てる

10 手のひら全体を太ももに乗せる

11 左手を胸に当てる

12 そのまま外に開く

13 小指を下にして太ももの上に立てる

14 手のひら全体を太ももに乗せる

 

これを繰り返しましょう。

動画がこちらです。

 

ボディスキャン

マインドフルネス瞑想のうちのひとつであるボディスキャンを紹介します。

リラックス効果が高く、眠る前にオススメです。

準備

仰向けで寝転がります。深呼吸を3回行い、自分の内側に意識を向けましょう。

 

1.頭皮を意識します。頭のてっぺんから懐中電灯のようなもので頭皮を照らしているような感覚です。

 

2.頭から顔、首、肩、胸、腕、みぞおち、下腹部、脚の付け根、太もも、膝、ふくらはぎ、足首、足の裏、布団に触れているふくらはぎの裏、膝の裏、太ももの裏、お尻、腰、背中と上からぐるっと体中を回るように、各パーツ意識を向けていきましょう。

途中、体から意識が離れてしまったら、それに気がつき、また体に戻ります。

 

体の観察をしていると、

「肩が岩みたいに重く感じる」

「腰に鎖が絡みついているみたい」

など、どこか不愉快な感覚を発見するかもしれません。

 

その場合、その感覚に嫌悪感を抱かないでください。

ただ、そのまま受け入れ、そしてふーっと口から息を吐きましょう。

不愉快な感覚が体から出て行くようなイメージをしながら何度か繰り返しましょう。

そして吸う息と同時に新鮮な酸素が体中に行き渡るのをイメージしてみましょう。

ふわっと体が緩むような感覚があったら、次の体のパーツに移ります。

 

この方法に慣れてきたら、観察するパーツをもっと細かくしていきましょう。

おでこ、まゆげ、まぶた、こめかみ、など、より小さな範囲に意識を向けることで自己認識が高まります。

これにより、脳の島皮質が活性化することが分かっています。

 

メディテーションを行う際のポイント

瞑想に慣れない間は、落ち着いた、静かな部屋で行うと良いでしょう。

なるべく気が散らないようにスマホの通知音もOFFにしておきます。

 

そして一番のポイントが効果を求めないことです。

 

「効果が無いなら最初からやらないよ!」という声が聞こえてきそうですが、これにはちゃんと理由があります。

 

何かを期待して行う瞑想では、何も得られないからです。

 

ブッタが出家してまでも捨てたかったものはなんだったでしょうか。

欲望ですね。

 

欲望がある限りは瞑想の効果を感じることはありません。

 

「集中力を高めたい!」「不安な気持ちを捨て去りたい!」

これらが動機になることが問題ではありません。

しかしこれらは「結果」であり、瞑想の行程に求めるものではないのです。

 

瞑想をするときは、何も求めず、期待せず、ただ今の自分を受け止め、観察し続けましょう。

 

まとめ

今ここ

マインドフルネスに限らず、様々な瞑想法をご紹介しました。

筆者が一番良いと感じる瞑想法は、ヴィパッサナー瞑想、つまりマインドフルネス瞑想です。

呼吸に意識を向け、そして物事をあるがまま受け入れる。

これによって私たちの人生がより良くなるものだと信じています。

あなたもぜひ瞑想を行ってみてください。

 

※本記事の内容は、執筆当時の学術論文などの情報から暫定的に解釈したものであり、特定の事実や効果を保証するものではありません。