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瞑想×サウナで心を整える
漫画家タナカカツキさんの「サ道」が火付け役となり、現在、サウナは第3次ブーム真っ最中です。
「ととのう」という言葉も「サ道」で使われていた言葉です。
日本サウナ学会代表理事で医師の加藤容崇氏は「ととのう状態」のことをこのように説明しています。
トリップ感だけをいうのではなく、サウナに入ることによって、心身が自動的にコンディショニングされ、その人本来の能力が復活する感覚をとらえた言葉だ
(出典:ダイヤモンド社 医者が教えるサウナの教科書 ビジネスエリートはなぜ脳と体をサウナでととのえるのか? 加藤容崇著)
一昔前、サウナといえば高温低湿のドライサウナとよばれるタイプのものが主流でした。
また、ゴルフ場やカプセルホテルなどに併設されたものが多かったため、中高年の男性向けというイメージが強いのではないでしょうか。
しかし、現在の主流はフィンランド式サウナのように、低温高湿で男女関係なく楽しめるものとなりました。
サウナ室自体も、木材を使用したシンプルな作りで、テレビはありません。
木の香りが漂う静かな室内で、サウナストーンと呼ばれる熱々の石に水をかけ、その水蒸気を浴びます。そして、蒸気浴だけでなく、その後の水風呂、休憩までの流れが1セットと考えるのが、フィンランド式です。
もちろん、普通にサウナに入っても身体の疲れをとることができます。
しかし、その効果を倍増させ、心の疲れもとり除くために瞑想を取り入れてみてはいかがでしょうか。
今回は瞑想とサウナの関係性と、その効果をお伝えしていきます。
なぜ瞑想とサウナか
サウナで瞑想をすることで、サウナと瞑想の効果をより簡単に、より多く得ることが可能です。
ひとつめが、サウナにいれば、自然と瞑想状態に向かうことができます。
つまり、サウナに入っていれば、瞑想をしようと意識したり、テクニックを使ったりする必要がなくなるのです。
ふたつめに、瞑想をすれば、サウナの気持ちよさが、より鮮明に感じられます。
ただなんとなくサウナで過ごすよりも、心身がととのうのです。
サウナは、瞑想のハードルを下げる。瞑想は、サウナの効果を高める。
サウナと瞑想をかけあわせることで倍以上の相乗効果がうまれるのです。
目的が似ている
瞑想は、マインドフルネスを目指すものです。
マインドフルネスとは、リラックスと集中が両立した状態です。
つまり、落ち着いているけれど、注意力が保たれ、隙がない状態です。
一方、サウナには、リラックスのみを求めていますよね。
汗をかいてスッキリしたい、体の疲れを取りたい。そう考え、サウナでは隙だらけの状態で過ごす人が多いと思います。
以上から、瞑想もサウナも、リラックスできる状態を目指す点では一致しています。
反対に、集中しているかしていないか、これが瞑想とサウナの相違点かもしれません。
サウナの空間でこそ瞑想がもってこい
瞑想とサウナの共通点、そして相違点をお伝えしました。
しかし、それはあくまで一般論です。
サウナでも、瞑想のように、リラックスと集中の両立が可能です。
むしろ、両立を目指すことこそが、サウナの醍醐味であり、真の目的であるといえます。
なぜなら、サウナにいれば、自然と集中できる状態になるからです。
サウナ室では、熱い。水風呂では、寒い。そのことで頭がいっぱいになります。
これは、温度や体の感覚に集中している状態にあるのと同じです。
つまり、頑張らなくても、自然に、半ば強制的に、集中できる状態に達することができるのです。
一方、通常の瞑想は、集中するための方法と努力が必要です。
なぜなら、私たちの脳は、考え事がとめられない性質を持っているからです。
ハーバード大学の研究によれば、私たちは活動時間の47%で考え事をしています。
人間の歴史を考えれば、これは自然なことといえます。
注意散漫な状態が、原始時代を生き残るために合理的だったのです。
過去の経験を記憶し、反省できるから、毒のある食べ物を避けることができる。
猛獣に襲われることを恐れ、周囲を警戒するから、安全を確保できる。
人間の脳は、進化の過程で、注意の対象を分散させ、さらに考え続ける性質を備えるようになりました。
そして、太古に形成された脳の性質は、現代も変わっていません。
生命を脅かすほどの危険がなくても、過去の失敗を反芻し、まだ起きていない事態を心配します。
仕事を始める前から、その大変さを予想し、ため息をつく。
仕事が終わった後も、大変だった体験を思い出し、ため息をつく。
そんな経験がありませんか?
人間は、過去と未来のことを常に考えているものです。
瞑想は、そのような性質に逆らい、いま現在の状態に集中する行為です。
今の自分に意識を向けるためのテクニックがたくさん紹介されています。
しかし、サウナでは、瞑想に至る方法も努力も、ほとんど必要ありません。
暗く、静かなサウナ室で体を温めていれば、心は自然と落ち着きます。
水風呂の冷たさで頭がいっぱいになれば、雑念は強制的に削ぎ落されます。
サウナなら、瞑想を行うための下地を簡単に整えることができるのです。
相性が抜群
瞑想には、心身に意識を向け、それを手掛かりに瞑想状態を目指す方法があります。
例えば、呼吸瞑想は代表的な瞑想法です。簡単に説明すると、
普段は意識することのない呼吸に、あえて注意を向けることで、普段から意識があちこちと飛び回っていることに気が付くようになる。
飛び回る意識をまた呼吸に向ける、ということを繰り返すことによって、考え事に振り回されない状態、つまり集中しつつも落ち着いた状態になりやすくなる、というものです。
一度でも瞑想に取り組んだことがある方なら「呼吸を意識するのって難しい」と感じたかもしれません。
しかし、サウナであれば簡単に行うことができるようになります。
なぜなら、呼吸が自然と深くなるからです。
サウナ室も、水風呂も、人間の生命維持には向かない温度ですよね。そのため、人間の体は、本能的に体温を維持しようと試みます。
いつもより心臓がドキドキとし、脈が速くなります。
さらに、血液の循環スピードがあがり、肺からより多くの酸素を取り込もうとします。
呼吸も鼓動も存在感が高まり、特別に意識をしなくても、身体の変化や状態に気付くことができるようになります。
つまり、サウナにいるだけで、瞑想の準備が整うのです。
ここから一歩踏み込んで、サウナで瞑想を意識的に取り組んでみましょう。
手掛かりは、呼吸、鼓動、血流、汗など、多くありますね。
詳しいやり方は後で説明をします。
サウナの助けを借りて、雑念がない状態を目指しましょう。
そうすることで、体が休まっていくことに気付くことができるでしょう。
つまり、「気持ちよかった」という結果だけでなく、気持ちよくなるプロセスも含めて、サウナの良さを味わうことができるのです。
その状態は、まさに集中とリラックスの両立です。
脳を休めることで、心にも安らぎがもたらされるでしょう。
サウナで実践するオススメの瞑想法2選
サマタ瞑想
サマタ瞑想とは、何か対象となる1点に意識を集中する瞑想のことです。
対象となるものは瞑想によって異なります。
例えば、ロウソクの炎や紙や壁などの1点、マントラ、呪文、お経、音楽、呼吸などがあります。
1点に意識を集中することで心が落ち着き、また集中力も高まります。瞑想がはじめてでも取り組みやすいという特徴があります。
やり方
サウナのひな壇に姿勢を整えて座ります。ゆっくりと深呼吸を3回ほど繰り返し、目を閉じましょう。
次に自分の体からふき出す汗に意識を集中させます。サウナ中は普段では考えられないほど大量の汗をかきます。体中の汗腺が開き、水分が出て行く感覚を捉えましょう。
5分から10分したらサウナ室から出てシャワーを浴びてから水風呂に入ります。
水風呂ではサウナ室で開いた汗腺がぎゅっと閉じるのを感じましょう。
場合によってはこれを2,3回繰り返します。
その後、外気浴では頭をぼんやりさせ、ととのいましょう。
ヴィパッサナー瞑想
ヴィパッサナーとは、物事をあるがままに観察するという意味です。
自分の今の心や身体を善悪の判断なくそのまま受け入れます。
それを繰り返すことにより、精神と肉体が常に変化しているという性質を受け入れ、
無常、苦しみ、そして無我という普遍的な真実を体験し、学んでいく瞑想法です
やり方
サウナのひな壇に姿勢を整えて座ります。
目を閉じて、鼻から息をゆっくり吸い込みながら、熱い空気が鼻腔から喉を通り、お腹に入っていくのを意識します。空気の流れを感じましょう。
空気が入ってきたこと、そして出ていくことを感じ続けましょう。心の中で「吸っています。吐いています。」と実況中継するようにつぶやきます。
途中「熱い」「出たい」などの感情が出てきたら、それらに「熱いと感じています」「出たいと思いました」とつぶやき、また呼吸に意識を戻します。
「呼吸から意識がずれてしまった。失敗だ。」など自分の意思を入れないことです。
ただその事実のみを追い続けましょう。
5分から10分したらサウナ室から出てシャワーを浴びてから水風呂に入ります。
水風呂の最中も呼吸に意識を向け、「吸っています。吐いています。」「冷たいと感じます。」と中継を続けましょう。
場合によってはこれを2,3回繰り返します。
その後、外気浴では頭をぼんやりさせ、ととのいましょう。
瞑想×サウナの効果
サウナは、瞑想を助けてくれる。瞑想は、サウナをより充実させてくれる。
2つをかけあわせることで、高い効果が得られる。そうお伝えしました。
しかし、「サウナへ行く時間がない」という声をよく聞きます。
そんなあなたにこそ、サウナで瞑想し、心身を休めていただきたいです。
1時間足らずで、仕事や家庭に集中する状態を作ることができます。
疲れを癒すために、サウナでゆっくり休む。それが一般的かもしれませんが、気分転換のためクイックに使うこともできる。
そのことを、ご紹介します。
かくいう著者も仕事と育児に忙しく、文字通り「心を亡くす」ことが頻繁にあります。
だからこそ、サウナと瞑想を生活に取り入れることで、心身の活力を保っています。
著者がサウナを利用するタイミングは、以下の3つです。
1 仕事の前
2 仕事の後
3 休日
上記のうち、忙しいあなたには、1と2をオススメします。
例えば、仕事の前に行く場合。
著者は、疲労がたまってくると、パートナーが飲みっぱなしにして放置しているコップが許せなくなります。
そんな時は、そろそろ気分転換が必要なサインです。
子どものお世話をパートナーに託し早寝早起。
身支度はサウナの後にできるので、最低限の支度をし、すぐにサウナへ向かいます。
サウナ室では、なるべく静かな場所に座ります。
テレビの音や、周囲の人が気になると、集中しにくくなるからです。
姿勢が整ったら、前述の瞑想法に取り組みます。
鼓動が激しくなり、脈が速くなるのを感じます。
そのうちに、体のあちこちから汗がにじみ出てくるが感じられます。
これらの生理現象のうち、著者は、脈と呼吸にフォーカスします。
呼吸の出入り、そして、手のひらの血流に注意すると、瞑想に集中しやすいです。
この時、些細な考え事が頭から抜け落ちていきます。その結果、頭に残るのは、大切だけど普段は考えないようなことです。
「これからの人生をどうしていこう」
そんな大きすぎる問いが心に浮かんだことに気付き、意識を戻します。
「そろそろ冷たい水風呂に入っても大丈夫かな」という気持ちになったら、素直に水風呂へ向かいます。
サウナ室の滞在時間は、時間ではなく、体の状態で判断するのがオススメです。
著者の場合、頭のてっぺんからたくさんの汗が吹き出てくる位がちょうどいい頃合いと考えています。
水風呂の前に、マナーとして、シャワーで汗を流します。
そして、足首まで水風呂につけて体を慣らしてから、一気に全身で入ります。
この時、著者は目を閉じ、鼓動と手の指先に意識を向けます。
体が冷えてくると、指先に痺れる感覚が現れます。
「これ以上は水風呂にいたくないな」と思った時に、出ます。
時間にすると、60秒から90秒くらいです。
水風呂を出たら、休憩できるスペースを探してください。
熱くもなく、寒くもない所に、落ち着いて座りましょう。
以上が、心身を整える準備です。
これまで、熱気と冷気に体をさらし、刺激を与えてきました。
体は、命を守るため、また、体温を維持するために活動的になっています。
これが、しばらくすると徐々に落ち着いてきます。
スイッチがオンからオフへ、活動から休息へ、心身のモードが切り替わっていくのです。
これが、リラクゼーションの瞬間です。
あなたが意識的にも、無意識的にも、身体の機能にフォーカスしているとき、集中とリラックスが両立したマインドフルネスの状態になります。
この瞬間を味わうために、今一度、瞑想に取り組みましょう。
サウナ前とサウナ後の体の変化を感じ取りながら穏やかに呼吸を繰り返します。
サウナ、水風呂、休憩が1セット。
著者は、1セット15分で、3セット45分をサウナで過ごします。
もちろん時間を目安で、その時々の状態によって変化します。
時間は気にせず、「そろそそろかな」という気持ちを最優先にしてください
3セットを終える頃には、かなりスッキリしています。
脳が十分に休まり、まっさらな気持ちで仕事に打ち込める状態に仕上がるでしょう。
時には、サウナで浮かんだ「大切だけど普段は考えないこと」が仕事の役に立つことがあります。
疲れを引きずるよりも、ずっと高い質の仕事ができていると感じます。
また、余裕が生まれることにより、子どもと穏やかなコミュニケーションをとることができるようになるのです。
以上、個人的にやっている方法でした。
参考にしていただければ幸いです。
サウナで瞑想をするときの注意
・水分摂取をこまめに行う
大量の発汗により脱水状態になること動脈硬化性の病気を引き起こしやすくなります。
血液中の水分が減少して血栓ができやすくなるからです。結果、心筋梗塞・脳梗塞のほか不整脈なども引き起こす可能性があるので注意してください。
計1リットルほどを目安に、 入る前後、そして入っている最中にもこまめにお水を取りましょう。
・限界に挑戦しない
急激な寒暖差によって血圧が乱高下し、身体に悪影響を及ぼすことを『ヒートショック』と言います。
人間は寒いと血管が収縮し、血圧が上がります。逆に温まると血管が広がり、血圧は下がる。
気温により血圧が激変すると身体にかかる負担が大きくなるのです。
最悪の場合、心筋梗塞や脳卒中を起こし、突然死につながることもある非常に怖い現象です。
そのためまずサウナ施設にきたらゆっくりと体を温め、苦しくなる前に出ましょう。
そしてシャワーを浴びて体温を落ち着かせてから水風呂に入るようにしましょう。
いつでも体の声をキャッチできるようにしておきましょう。
まとめ
今回はサウナで行う瞑想の効果をお伝えしました。
理想は時間を気にせず、じっくりとサウナを楽しみながら瞑想を行うことですが、毎日忙しくなかなか時間が取れないですよね。
そんな時は、クイックな利用法をぜひ試してみてください。
モーニングサウナなどの名称で、お得に入れるキャンペーンを行っているサウナ施設もあります。
サウナに行く時間もない、そんな時はせめて1分でもいいので瞑想だけでも行ってください。
relookのアプリをオススメします。
このストレス社会と戦うためにも、しっかりと休み、心身をととのえていきましょう。
※本記事の内容は、執筆当時の学術論文などの情報から暫定的に解釈したものであり、特定の事実や効果を保証するものではありません。