近年、世界中で人気の瞑想。
特にマインドフルネス瞑想に関しては、メンタリストのDaiGoさんが書籍を出版したり、NHKのためしてガッテンでも取り上げられたりと、日本のメディアでも話題になっています。
瞑想のやり方を解説するウェブサイトや書籍はたくさんあり、それほどお金や時間をかけなくても自宅やスキマ時間に実践できるというのも魅力のひとつです。
一方、瞑想は精神や思考に働きかけるため、正しい方法で行わないと危険が及ぶ場合もあるため、注意が必要です。今回は、瞑想を正しく行う方法を解説します。
目次
瞑想はなぜ正しいやり方でやらないといけないのか?
瞑想にはたくさんの種類ややり方があり、それぞれに目的やゴールが異なります。
宅で手軽にできるものもありますし、きちんとトレーニングを受けた指導者と管理された環境のもとで実践されるべき瞑想法もあります。
多くの種類の瞑想がありますが、どのような瞑想でも精神や思考に働きかけます。
そのため、正しい方法で行わなければ、効果を実感しにくいだけでなく危険が及ぶこともあるのです。
瞑想を正しい方法で行わない場合、どのような影響が出るのでしょうか。
精神的に不安定になる、幻覚や幻聴が発生するといった精神的症状に加えて、頭痛、めまい、耳鳴り、動悸、喘息、胸痛といった身体的症状も起こりうるといわれています。
特に、スピリチュアル的なイメージや想像を伴う瞑想は、正しく行わないと現実とイメージとの区別がつかなくなるという危険性があるのです。
また、瞑想を行うことで、「魔境」に入ってしまうこともあるといいます。
魔境とは、感覚が研ぎ澄まされ過ぎて幻覚や幻聴が起きたり、強迫観念などの負の影響が現れることです。
さらに、長期間の修行を積んだ人たちが実践するような、飲まず食わずの状態で何時間もの瞑想を実践するといった非常に困難な瞑想を自己流で行うと、精神的にも身体的にも悪影響が出る可能性がとても高くなります。
瞑想の正しいやり方
マインドフルネス瞑想
マインドフルネスとは、「今この瞬間」の感覚や動作に意識を向けている状態のことです。自分の状態を良い・悪いと評価せずに、ありのままを受け入れます。
マインドフルネス瞑想を行っている間は、何か一点に意識を集中させます。
注意が逸れて何か別の考え事が頭に浮かんできたとしても、「考え事が浮かんできた」ということに気が付くだけで、そこから考えを膨らませることはしません。そしてまたゆっくりと一点に意識を戻します。
このように、マインドフルネス瞑想を行うと、普段忙しく働いている脳が鎮まりリラックスした状態になります。
そして一点に集中する練習を続けると、無意識に浮かんでくる思考や感情をコントロールしやすくなるため、感情的に行動したり反応することが減り、冷静さを保ちやすくなるといいます。
そんなマインドフルネス瞑想の基礎をここでご紹介します。
①「調身」
まずは姿勢を整えます。マインドフルネス瞑想には正しい体勢というものはなく、寝る、座る、立つ、歩くなどいろいろな体勢で行うことができます。
横になって行う瞑想
マインドフルネス瞑想は、ベッドや床に敷いたマットの上に横になりながら実践することができます。横になった体勢で瞑想を行うと、座って瞑想を行うよりも身体をリラックスさせやすく、集中力が高まりやすくなるといわれています。
足の先から頭のてっぺんまで、できるだけ一直線になるように横になります。腕は身体に沿って伸ばして力を抜きます。手のひらは上(天井の方向)に向けて自然に開きます。
座って行う瞑想
結跏趺坐(左右両足の甲を反対の足の太ももの上に乗せる)、半跏趺坐(片方の足のみ、甲を反対の足の太ももの上に乗せる)、あぐら、正座、椅子に腰かけるなど、いくつかの座り方がありますが、どれが正しいということはありません。自分が心地の良い座り方を選びましょう。姿勢を正して、身体をリラックスさせます。両手の位置は膝の上です。
② 「調息」
続いて呼吸を整えます。深呼吸を1~2回行い、そのタイミングで目を閉じます。それからゆっくりと腹式呼吸を始めます。鼻からゆっくりと吐き、ゆっくりと吸うという動作を繰り返します。自然な呼吸の長さを保ちましょう。
③「調心」
続いてのステップでは、心を整えます。マインドフルネス瞑想では、意識を向ける対象を決めて、その一点に集中します。意識を向ける対象となるのは基本的に自身の呼吸です。腹式呼吸によってお腹が膨らんだりへこんだりしていく動きに意識を向けます。アプリを利用したり、音楽を流したりしながら実践する場合には、音声ガイダンスや音楽に集中するのもよいでしょう。時間がきたらゆっくりと目を開き、少しずつ意識を戻していきます。
ヴィパッサナー瞑想
ヴィパッサナー瞑想はインドの最も古い瞑想法のひとつです。
「ヴィパッサナー」とは、「ものごとをありのままに見る」という意味があり、2,500年以上も前に、普遍的な問題を解決する普遍的な治療法、つまり「生きる技」として指導されたことが始まりと言われています。
ヴィパッサナー瞑想では、「今・ここでの自分」に完全に集中し、じっくりと時間をかけて自己観察をしていきます。
自己観察を通して気づきを得ることで、自分を苦しめるものから次第に解放されていくとされています。解脱という究極のゴールに一歩一歩近づいていくための実践方法がヴィパッサナー瞑想です。
ヴィパッサナー瞑想法を習得するためには、10日間の合宿に参加して指導を受ける必要があります。
合宿中の修行には3段階あります。まずは、五戒(殺さない、盗まない、性行為を行わない、嘘をつかない、酒・麻薬類を摂取しない)を守ること。
次の段階では、自分の呼吸の流れに意識を集中し、心をコントロールする力を高めていきます。
そして、身体の感覚をよく観察し、物ごとに簡単には動じない平静な心を育てていく段階に入ります。
この合宿中に瞑想法の基礎を身につけたら、合宿終了後に日常生活でも実践を続けると同時に、継続的に合宿に参加して修行を積むことが重要であるとされています。
正しい瞑想を行うために気を付けるポイント3選
ここではマインドフルネス瞑想を実践する際のポイントを解説します。
環境を整える
瞑想を正しく行うためには、環境作りも重要です。
瞑想は室内でも野外でもできますが、周辺が騒々しかったり人の往来が多いと、集中するのが難しくなるため、静かで落ち着いた場所を選びましょう。
室内の場合は周辺を片付けます。寒すぎたり暑すぎたりしないように、服装を工夫したり冷暖房器具を利用します。
瞑想は毎回同じ場所で行うと、気分を切り替えやすく、集中力も高まりやすいといわれています。
家の中でも外でもよいので、自分が落ち着くことのできる場所を選び、そこを「瞑想スポット」として決めてもよいでしょう。
あなたの「瞑想スポット」をより心地よく整えるために、スローテンポな音楽を流したり、室内の場合はキャンドル、エッシェンシャルオイル、お香などを使用したりするのもおすすめです。
夜に瞑想を実践する場合には、部屋の電気を消してキャンドルの柔らかい灯だけで瞑想を行うのもおすすめです。キャンドルのゆらゆらと揺れる炎にはリラックス効果を高めてくれます。心を鎮める効果のある香りのアロマキャンドルやLEDキャンドルを使用してもよいでしょう。
エッセンシャルオイルやお香で香りをプラスしてみてはいかがでしょうか。瞑想を行う時間や目的に合わせて香りを選ぶこともできます。リフレッシュ効果やリラックス効果など、いくつかの香りを用意しておいて、その都度選ぶというのも楽しいですね。
1分間でも効果的
マインドフルネス瞑想はどのくらいの時間をかけて行えばよいという決まりはありません。
1回につき20分程度続けるのが理想的という意見が多いですが、実は1分間でも継続して行うと効果が期待できるのです。
忙しい人でも、1分間なら電車やトイレの中など、スキマ時間を活用して実践することができますね。
一方、瞑想を行うと気分が良くなるため、もっと長い時間続けたい感じることもあるでしょう。
その場合は20分間の瞑想を1日2回行ってください。
瞑想初心者が何時間にもわたる瞑想を行おうとすると、危険が及ぶ可能性が高まりますのでご注意ください。
アプリやYoutubeの活用
Youtubeでは瞑想用の音楽や音声ガイダンスがたくさん配信されています。
音声ガイダンスがあった方が集中しやすいという人もいるでしょうし、音楽だけの方が気分が落ち着くということもあるでしょう。
どちらが正しいということはありません。自分の好みの長さや種類のものを選びましょう。
また、正しく瞑想を行うために瞑想アプリの利用もオススメです。
瞑想アプリ「Relook」は、瞑想やリラクゼーションの専門家が監修、あるいは制作に携わっており、目的に合わせたコースが提供されています。
瞑想のやり方を分かりやすく音声でガイドしてくれるだけでなく、瞑想を継続して習慣化できるようなリマインド機能も搭載されています。
Relookアプリについてはこちらを参照してみてください。
瞑想の5つの効果とは?
瞑想を行うことで具体的にどのような効果が期待できるのでしょうか。
瞑想には精神的にも身体的にもさまざまな効果があることが実証されていますが、ここではそのいくつかをご紹介します。
集中力アップ
「ゾーンに入る」という表現を聞いたことがあるでしょうか?
特に、スポーツ選手が圧倒的なパフォーマンスを披露しているときに使われることが多いかと思います。
「ゾーン」とは、集中力が極限まで高まり、他の思考や感情、周囲の風景や音などが意識から消えて、感覚が研ぎ澄まされて、取り組んでいる活動に完璧に没頭している状態です。
そのような状態にあると、スポーツに限らずあらゆる場面でハイレベルなパフォーマンスができるようになり、圧倒的な成果を生み出すことが可能になるとされています。
瞑想を継続的に行うことで、「ゾーン」に入っているときのように集中力と判断力が高まり、必要な場面で自分にとって最高の力を発揮できるようになるといわれているのです。
ネガティブ思考にとらわれない
マインドフルネス瞑想を継続して実践しマインドフルネス状態に近づくほど、心配、気分の落ち込みといったネガティブな思考が浮かびにくく、浮かんできた時にもその感情から距離を置いて、手放すことができるということが科学的研究で明らかにされています。
出典:https://link.springer.com/article/10.1007/s10608-007-9142-1
瞑想を実践していても、日常生活の中では心配事や気分の落ち込みは多かれ少なかれ誰でもあるでしょう。
しかし、そういったネガティブな思考にとらわれてしまうと、ネガティブ思考はどんどんと膨れ上がってしまいます。
瞑想を通して自分の思考を客観的に観察する訓練をすることで、「いま自分はネガティブなことを考えているな」と気づいても、その考えにとらわれず手放しやすくなるのです。
睡眠の質が向上
UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)と南カリフォルニア大学の研究チームによると、マインドフルネス瞑想を6週間実践したグループは、実施しなかったグループと比較して夜間の睡眠の質が向上し、同時に日中の疲労感と気分の落ち込みが改善しました。
出典: www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4407465/pdf/nihms680970.pdf
良質な睡眠は、疲労から心と身体を回復させるだけでなく、脳を休める、ストレスの軽減を促進するなどいろいろな効果が期待できます。
さらに、質の良い睡眠によってホルモンバランスが整えられると、太りにくい体質につながったり、肌のターンオーバーが向上して艶のある滑らかな肌につながりやすかったりと、美容効果もあるといわれているのです。
ストレスの軽減
瞑想を実践すると、普段は脳内をせわしなく駆け巡っているさまざまな考えが整理され、脳がリラックスできます。
そうすると、何に集中すべきなのかが明らかになり、ストレスの軽減につながるといわれています。
また、上述したようにネガティブな思考が湧きにくくなるため、そもそもストレスを感じにくくなりますし、ネガティブ思考が湧いてきた時にもその思考にとらわれることなく手放しやすくなるため、ストレスの軽減が期待できます。
自分自身について理解が深まる
瞑想中に雑念をなるべく鎮めようとしても、いろいろな考えが浮かんでくるでしょう。
心配事だったり、昔の出来事だったり、大切に思っている誰かのことだったり。
そういったいろいろな考えとゆっくり向き合うことで、今の自分に必要な思いや考えが理解できるようになるとされています。
まとめ
海外でも多くの人が実践し、その効果が実証されている瞑想。
自己流で取り組むと効果を感じられなかったり、危険が及んだりする可能性もあるのです。
瞑想アプリをはじめとして、瞑想に関する書籍やYoutubeなどを活用して正しく実践しましょう。ぜひあなたも今日から毎日のルーティンに取り入れてみてはいかがでしょうか。
※本記事の内容は、執筆当時の学術論文などの情報から暫定的に解釈したものであり、特定の事実や効果を保証するものではありません。