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血流とは
血液の役割は2つです。1つが血管を通って全身に酸素や栄養を運ぶ役割、もう1つが老廃物や二酸化炭素を回収する役割です。
心臓がポンプの役割を担い、血液が循環します。これが血流です。
血流が滞ると、冷え性につながり、様々な不調が表出します。(肩こり、腰痛、消化不良、むくみ、など。)
では、脳の血流が悪くなると、どのような変化が現れるのでしょうか。
京都大学で行われた実験を紹介します。
結果から言うと、実験に用いたマウスに、認知機能障害が起こっていることがわかりました。具体的には、マウスを用い、慢性的かつ軽度に脳の血流量を低下させ、詳しく調べたところ、脳の免疫細胞であるミクログリアの活性化や、中枢神経系の過剰な炎症、神経軸索と髄鞘が密集している白質部分の傷害が観察されたのです。
研究者らは
脳血流の軽度な低下は、短期的には睡眠不足や強いストレスを受けたりすると起こりますが、軽度な脳血流の低下であっても長く続くことで、認知機能障害になることがわかりました。
と述べています。
(引用:https://www.jneurosci.org/content/38/14/3520)
血管の収縮による血流の悪化は、動脈硬化を起こす原因でもあり、高血圧や心筋梗塞、脳梗塞などの引き金となることもあります。
血流と健康は、切っても切れない関係なのです。
瞑想が脳の血流に与える影響
脳は、内臓や自律神経、そして感情や思考を司ります。いわば私たちの司令塔です。
脳細胞が情報網を張り巡らせ、非常に高度で、さらには複雑な活動を絶え間なく行っています。
この活動のために、脳細胞は大量のエネルギーを消費します。
この脳細胞に酸素と栄養を運んでいるのが、血液ですね。
血流を良くする行為として代表的なものは2つ。運動と入浴です。
筋肉を動かしたり、体を温めたりすることで全身に血をめぐらせます。
以上を知っていたとしても、毎日運動したり、夜ゆっくりとお風呂に入ったりする時間を取るのは難しいですよね。
そこで取り入れてもらいたいのが、瞑想です。
瞑想でも、脳内血流を増やすことが出来ることをご存知ですか?
しかも、瞑想することによって脳機能全体の改善が期待できるのです。
瞑想によって脳の血流が変化し、神経細胞が成長することが科学的に明らかになっています。
ハーバード大学のサラ・ラザール氏が発表した研究によると、毎日30分間の瞑想を8週間続けることで、海馬、後部帯状皮質、側頭頭頂接合部と小脳の灰白質(=活発化した脳細胞)の濃度増加が確認されたことがわかりました。
そのうち変化の最も大きいのが、後部帯状回です。
ここは、感情の形成と処理、学習と記憶に関わりがあります。
その他、ストレスホルモンの放出や恐怖行動の産生に関係する部分が小さくなるなど、すべて良い意味での変化が現れました。
瞑想で前頭葉の血流が増える
疲れたと感じたり、寝不足になったりしたときの脳内を調べたデータがあります。
https://www.research.johas.go.jp/mental/13.html
これによると、どちらも前頭葉の血液量が少なくなっていたことが分かっています。
つまり、疲労感や睡眠不足により、前頭葉の働きが低下したことが示唆されたのです。
前頭葉の働きが悪いと、どのような症状が現れるでしょうか。
・集中できない
・記憶できない
・目標を達成するための手順を立てられない
・要点の定まらない会話をしてしまう
・怒りっぽくなる
・欲求を我慢できなくなる
など、様々な症状が現れます。
以下に該当する場合は、前頭葉への血流が悪くなっているかもしれません。
・頭がぼぅっとしてやる気が出ない
・イライラが止まらない
前頭葉を活性化させる方法として、瞑想をオススメします。
瞑想は、前頭葉の血流が増加することが分かっています。
エビデンスを紹介しましょう。
瞑想中に活動する脳領域を検討したメタ分析があります。
メタ分析とは、あらゆる論文を分析した信頼性の高い分析方法です。
https://arxiv.org/abs/1603.06342
瞑想を習慣として続けると、更なる効果が生まれます。
前頭葉に繰り返し血流が集まることにより灰白質が増加するのです。
これに関する詳しいエビデンスは、こちらの記事の見出し「瞑想は続けることでメンタルが強くなる」をご確認ください。
瞑想で、前頭葉を活性化させましょう。
瞑想で全身の血流が良くなる
瞑想で腹式呼吸を行うことにより、全身の血の巡りが良くなります。
日常、無意識で行っている呼吸での1回の空気の出し入れは約0.3~0.5ℓ程度と言われています。
この量は、肺の機能の10~16%しか使っていません。
その為、しっかりと肺機能を使い、血流を良くするには「腹式呼吸」が大切なのです。
腹式呼吸の作用
肺自体には自活動力はありません。
肋骨や横隔膜が拡大・縮小することで、結果的に肺の収縮が起こり、酸素が取り入れられます。
よって、深い呼吸を行うポイントは、横隔膜をしっかりと動かすことです。
先ほど説明した無意識の呼吸は、息を吸ったときに胸だけが膨らむ胸式呼吸と呼ばれるものです。
胸式呼吸では横隔膜の動きが少なく、酸素の摂取量が少ないですね
意識的に腹式呼吸を力強く行うことによって、腹圧を高め、横隔膜を刺激し、内蔵を動かすことができます。
その結果、脳に送る酸素量の増加だけでなく、腹部の血行促進も期待できます。
また、腹圧を強くすると、静脈の血流を促進し、血液の循環が活発になると言われています。
さらに、腹式呼吸を行うことで連動して上半身の筋肉を多く使います。
具体的には以下の筋肉です。
・胸鎖乳突筋(後頭部から鎖骨にかけてつながる部分)
・僧帽筋(首の後ろから肩、背中まで広がる表層筋)
・広背筋(背中から腰、腕へとつながる部分)
・腹斜筋(わき腹、いわゆるクビレ部分)
以上の理由から、腹式呼吸をするだけで全身の血流が良くなることがよくわかりますね。
腹式呼吸で全身の血行がよくなることで期待できるメリットとして
やせる、アンチエイジング、免疫力アップなどが挙げられます。
血流を促進するための瞑想のやり方
ここまでの説明から、
脳内を含めた全身の血流を促すために、腹式呼吸と瞑想を組み合わせると効果的だと結論付けられます。
これを踏まえると、ヨガ瞑想がオススメです。
ヨガで腹式呼吸をしながらポーズをとった後、瞑想を行っていきましょう。
ヨガパート
・杖のポーズ
横隔膜と腸腰筋(腰から始まる“大腰筋”と、骨盤の内側上部から始まる“腸骨筋”が組み合わさった筋肉)は繋がっています。
まず、腸腰筋を意識することで、横隔膜にアプローチしていきましょう。
1.両足を前に伸ばし、つま先は天井を向くようアキレス腱を伸ばします。
2.そけい部(コマネチライン)をおしりに向かってぐっと引き込むようにして、背筋を伸ばします。
膝が多少曲がっても良いので、背中が曲がらないようにしましょう。
腸腰筋が働き、姿勢を保ってくれます。
膝の伸びも同時に感じながらポーズをキープします。
腹式呼吸5回程度の長さを目安に行いましょう。
・チャイルドポーズ
横隔膜の動きを意識して深呼吸を行いましょう。
腰・背中もストレッチされリラックス効果が高まります。
1.正座になります。このとき足の親指を重ねないようにしましょう。
2.両手を前方に着きます。
3.息を吸って吐きながら手を滑らせ、骨盤から上半身を倒し、おでこをマットにつけます。
4.首・肩・背中の力を抜き、そのままゆっくりと呼吸します。
腹式呼吸10回程度を目安に行いましょう。
瞑想パート
ポーズからゆっくりと抜け出したら、瞑想を行います。
楽な姿勢で座りましょう。
イスでも床でもどちらでも構いません。
まずは今の自分の体を観察しましょう。
体中に、酸素が十分に行き渡った感覚を味わいます。
その後、自然と行われる呼吸を観察しましょう。
吸って吐いて、のリズムに身を任せます。
途中考え事をしている自分に気が付いたら、考え事を深追いせず、穏やかに呼吸に戻りましょう。
5分から10分ほど瞑想しましょう。
まとめ
今回は血流に注目して瞑想を解説しました。
血流をよくすることは、健康のためにとても重要だったのですね。
瞑想法は一連の流れとしてお伝えしましたが、やはり毎日行うのは時間と労力がかかります。
ヨガや呼吸法は週末の時間があるときに行うだけでも効果はあります。
しかし、脳内構造を変化させるためにも、瞑想は毎日の習慣にしてください。
Relookのアプリを使えば、寝る前や通勤中などいつでもどこでも瞑想を行うことが出来ます。誘導に従うだけなので簡単に行えます。
あなたの生活に瞑想を取り入れ、今よりも健康的な毎日を送りましょう!
※本記事の内容は、執筆当時の学術論文などの情報から暫定的に解釈したものであり、特定の事実や効果を保証するものではありません。