メンタルが強い、とは?

 

あなたには、緊張とプレッシャーで頭が真っ白になってしまった経験がありませんか?

例えば、試験、商談、プレゼン。その最中や直前。

プレッシャーの大きい場面になればなる程、実力が出せなくなってしまうものです。

そうなる理由は、大きなストレスによって呼吸が浅くなり、体がこわばり、思考がストップしてしまうからです。


そんな経験から、ここぞという時に実力を発揮できる人を、私たちは「メンタルが強い」と考えますね。


その代表例は、オリンピックやプロスポーツ競技で活躍するアスリート達。

彼らも、私たちと同じ人間です。

努力や才能に対する自負があったとしても、生まれつき「メンタルが強い」とは限りません。

だから、メンタルトレーニングが存在するのです。

本番で成果を残すため、身体だけではなく、精神も鍛えているわけです。

「自分はメンタルが弱い」と思っているあなた、大丈夫です。

メンタルは、肉体と同じように鍛えることが出来ます。

この記事ではメンタルと瞑想の関係性について解説します!


現代におけるメンタルトレーニングの必要性

あなたは、毎日生活をしていて、アスリートと同じようにメンタル面でプレッシャーがかかることは少ない、と思っているかもしれません。

しかし私たちの生活は、自覚している以上に、ストレスや緊張で満ちているのです。

その証拠に、厚生労働省によると、精神疾患により医療機関にかかっている患者数は、近年大幅に増加しており、平成26年は392万人、平成29年では400万人を超えています。

(参考:https://www.mhlw.go.jp/kokoro/speciality/data.html)

なかでも、うつ病患者数の著しい増加傾向が見られます。

さらに、このコロナ禍で患者数がより増えるのでは、と予想されています。

そもそも、メンタルトレーニングとはどのような意味なのでしょうか。

日本メンタルトレーナー協会のHPでは

身体的な部分にかかわらないすべてのトレーニングであり、ピークパフォーマンスとウェルネスを導くための準備。

スポーツのパフォーマンスや人生の向上をさせるための、ポジティブ(プラス方向の)な態度、考え(プラス思考)、集中力、メンタル、感情などを育成/教育することが中心である

と記されています。

つまり、メンタルを鍛えることで、ストレスに強くなり、毎日の生活をより豊かに生きることができる、ということが言えそうです。

私たちは経験したことがないほどのストレス社会の中で生きています。

風邪にならないように毎日手洗い・うがいをして体調を整えるように、症状が出る前にメンタルをケアする時代がやってきたのです。

メンタルに関する瞑想の効果とその根拠

メンタルトレーニング法としてマインドフルネス瞑想が効果的と言われています。

その理由をひとつずつ見ていきましょう。

 

呼吸とメンタルの関係性

呼吸はメンタルと非常に深く関わり合っています。

人は焦ったり、怒りを感じたりすると呼吸が浅くなりますね。

感情が変化するから呼吸が浅くなるように感じているかもしれませんが、実際は逆のことが起きています。


呼吸が浅くなるから感情が変化するのです。


詳しく説明しましょう。

私たちの体の、ほとんどの内臓は、自律神経系の交感神経と副交感神経によって支配されています。

副交感神経は個々の内臓機能を促進させるように働くのに対して、交感神経系は、内臓機能を抑制し、外に対する働きかけをするために運動器系の機能を支えるように働きます。

原始時代、人間は獲物を捕らえ、さらには外敵から身を守る生活をしてきました。
「逃げるか・戦うか」を瞬時に判断し、行動しなければいけません。

その為、恐怖や怒りを感じる場面では、私たちが「危険だ」と認識する前に、脳の視床下部と呼ばれる部分から、自律神経に指示を出し、交感神経系が働きます。

交感神経が働くと、アドレナリンやノルアドレナリンを大量に放出させ、心拍数や血圧、血糖値を上昇させるのです。
呼吸は胸式に変化し、浅く短くなります。
いち早く逃げ出すために顔から血の気が引き、手足に血液が集まるようになります。

このような人体のメカニズムは、命の危険を感じることがない現代も、変わっていません。

私たちが自覚する前に体が勝手に反応しているのです。

浅い呼吸を続けることで交感神経が優位になりっぱなしの状態が続いてしまいます。

そんなときこそ、深呼吸です。

自分の意思で心臓をゆっくりと動かそうとしてもできませんが、呼吸は自分の意思でコントロールすることが出来ますよね。

呼吸が深まると、それに連動して脈がゆっくりになります。
副交感神経が優位になり、アセチルコリンを放出。リラックス状態へと体を変化させます。

体がそういった状態になると、心が落ち着いてくるのを感じることができるでしょう。


呼吸をコントロールすることがメンタルトレーニングの第一歩です。

(参考:ストレスとストレスコントロール九州栄養福祉大学・東筑紫短期大学キャリア教育推進支援センター長・講師中村 吉男 著)

メタ認知、という考え方

生きていく上で、ストレスの原因をすべて取り除くことは出来ません。

そこで私たちに必要なのは、自分を悩ませているストレスや痛みと「うまく付き合っていく方法」を学ぶことです。

マサチューセッツ大学医学大学院教授で、同大マインドフルネスセンターの創設所長のジョン・カバットジン氏はこのように言っています。

 

内的な安定と調和をもたらすためには、(中略)自分の内部にある力を使って、その問題からくるプレッシャー自体を利用してうまく切り抜ける。これは船乗りが船を進めるときに、風の力を十分に利用できる角度に帆をあげるのと同じことです。(中略)風の力を利用していても、船はあくまでもあなたの管理下にあるということなのです。

(引用:マインドフルネスストレス低減法 ジョン・カバットジン著)

 

荒れ狂う嵐の中でも船を進めていくように、
どんな状況でもストレスが生じてくる状況に合わせて、うまく対処していく。

その方法を身につけるためには、自分の心の動きを注意深く観察することが必要です。


今の自分の心や身体の変化に注意を向け、自分の認知を客観的に認知する。

つまり、完全に主観を抜いて、自分の感情を受け入れる行為をメタ認知といいます。

メタ認知を鍛える方法、それがマインドフルネス瞑想です。


先ほどの例を挙げて解説しましょう。


マインドフルネス瞑想を日常的に行うことで「呼吸が浅くなっている」という状態に、早く気付くことができます。

その際に、「呼吸が浅くなっている、私はまた怒っている、ダメな人間だ!」など、善悪の判断をつけず、ただそのままの事実を受け入れます。

そして、ただ、ゆっくりと呼吸する。

そうすることで心身は自然とリラックスに向かっていきます。

その体験を、脳は学習します。

ふと感情に巻き込まれそうになっても、扁桃核でとっさに「逃げるか戦うか」を判断する必要がないことを学び、大脳で考えて、冷静に対処できるようになるのです。


瞑想は続けることでメンタルが強くなる

リラックス

瞑想を続けることにより脳の構造が変化し、メンタルが強くなるという実験結果があります。

2017年、科学ジャーナル「サイエンスアドバンシス」に掲載された論文によると、

9ケ月間、毎日マインドフルネスを含めたメンタルトレーニングを行い、脳の形態にどのような変化を引き起こすのかを調べました。

脳の核磁気共鳴画像を解析した結果、前頭前野の皮質の厚さが増加したことがわかりました。


ストレスは前頭前野に影響を及ぼすといわれています。

前頭前野には抽象的な思考にかかわる神経回路があり、集中力を高めて作業に専念させる役割や、情報を一時的に記憶するワーキングメモリーとして働く機能があります。

慢性的なストレスにさらされると、前頭前野の樹状突起が萎縮し、これらの機能が低下する可能性があるのです。

前頭前野はストレスを感じると小さくなるということですね。

つまりこの実験で前頭前野の皮質が厚くなったことが分かったということは、ストレスに対して脳が強く変化する、ということが言えるのではないでしょうか。

(参考:https://advances.sciencemag.org/content/3/10/e1700489/)

瞑想のやり方とは?


メンタルトレーニングに最適なマインドフルネス瞑想を2種類紹介します。

 

基本

基本的なマインドフルネス瞑想である呼吸瞑想法のやり方です。

やり方

 

1.
呼吸が楽に行える姿勢で座りましょう。

脚を組んだ坐禅の座り方でも、イスでも、あなたの楽な方法でよいでしょう。

ポイントは、体の力を抜き、骨で支えているような感覚で背筋を伸ばすこと。
堂々とした山になったつもりで腰掛けてください。

 

2.

呼吸に意識を向けましょう。
できれば腹式呼吸がベターですが、無理をしなくても大丈夫です。

鼻、お腹、胸、どこか一箇所に意識を集中させましょう。

お腹であれば、膨らんだり、しぼんだりする様子を追いかけます。

呼吸をコントロールしようとしないでください。

浅いなら浅いまま、深いなら深いまま、自然と続けます。

心の中で「吸う」「吐く」と唱えると集中しやすくなります。

 

3.

あなたは必ず余計なことを考えるでしょう。次々に浮かび上がる考え事によって呼吸に意識が向けられなくても、そこで自分を許し、優しく呼吸に戻りましょう。

自分の中に起こる感覚・思考・感情を、1つ1つラベルを貼るように簡単な言葉にしていきましょう。
あらゆる気づきを認識し、「かゆい」「足がしびれた」「心臓がどきどきする」など名前をつけ、客観視します。

何か、過去のトラウマのような思いが頭に浮かんでも「考え事をした」と単純な名前にしましょう。

そうすることで、その状態に囚われず、また呼吸に戻ることができます。

 

回復力の瞑想

bodyscan

実際にgoogleの研修で行われている、自分の感情を客観的に捉える「回復力の瞑想」の手順をお伝えします。

 

やり方

1.心を穏やかにする


楽な姿勢をとりましょう。寝転がってもよいです。

まず深呼吸を3回します。

次に体に注意を向けましょう。

足の裏の感覚に集中するところから始め

脚、膝、骨盤、胸、腕、肩、背中、首、後頭部、顔の感覚の順に集中します。

 

2.失敗


次に、人生で大失敗した記憶を頭に思い浮かべてみてください。

その時の光景を目に浮かべ、周りの人の音声を耳に蘇らせ、感覚を味わい直します。

これに伴うすべての感情を観察し、これらの感情が体の中にどう現れるか確認します。

2分ほど観察を続けましょう。

 

3.捨てる


あなたが経験しているこれらの感情は、単なる生理的感覚だと考えます。

ただそれだけと思いましょう。

これらの経験がそこに存在すること。現れたければ現れ、消えたければ消えることを、許すだけでいいのです。

嫌悪感を捨てましょう。

優しく、穏やかで、寛大なやり方で、ただ好きなようにさせてあげます。

 

4.成功


今度は、人生で、大成功した記憶を頭に思い浮かべてください。

みんなから賞賛され、自分も大いに満足した時のことを思い浮かべ、音声を耳に蘇らせ、感覚を味わい直します。

これに伴うすべての感情を観察し、これらの感情が体の中にどう現れるか確認します。

2分ほど観察を続けましょう。

 

5.捨てる


あなたが経験しているこれらの感情は、単なる生理的感覚だと考えます。

ただそれだけと思いましょう。

これらの経験がそこに存在すること。現れたければ現れ、消えたければ消えることを、許すだけでいいのです。

愉快だという感情を捨てましょう。

優しく、穏やかで、寛大なやり方で、ただ好きなようにさせてあげます。

 

6.穏やかな状態に戻る


現在に意識を戻します。

体を点検し、どんな感じがしているか確認しましょう。

最後に深呼吸をしましょう。

リラックスした呼吸に意識を向け、一息つきます。

体の中で何が起こるか気をつけ続けながら、ゆっくりと目を開けます。

(参考:サーチ・インサイド・ユアセルフ チャディー・メン・タン著)


感情によって引き起こされる体の変化を、ただの生理現象として感情を抜きで受け止める。

どんな執着や嫌悪が沸き起こってもそれらを捨てられるようになれば、成功や失敗に対しての回復力が保てます。

 

まとめ

自分がいつもネガティブなことばかりに注目している、とか、何か良いことが起きたときに素直に喜んでいないとか、そういった自分の細かい思考の癖に気づくためにも、毎日のマインドフルネス瞑想がとても大切になってきます。

メンタルトレーニングは、1日や1週間で目に見えるような変化は現れません。

筋肉を育てるためにコツコツとジムに通うように、毎日行ってください。

出来れば同じような時間帯で行うのが良いでしょう。

脳はそれを学習し、自然と習慣になっていきます。

 

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※本記事の内容は、執筆当時の学術論文などの情報から暫定的に解釈したものであり、特定の事実や効果を保証するものではありません。