仕事、育児、家事、自己研鑽、プライベートなど、何かと多忙な現代人。時間に追われることも多くさまざまなストレスを抱えていませんか?
ストレスの多い状況では、イラつきや気分の落ち込みといったネガティブな感情が生じやすくなるだけでなく、睡眠の質やホルモンバランスの低下などが原因となって、お肌にも影響が出やすくなります。
そこでオススメなのがマインドフルネス。
近年注目を浴びているマインドフルネスにはさまざまな効果があることが実証されていますが、ストレスの軽減、ポジティブシンキングの促進、睡眠の質の向上などによって、実は美容にも嬉しい効果があるといわれているのです。
今回は、そんなマインドフルネスと美容の関係について解説します。
目次
結論
マインドフルネスと美容の直接的な関係についての科学的な研究はまだ少ないですが、マインドフルネス瞑想を継続することで、ニキビなどストレスを原因とする肌荒れの予防・改善に有効であるとされています。
また、マインドフルネスが副交感神経を優位にし、成長ホルモンの分泌を促すことで、肌のターンオーバーを促進させ、ツヤのある健康的な美しい肌に導いてくれます。
美肌とニキビとストレスの関係
ストレスが原因でニキビができやすくなったり、肌のツヤがなくなってごわつきやすくなったりと、肌の調子が悪くなるという経験はありませんか?
人によって程度の違いはありますが、ストレスを感じると肌に影響が出やすくなります。
ストレスとは?
ストレスとはもともと物理学の分野で使われていた用語で、外側から受けた圧力によって歪みが生じた状態をいいます。
私たちの日常生活に置き換えてみると、例えば「つらい長時間労働」というストレスによって、腰痛になったり気分が落ち込んだりと、身体的・精神的な不調(歪み)が出やすくなるのです。
ストレスと一言で言っても、さまざまな種類がありますが、普段私たちが感じやすいのが「心理・社会的ストレス」です。
時間に追われる、ノルマや目標を達成しないといけない、苦手な上司がいるなどがこの種類のストレスです。
このようなストレスを受けることで、不安、焦り、いらだち、怒り、緊張、気分の落ち込みなどネガティブな感情が沸き上がりやすくなります。
ストレスとニキビの関係
皮膚はストレスの影響が出やすい場所のひとつだと言われています。
ストレスを感じると、ホルモンバランスがうまくコントロールできなくなり、男性ホルモンの一種であるアンドロゲンが体内で増えます。
男性ホルモンは皮膚を固くし、皮脂の分泌を促す作用があるため、皮質過多となって毛穴が詰まり、ニキビの原因となってしまうのです。
美肌とニキビと自律神経の関係
ストレスからくる肌荒れには、私たちのカラダに備わっている自律神経が深く関係しています。
自律神経とは?
私たちのカラダのなかでは脈拍や体温、臓器の働きをコントロールするために、自律神経が働いています。
自律神経には交感神経と副交感神経があり、一方が有意に立っている時にはもう一方の働きが抑えられます。
活動時や緊張状態にあるときに優位になるのは交感神経です。
交感神経が優位になっているときには、瞳孔を開く・心拍数を増やす・汗を出すなどの働きで体を活動しやすい状態に変化させています。
一方、寝ているときやリラックスしているときには副交感神経が優位になります。
副交感神経が優位の間は、体に瞳孔を閉じて心拍数を減らし、胃腸の働きを活発にするなどの変化でリラックスしやすいような状態が続きます。
ストレスを受けると、無意識のうちに私たちのカラダはその事態に対処しようと交感神経を優位に切り替えます。
その状態が続くと体は常に活動を続けているのと同じような状態になるため、休息をとっても脳とカラダをゆっくりと休ませることが難しくなり、免疫機能の低下など身体的な不調が起こりやすくなるのです。
自律神経とニキビの関係
肌の免疫機能が低下すると、ニキビ菌が繁殖しやすい肌環境になってしまい、そのニキビ菌と戦う機能も弱まるためニキビが出やすくなります。
また、肌のターンオーバー(肌代謝)が不調になり、古くなった角質が肌の表面に残った状態に。
その結果、ニキビ跡がいつまでも残ってしまう、ツヤのある健康的な肌を保ちにくい、肌荒れが気になる、といった肌トラブルを起こしやすくしてしまうのです。
マインドフルネスと自律神経とストレスの関係
では、マインドフルネスが自律神経やストレスにどう影響を与えるのでしょうか?
マインドフルネスとは
マインドフルネスとは、「良い」「悪い」といった評価をせずに、今この瞬間の感覚に意識を集中させている状態のことです。
過去や未来のことをあれこれを考えず、ただ今だけに意識を向けていると脳がリラックスできてパフォーマンスが向上するといわれています。
そのため、試験、試合、プレゼンテーションなど、良い成果を出したい時に最も実力を発揮できる状態とされているのです。
普段、私たちの脳はあらゆる情報を処理しながら忙しく働き続けています。
その状態が続くと、あれこれと考えすぎてしまって、今の自分にとって本当に大切なこと、重要なことが見えにくくなってしまいます。
重要でないことに気を取られて考えすぎたり、不安や後悔などの否定的な感情にとらわれて、ストレスが溜まる一因になりかねません。
マインドフルネス瞑想を継続すると、徐々に自分の感情や思考を意識的にコントロールできるようになると多くの人が実感しています。
その結果、感情的に行動することが減り、プレッシャーがかかる中でも冷静な判断や行動ができるようになるとされているのです。
そういった瞑想の効果はさまざまな場面で活用されています。
欧米を中心に医療や福祉の専門家が瞑想を取り入れた介入方法を開発していますし、世界のトップアスリートもトレーニングに瞑想を取り入れています。
Apple社やIntelなどの大企業でも社員が瞑想を実践しやすい環境を提供しています。
マインドフルネスとストレス
マインドフルネス瞑想によって、普段あれこれ脳に浮かんでくる雑多な考えを減らして整理し、脳をリラックスさせることで、ストレスが軽減し自律神経が整えられるといわれています。
また、マインドフルネス瞑想を継続して実践することで、イラつきや罪悪感などのネガティブな思考を減らしてポジティブ思考を増加させる効果があることがわかっています。
何かの出来事が起こったときに、それをプラスに考えるのか、マイナスに考えるのかは人それぞれです。
マイナス面しか見ることができないとストレスにつながりやすくなりますが、プラス面に焦点をあてることができればそれほど大きなストレスを感じることはないでしょう。
出典:www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5397480/pdf/fpsyg-08-00551.pdf
論文はある?最も近い研究は?
マインドフルネスと肌の関係について、科学的な研究は行われているのでしょうか?
オックスフォード大学とマサチューセッツ大学の研究者が、乾癬(かんせん)という皮膚角化疾患のある成人29名を対象にして、マインドフルネスの効果を検証しました。
通常の治療のみを行なったグループと、通常の治療に加えて8週間のマインドフルネストレーニングを取り入れたグループを比べると、マインドフルネストレーニングを取り入れたグループの方が、乾癬の重症度が軽減したという結果になりました。
出典:Fordham B, Griffiths CE, Bundy C. A pilot study examining mindfulness-based cognitive therapy in psoriasis. Psychol Health Med. 2015;20(1):121-7.
このように、研究の数は限られますが、マインドフルネスが肌の状態に良い影響を与える可能性は示されています。
また、イギリスのシェフィールド大学の研究者らの研究によると、皮膚科に通院している患者120名にアンケート調査を行なった結果、マインドフルネスのレベルが高い人ほど、人と会う時の不安、気分の落ち込み、自分の肌を恥だと感じる程度が低いことがわかりました。
出典:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5091630/pdf/BJD-175-930.pdf
お肌は外から見える部分が多いため、特に顔とその周辺の肌にトラブルが出ると、人に会うのが嫌になったり、恥ずかしかったり、自分に自信がなくなったりと、それ自体がストレスになることも少なくありません。
マインドフルネスはそのような肌トラブルに伴うネガティブな考えを減らして、心理的な状態や生活の質をアップさせる効果も期待されています。
まとめ
今回は、マインドフルネスと美容の関係について解説しました。
毎日の生活にマインドフルネス瞑想を取り入れて、外見だけでなく内面から美しくなりましょう。
※本記事の内容は、執筆当時の学術論文などの情報から暫定的に解釈したものであり、特定の事実や効果を保証するものではありません。