瞑想のことを詳しく調べていくと「ゴエンカ氏」という名前に辿り着きますね。

ではこのゴエンカ氏、一体なにをした方なのでしょうか?

この記事ではゴエンカ氏のプロフィールから、ゴエンカ氏おすすめの瞑想法までご紹介していきたいと思います。

ゴエンカ氏のプロフィール

まずゴエンカ氏はフルネームでシュリ・サティヤ・ナラヤン・ゴエンカと言います。

とても長いため、多くの場合ゴエンカ氏と略されますね。

ゴエンカ氏はミャンマーで生まれ育ちました。

ミャンマーはヴィパッサナー瞑想の聖地で、初めてヴィパッサナー協会という組織ができた国でもあります。

ゴエンカ氏はヴィパッサナー瞑想の普及に大きく貢献した人物の一人です。

ヴィパッサナー瞑想の中心地のミャンマーにて、ゴエンカ氏が瞑想を始めるのは自然に感じますね。

しかしゴエンカ氏も幼い頃から瞑想に精通していた訳ではありません。

実はゴエンカ氏、もともとは若くして成功した実業家でした!初めは瞑想とそこまで関わりのない人生を送っていたんですね。

そんなゴエンカ氏が瞑想に出会うきっかけの一つは、なんと偏頭痛でした。

偏頭痛に悩まされたゴエンカ氏は、その痛みを和らげるために瞑想を始めたのです。

この時ゴエンカ氏が師事したのは、瞑想界で非常に有名なウ・バ・キン氏です。

お金も人脈もある実業家の人は何でも超一流の人に習う印象がありますが、ゴエンカ氏もやはり超一流の瞑想家に師事した訳ですね。

ここで本格的に瞑想に取り組んだ結果、偏頭痛が改善したそうです。

これをきっかけに瞑想の世界にどっぷり浸かり始めたゴエンカ氏は、世界中で瞑想を普及し数々の瞑想トレーニングコースを開催してきました。

その業績の一つが日本ヴィパッサナー協会という組織で行われている瞑想合宿です。

この合宿の瞑想プログラムはゴエンカ氏の教えに基づいたものなんです。

これが世界中の瞑想界に影響を与えた人物、ゴエンカ氏です。

残念ながらゴエンカ氏は2013年に享年89歳で亡くなられていますが、その影響は今も世界中に残っています。

ゴエンカ氏がヴィパッサナー瞑想に懸けた想い

では世界中にヴィパッサナー瞑想を普及したゴエンカ氏は、なにを思って普及活動を行なっていたのでしょうか?

それを知る手がかりの一つに、2000年にゴエンカ氏が国連で行なった演説の内容があります。

ここでは、最もヴィパッサナー瞑想について語られている部分を引用してみましょう。

世界平和は、人びとの心に平和がなければ実現することはできません。憎しみと平和は共存できません。心の平和を得る手段のひとつに、ヴィパッサナー、洞察の瞑想があります。
(日本ヴィパッサナー協会HPより引用 https://www.dhamma.org/ja/about/goenka)

心の平和を実現する科学的な手段がヴィパッサナー瞑想なんだとおっしゃってますね。 人間1人1人がヴィパッサナー瞑想を通じて心の平和を保つことで、世界が平和になると考えていたようです。

「1人1人がちょっと優しくなれば世界はもっと平和になる」なんて言葉を時々耳にしますが、そうした信念を持って瞑想の普及に尽力していたのでしょうね。

ゴエンカ氏が国連平和サミットで語ったこと

さて、たった今ゴエンカ氏が国連で行なった演説のお話をしました。

実は2000年の8月に国連でミレニアム世界平和サミットというものが開かれました。これは文字通り、世界平和に関する国際サミットです。

この中でゴエンカ氏が演説をしており、その中の一節が先ほどご紹介したヴィパッサナー瞑想と世界平和に関するお話です。

ではゴエンカ氏はその他にどんなお話をしていたのでしょうか?ここでその一部をご紹介したいと思います。

ゴエンカ氏の演説のテーマは「宗教の調和・平和的な共存」でした。

まずゴエンカ氏は「人々を特定の宗教から改宗させようとするのではなくて、もっと根本的に人々の精神的なあり方を変える努力をする必要がある」と話しました。

宗教の調和というテーマの中で、人々がどんな宗教に属しているかは問題ではないという信念はこの演説の中で何度も語られます。

宗教は大した問題ではなくて、一人一人が自分の心をよりよく変えていきましょうというのがゴエンカ氏の考えだったようです。

心を変えることに関しては次のようなお話もされていました。

「一人ひとりの心に平和がなければ、世界の平和を達成することはできません。人びとの心に怒りや憎しみがある限り、世界を平和にすることはできません。一人ひとりの心にある慈愛と慈悲のみが、世界平和を実現することができるのです」
やはり一人一人の心の持ちようが大事だと考えていたようですね。

その考え自体を持つ人は多いでしょうが、ゴエンカ氏の凄いところは、そのためにヴィパッサナー瞑想を広めようとしっかり行動していたところでしょう。

せめて私たちも瞑想などを実践して、自分自身の心の平和を保つよう努力せねば!という気持ちにさせられます。

ゴエンカ氏が指導する瞑想の種類


瞑想を世の中に普及する努力をしていたゴエンカ氏ですが、ではどんな瞑想法を広めていたのでしょうか? 今回は主にゴエンカ氏が普及していたヴィパッサナー瞑想と慈悲の瞑想の2種類をご紹介しましょう。

ヴィパッサナー瞑想

まずはヴィパッサナー瞑想をご紹介します。

ヴィパッサナー瞑想は「観察の瞑想」とか「気付きの瞑想」などと呼ばれています。

ヴィパッサナー瞑想では心身の状態や動作に集中するのですが、その時々の状態をとにかく観察します。

「いま息を吸っている」だとか「少し足が疲れてきた」とか観察し気付いたことをどんどん羅列していくのがこの瞑想法です。

瞑想の目的としては、いまの心身の状態に集中するいわゆるマインドフルネスを目指すもので、その効果として頭がスッキリしたり普段の幸福度が増したりなどが知られています。

あとでやり方もご紹介しますので、ぜひ一度試してみてください。

慈悲の瞑想

慈悲の瞑想は多くの瞑想とは一線を画す瞑想法です。

実はヴィパッサナー瞑想と違って、慈悲の瞑想ではマインドフルネスの状態になるのが目的ではありません。

慈悲の瞑想は簡単にいうと、「自己中心的な意識を捨てて、あらゆるものに優しい気持ちで接する心を取り戻そう」とする瞑想法です。

例えば、このようなことを思ったことはありますか?

「私だけこんなに仕事して損してる」とか「せっかく私が手伝ってあげたのに」とか「私」という自意識が強くなることはないでしょうか?

この場合「私」という存在を過剰に重視してしまうがために、不必要な怒りなどを感じてしまいます。

そこで「私という存在は別に特別じゃない。みんな一緒なんだ」という思いを自然に持つことで、より気持ちよく生きられるようにするのがこの「慈悲の瞑想」の目的です。

やり方を簡単にだけご紹介します。

まず最初に自分の幸せを願います。
「私が幸せでありますように」と念じて唱えましょう。

続いて、身近な人や生き物(ペットや好きな生き物など)の幸せを願います。
「〇〇が幸せでありますように」と唱えましょう。

最後に、全ての生き物の幸せを願います。
「命をもつ全てのものが幸せでありますように」と唱えましょう。

これを続けていくと、徐々に他の人や生き物の幸せを願えるようになっていきます。 これが慈悲の瞑想です。

ちなみに手順の最初が「私」から始まっているのですが、これは慈悲の瞑想のコンセプトに違反するのでは?と思ったりしたでしょうか。もしそうなら、慈悲の瞑想の目的をかなり理解できています。

ただこれは目的に反している訳ではなく、他人の幸せを願うには、まず自分への慈しみ(幸せを願う心)を持つことが大切だからこそ「私」からスタートしているのです。

決して自分だけを特別扱いしているわけではありませんので、大丈夫です。

最終的な目的地にたどり着くためのスタート地点として一番身近な「私」があるだけという感じですね。

慈悲の瞑想は、ヴィパッサナー瞑想の準備段階として使われたりしますので、こちらも並行して試してみるといいかもしれません。

ヴィパッサナー瞑想のやり方

ここまででゴエンカ氏の考えやその瞑想法が少し掴めてきたのではないでしょうか?

それを踏まえて最後に、オススメのヴィパッサナー瞑想法についてご紹介します。

いくつかやり方はあるのですが、今回は最も雑念が入りにくい「歩いて行うヴィパッサナー瞑想」をご紹介します。

歩く瞑想のやり方とポイント

歩く瞑想では、ゆっくりと歩きながらその時々の心身の状態を唱えていきます。

ポイントは2つあって、(1)ゆっくり歩く(2)唱える、です。

まずゆっくりとスローモーションで歩く理由は、一つ一つの動作に意識を向けるためです。

いま足が上がったとか、左足に体重がかかったとか、その時々に感じる全てを拾って認識することが大切です。

また感じた状態を唱える理由は、唱えることでそちらに意識が向き、他の雑念が入ってきにくくなります。

唱える時は口に出しても頭の中で唱えても良いのですが、口に出した方が意識を集中させやすいです。


瞑想を行う時間はどれくらいでも良いのですが、まずは5分〜15分くらいを目安にするといいと思います。これより短くても良いです。続けやすい時間を選んでください。
代表的な手順を次に書いておきます。これに完璧に従わなくても、ポイントさえ押さえておけば大丈夫です。

1) 背筋を伸ばしてまっすぐ立ちます。
2) 足に意識を集中します。手や腕に注意が向く人は手を組むと良いです。体の前でも後ろでも良いです。
3) どちらでも良いので片足を上げながら「右足(または左足)を上げます」と呟きます。この時、筋肉の引き締まりや体のブレなど感じたことを同時に言葉にしていきましょう。
4) 上げた足を前の方に持っていきます。この時も「足を運びます」と言葉にしましょう。
5) 上げた足を地面に下ろしましょう。同時に「足を下ろします」と言葉にしましょう。
6) 3)~5)を逆の足で行いましょう。

この要領でどんどん繰り返しましょう。

あらかじめタイマーで時間を測っておくと、制限時間が気になりにくくてオススメです。

まずは1度お試しあれ。

コラム:睡眠瞑想

今回は慈悲の瞑想とヴィパッサナー瞑想を取り上げましたが、この他にもいくつか瞑想法があります。

その一つに「睡眠瞑想」と呼ばれるものがあります。 これは寝る前にベッドの中で瞑想状態になることで睡眠を促すものです。

この睡眠瞑想を助けてくれるアプリに”Relook”があります。 Relookアプリを起動すると、睡眠瞑想を補助する音声ガイドが出ます。

これを聴きながら指示に従うだけで睡眠瞑想の状態になることができ、気持ちよく眠りにつくことができます。

ヴィパッサナー瞑想や慈悲の瞑想と合わせて、こちらもぜひ試してみてください。

まとめ

今回は瞑想を世の中に普及させた第一人者の一人、ゴエンカ氏をご紹介しました。

瞑想業界における偉人の1人で、この方を知ったあなたはもう瞑想家といっても良いでしょう。

そんなゴエンカ氏が普及してきたのがヴィパッサナー瞑想と慈悲の瞑想でした。

簡単にですがやり方をご紹介しましたので、ぜひ一度トライしてみてください。

まずは何事も試してみるのが吉です。できたら1週間くらいは続けてみて効果の程を知ってもらいたいですね。



※本記事の内容は、執筆当時の学術論文などの情報から暫定的に解釈したものであり、特定の事実や効果を保証するものではありません。