「自己肯定感」という言葉を聞いたことはありますか?自己肯定感とは自分自身に対する評価のことで、自己肯定感が高いほど、自分自身についてポジティブに感じているということになります。瞑想を実践することで、この自己肯定感が高まるといわれているのです。今回は、瞑想と自己肯定感について解説します。

 

瞑想で自己肯定感が上がる?

 

自己肯定感とは?



「自己肯定感」とは、自分をどのくらい肯定的、あるいは否定的に思っているかという、自分自身に対する評価のことです。

 

自己肯定感が高いと、自分に自信があり、「ありのままの自分が好き」「ありのままの自分でも大丈夫」と感じることができます。自分の短所も長所も把握しており、それを素直に認めることができます。他人からどう思われるかを気にしすぎたり、他人からの批判を怖がったりしないため、自分らしく振舞うことができるといわれています。

 

一方、自己肯定感が低いと、自分のことを好きになれず、諦めやすくなったり、無力感や絶望感を感じやすくなったりします。他人にほめられても素直に受け取ることができないかもしれません。「自分はダメだ」と感じやすく、基本的に自分のことをネガティブに評価する傾向があります。

 

日本文化では、謙虚であること、自分より他人を優先すること、自己主張を控えることが重んじられるために、自己肯定感が高くなりにくい環境であるといわれています。

 

日本を含めた7カ国の満13~29歳の若者を対象とした意識調査によると、日本人は7か国の中で自己肯定感が最も低いことがわかっています。「自分自身に満足している」という回答に「そう思う」「どちらかといえばそう思う」と回答した割合は7か国の中で唯一、50%を下回りました。また、「自分には長所がある」という質問に対して「そう思う」「どちらかといえばそう思う」と回答した割合は7か国の中で最も低い68.9%でした。

出典:https://www8.cao.go.jp/youth/whitepaper/h26gaiyou/tokushu.html


高い自己肯定感を持ちながらも謙虚な姿勢を保つ、そんな理想の姿に一歩近づくことができるといいですよね。

瞑想と自己肯定感



瞑想には、自己肯定感を高める効果があるといわれています。

 

日本ヨガ瞑想協会会長である綿本彰氏によると、自己肯定感の第一歩は、今抱いている自分の「気持ち」に気づき、それを肯定することにあるといいます。

出典:https://president.jp/articles/-/24354?page=1

 

人は誰しもネガティブな感情を抱くことがあります。そんな時でも自分を責めず、ネガティブな感情を否定することなく受け入れることが大切です。

 

辛い出来事があって、それを誰かに話したとします。その時に、「そんなことたいしたことないよ。クヨクヨしてないで、しっかりしなよ。」と言われたとしたら、どのような気持ちになりますか?さらに悲しい気持ちになったり、話さなければよかったと後悔したりするかもしれません。もしくは、こんなことでクヨクヨしている自分はダメな人間だ、と自己嫌悪を感じる可能性もあります。

 

辛い出来事があった時には、「それは大変だったね」「辛かったね」と、受け入れて肯定してもらうと気持ちが楽になりますよね。

 

だからこそ、まずは自分が自分の味方でいることが大切です。

 

とはいえ、多くの人にとって、自分自身に対する評価というのは何年にもわたって築かれていくものであり、そう簡単に変えられるものではありません。そこで、瞑想を継続的に実践することによって、自分の考え方や感じ方を徐々に変えていくことができるとされているのです。

 

自己肯定感を高める瞑想①マインドフルネス瞑想


マインドフルネスとは、今この瞬間の経験に意識を向けている状態のことです。良い・悪いといった評価をせず、ありのままの状態を受け入れることがポイントです。

普段、私たちの頭の中にはあらゆることが駆け巡っています。昨日のこと、明日のこと、心配なことや不安なことかもしれません。現代社会では、たくさんの情報を処理しなくてはいけないですし、覚えておかなくてはいけないことや思い出さなくてはいけないこともたくさんあるでしょう。このように、頭の中は常にフル回転している状態です。

マインドフルネス瞑想中には「今この瞬間」に集中し、それ以外のことには意識を向けません。何か他のことに意識が向いたとしても、また「今この瞬間」に意識を戻すのです。

 

そのような練習を重ねることで集中力が育まれるといいます。そして、自分自身を客観的に観察できるようになってくるため、自分の感情や思考に左右されることなく冷静さを保てるようになるといわれています。

 

自己肯定感を高める瞑想②慈悲の瞑想



慈悲の瞑想は、自分と他者との区別をなくし、あらゆるものを思いやりの心で包み込むことによって、心の平穏を得ることを狙いとしています。

 

慈悲の瞑想では、「自分」と「他者」が切り離されているために、対立や葛藤が生まれ心が乱されると考えられています。そのため、「自分」と「他者」の境界を排除し、全てのものを思いやりの心で包み込んでいくことで、心が満たされるとされています。

 

自分も他人も含め、全てのものを思いやりの心で包む練習として実践される慈悲の瞑想。継続することで、これまで自分自身を否定的に捉えていた人でも、徐々に自分自身に対して思いやりを持てるようになっていくといいます。

 

その思いやりの心が、自己肯定感へとつながるのです。

 

瞑想のやり方をそれぞれ解説①マインドフルネス瞑想



まずは場所選びから始めましょう。部屋の中でも屋外でも実践できますが気が散りやすくなりますので、人の行き来が多く騒々しい場所は避けた方が良いでしょう。寒かったり暑かったりすると集中しづらいため、服装や冷暖房器具で調整します。

 

マインドフルネス瞑想を実践するにあたり、瞑想アプリの活用もおすすめです。瞑想アプリは、正しく効果的な瞑想をサポートしてくれる音声ガイダンスが搭載されていますので、ひとりで瞑想を実践するよりも集中力が高まり、より効果を感じやすいといわれています。瞑想アプリ「Relook」は、瞑想やリラクゼーションの専門家が制作に携わっており、初心者から経験者の方まで各々の目的に合ったさまざまな瞑想をガイドしてくれるプログラムが搭載されているのでおすすめです。

Relookアプリについてはこちらを参照してみてください。


マインドフルネス瞑想は、寝る、座る、立つ、歩くなどさまざまな体勢で行うことができますが、ここでは歩きながら行う歩行瞑想をご紹介します。

歩行瞑想では、歩くという動作に伴う身体の感覚に意識を向けます。そのため、横になったり座ったりと静止した状態で行う瞑想よりもわかりやすい、行いやすいという利点があります。また、歩きながら行う瞑想は慣れてくると日常生活の中に取り入れやすいため、忙しい人でも習慣化して継続しやすいといわれています。

ここでは、精神科医のMarlynn Wei博士がPsychology Todayで公開している歩行瞑想のやり方を解説します。


1.手は最もリラックスできる位置に持っていきます。瞑想を始める前に全身をリラックスさせて呼吸を数回行い、地面に触れている両方の足裏の感覚に意識を集中させます。

2.普段通りの自然な呼吸を維持します。

3.ゆっくりと急がずに歩き始めましょう。

4.自分の足の感覚を感じます。
・後ろ足が地面から離れるときにはどのような感覚ですか?
・かかとが地面に着き、体重が前に移動するときにはどのような感覚ですか?
・体重が反対の足に移っていくときにはどのような感覚ですか?

5.足を踏み出すごとに足裏の感覚に意識を向けながら、重心が左右交互に移動していく様子を感じます。

6.歩きながら、背中、足、腕、肩、胸、首など身体の各部位がどのように感じ、動いているのかに意識を向けます。

出典:https://www.psychologytoday.com/intl/blog/urban-survival/201712/new-study-finds-meditation-walking-reduces-anxiety

ひとつひとつの細かい動作に意識を向けながら丁寧に行うと、かなりゆっくりな動作になりますので、最初のうちは家の中で5~10分間ほど行うことをおすすめします。家の外で行う場合には、普通のスピードで歩きながら「右足が着いた、左足が着いた…」というように、簡略化しても効果が期待できるとされています。しかし、屋外で歩行瞑想を実践する場合には視覚情報が多くなるため、注意力が散漫になりやすくなります。自分の感覚や動作以外のことに意識が向いていることに気が付いたら、いったん立ち止まって意識を戻してから歩行を再開すると、集中力が継続しやすいといわれています。

慣れてきたら20分、30分、と時間を長くしたり、通勤中に駅に行くまで、買い物でスーパーに行くまで、など目的地に到着するまでと決めて行うのもオススメです。このように日常生活の中に取り入れて、「ながら」歩行瞑想を習慣化することで継続しやすく、瞑想の効果をより実感できるでしょう。

瞑想のやり方をそれぞれ解説②慈悲の瞑想



慈悲の瞑想は、仏教界に伝わる瞑想法のひとつである「ヴィパッサナー瞑想」を行う前の準備段階で実践されています。

 

慈悲の瞑想を行うにあたり、まずは静かに集中できる場所を確保し、背筋を伸ばしてリラックスして座ります。ゆったりとした呼吸をしながらできるだけ無心になりましょう。そして、次にご紹介する「慈悲の瞑想」を唱えます。

 

私が幸せでありますように

私の悩み苦しみがなくなりますように

私の願いごとが叶えられますように

私に悟りの光が現れますように

私が幸せでありますように(3回)

 

私の親しい人々が幸せでありますように

私の親しい人々の悩み苦しみがなくなりますように

私の親しい人々の願いごとが叶えられますように

私の親しい人々に悟りの光が現れますように

私の親しい人々が幸せでありますように(3回)

 

生きとし生けるものが幸せでありますように

生きとし生けるものの悩み苦しみがなくなりますように

生きとし生けるものの願いごとが叶えられますように

生きとし生けるものに悟りの光が現れますように

生きとし生けるものが幸せでありますように(3回)

 

私の嫌いな人々が幸せでありますように

私の嫌いな人々の悩み苦しみがなくなりますように

私の嫌いな人々の願い事が叶えられますように

私の嫌いな人々に悟りの光が現れますように

私を嫌っている生命が幸せでありますように

私を嫌っている生命の悩み苦しみがなくなりますように

私を嫌っている生命の願い事が叶えられますように

私を嫌っている生命に悟りの光が現れますように

生きとし生けるものが幸せでありますように(3回)

 

上記したのは慈悲の瞑想の全文ですが、「私」自身ヘの思いやりの心を主とした省略バージョンの瞑想もあります。

私は幸せでありますように

私の悩み苦しみが無くなりますように

私の願いことが叶えられますように

私に悟りの光が現れますように

私は幸せでありますように

私は幸せでありますように

私は幸せでありますように


このように、慈悲の瞑想の言葉を唱えることで、自分自身や自分の周囲の人やものに対する思いやりの心が育まれるとされています。

 

まとめ

最近では、「自己肯定ヨガ」と呼ばれる、自己肯定感アップを目指すヨガも話題となってきています。心身の健康の鍵となる自己肯定感をアップさせて、ポジティブな自分をめざしましょう。

 

※本記事の内容は、執筆当時の学術論文などの情報から暫定的に解釈したものであり、特定の事実や効果を保証するものではありません。