瞑想とは?

瞑想は「心を落ち着けて自分と向き合うこと」「今この瞬間に意識を向けること」です。リラックスできる体勢になり、呼吸を整えて自分の内面と深く繋がります。普段の生活では無意識に行う「呼吸」に集中することで、日頃の悩みやストレスを抱えた思考から切り離された感覚を味わえるのです。

しかし世界にはさまざまな瞑想が存在しており、目的や方法も違います。そのため瞑想の明確な定義付けはされていません。自分の内面を見つめることや、何かに祈りを捧げること、集中すること、無になることなど、瞑想によって捉え方が異なります。

「瞑想」の歴史は古く、およそ5000年前にはすでに存在していたと言われています。インドで始まり、その後世界中に広がりました。「瞑想」「呼吸」「ポーズ」の3つで成り立つヨガでも、瞑想は欠かすことのできない重要な要素のひとつです。ヨガはアーサナと呼ばれるポーズを取るだけでは完成しません。動きにあった呼吸や、瞑想を組み合わせることでヨガの効果が得られます。

日本では瞑想に似た「座禅」が一般的に知られていますが、瞑想とは区別されています。座禅に目的は存在せず、座禅を行うこと自体が目的です。

瞑想と坐禅の違いについてはこちらの記事をご覧ください。



瞑想は意味がないのか?

瞑想はスピリチュアルなものだと敬遠していませんか?「目を閉じて呼吸をするだけで健康になれるなんて嘘くさい…」と思われるのも当然です。けれど瞑想は習慣にしていると、心にも身体にもプラスの変化が現れると言われています。


“瞑想とは心と体の鍛錬で、その歴史は古く冷静さおよび身体のリラックス感の増大、精神的なバランスの改善、病気の治療、総体的健康の増強のために利用されてきました。”
(引用:厚生労働省「統合医療」に係る 情報発信等推進事業



また、マインドフルネス瞑想法のプログラム、マインドフルネス低減法(MBSR)に参加した人たちの精神面が変化し、QOLの改善との関連性が明らかになりました。
米国胸部専門医学会(American College of Chest Physicians)が発表した2013年のガイドラインでは、マインドフルネス低減法が不安感や抑うつ感を減らし、自尊心の向上を助けることがあると伝えています。

信仰心などがなくても、瞑想には心身を健康にする効果が認められているのです。瞑想を続けていると、ストレスを軽減幸福度アップ集中力や生産力の向上などのプラスの変化が起こることが分かってきました。


科学的に認められた瞑想の効果とは?

瞑想はストレスフルな現代には欠かせない習慣であり、世界中で行われています。瞑想が脳や身体に影響を与えていることを明らかにするための研究も進んでおり、現在はその効果が科学的に認められているのです。

2012年に、瞑想を長年続けてきた50人と、瞑想を習慣化していない50人の被験者たちを比べる実験が行われました。その結果から、長い間瞑想を行ってきたグループでは、脳の外層にあるしわの数が多いことが分かったのです。この結果から、瞑想には脳の情報処理能力を増進させる可能性があることが考えられます。また脳の老化を抑えたり、若返らせるケースがあることも明らかになりました。

アメリカの国立補完統合衛生センター(NCCIH)が助成した試験によると、瞑想は感情の中枢である扁桃体にも影響を与えていることが発見されたのです。瞑想を継続していると、脳にまで影響を与えることが、近年の研究によって分かってきたんですね。(参考:厚生労働省「統合医療」に係る 情報発信等推進事業

瞑想を習慣化することで身体の不調を改善し、健康の促進に繋がることがさらに期待されます。


短い時間でできる瞑想の簡単なやり方

瞑想は何時間も行う必要はありません。毎日5分程の瞑想を続けるだけでも、瞑想の効果は得られるのです。
そこで、ここでは自宅で簡単にできる瞑想法をご紹介します。まずは始めてみることが大切です。長さや形式にこだわりすぎずに挑戦してみましょう。

生活スタイルに合わせて、取り入れやすい瞑想からチャレンジしてくださいね。慣れてきたら、長さを伸ばしてみたり、場所を変えてみたりすると飽きずに続けられます。瞑想をした時間や感想を記した日記を付けると、自分自身の成長や変化にも気付きやすくなるのでおすすめです。


①朝起きたときの瞑想法
  1. あぐらや、正座の姿勢になりましょう。
  2. 背筋を伸ばして、呼吸がしやすように空気の通り道を作ってください。
  3. 目は軽く閉じましょう。
  4. 深い呼吸をし、身体の中にたくさんの空気が取り込まれていることを感じてください。
  5. 1分間呼吸に注目し、浮かんでくる考えを受け流しましょう。

朝の目覚めを助けてくれる瞑想法です。最初は1分間でもいいので習慣にしてみましょう。起床してから朝食を食べる前の間に行ってください。眠くなく、満腹感もないのでベストなタイミングですよ。
起きたばかりの真っ新な状態の心と頭で瞑想をすると、余計な雑念に悩まされることも軽減できるでしょう。気分良く1日を始めることができます。


②空いた時間にできるマインドフルネス瞑想法
 1. 椅子に浅く腰掛けて、背筋を伸ばしましょう。
 2. 軽く目を閉じて、深呼吸を始めましょう。
 3. 呼吸に意識を向けて、入ってくる空気の量や、空気が出入りする様子に注目してください。
 4. 色んな考え、感情が浮かんでくるかもしれませんが、その度に呼吸に意識を戻して、ただ観察することを続けます。

10分間から始めてみましょう。仕事の合間やお昼休憩、移動時間などの空いた時間を活用できます。わざわざ時間を作るのではなく、いつもならスマホでゲームをしたり、SNSを見たりしているタイミングを利用するのがおすすめです。頭を切り替えることができるため、作業効率や生産性の向上も期待できるでしょう。


③夜寝る前の瞑想法
 1. 仰向けになりましょう。
 2. 両足を少し開いて、全身の力を抜いてください。
 3. 手のひらは天井に向けます。
 4. 目は軽く閉じましょう。
 5. 大きく息を吐いて、深呼吸します。
 6. 湧いてくる考えにとらわれずに、呼吸に集中しましょう。

寝ながらできる瞑想法のため、就寝前におすすめです。部屋の明かりを少し落として、昼間に活動的に動いた心と身体の緊張をほぐします。リラックスした状態になるため、眠りやすくなるでしょう。


「瞑想」と「黙想」の違いとは?

「黙想」とは

“だまって考えにふけること。黙念。黙思。黙考。”

と定義されています。(引用:
精選版 日本国語大辞典


黙想は軽く目を閉じた状態になり、心を落ち着けて自分自身と向き合うことです。無心の状態や、精神統一を目的としている剣道では、練習前に取り入れている道場も少なくありません。

「瞑想と一緒じゃないの?」と思われるかもしれませんが、このふたつは思考の扱い方が異なります。瞑想では何かを積極的に考えることや、何かを思い出すことはしませんよね。浮かんでくる思考をやり過ごすことが重要であり、雑念にとらわれないことがひとつの目的です。

一方の黙想は「じっくりと考える」「思いを巡らす」「イメージを膨らませる」などの、思考を深めていく過程が求められます。

黙って集中している姿や、自分の内面を見つめる点は同じですが、本質的には全くの別物です。瞑想は頭に浮かんできた「考え」に邪魔されることなく、自分の考えと距離を置きます。その「考え」について注目し、深く考え、新たな発見をしたりさらに発展させたりするのが黙想です。目的によって使い分けてくださいね。


さいごに

瞑想は宗教色が強いと思っている方がまだ多いですが、スポーツ選手や世界的な経営者が習慣にしているなど特に海外ではメジャーなものとなりつつあります。瞑想の科学的な効果も実証されており、実際にやってみると心身ともに効果的を実感でき、スピリチュアルな要素は全くないことが分かるはずです。

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※本記事の内容は、執筆当時の学術論文などの情報から暫定的に解釈したものであり、特定の事実や効果を保証するものではありません。

参考文献
小学館国語辞典編集部,精選版 日本国語大辞典,小学館,2006