瞑想とは

瞑想のやり方

なんとなく知っているあなたも、そうでないあなたも、もう一度瞑想についておさらいしておきましょう。

瞑想という言葉には、たくさんの定義があります。

・心を無にする

・いま現在に集中する

・自らの意識を高める

・内なる自分に気が付く


こういった状態を達成し、悟りを得るためのテクニックの総称。

それが“瞑想”です。

ちなみに、悟りは、サティ、マインドフルネスとも呼ばれます。

 

瞑想は、かつて宗教的な営みとされていました。

しかし、今では多くの人から注目を浴びています。

そのきっかけの1つは、スティーブ・ジョブス氏やビル・ゲイツ氏。

彼らは、瞑想の習慣的な実践者としても、かなり有名です。

 

また、Google、NIKE、Intelなどの有名企業が、 研修プログラムとして瞑想を導入しているのも流行に一役買っています。

このように瞑想が世界中のエリートたちに愛されているのは、なぜでしょうか。

この記事では、ビジネスパーソンが瞑想を取り入れることで得られるメリットを解説します。

 

世界のエリートもやっている瞑想の効果とは?

Googleの研修プログラムにマインドフルネス瞑想が取り入れられています。

有名な話なので、聞いたことがあるでしょう。

マインドフルネスとは、心が「いま、ここ」に集中している状態のことを言います。

元Google社員で、この研修プログラムを開発したメン氏は、マインドフルネスで得られる集中状態について、このように説明しています。


マインドフルネスは2つの重要な能力を鍛える。注意とメタ注意だ。(中略)注意とメタ注意の両方が強くなるとおもしろいことが起きる。しだいに集中し、安定するけれど、リラックスした形でそうなるのだ。平らな場所で自転車のバランスを保つようなもので(中略)ほとんど努力をしなくてもリラックスしながら進み続けられるようになる

※メタ注意=自分が認知していることを客観的に認知すること

(引用:チャディー・メン・タン著書「サーチ・インサイド・ユアセルフ」)

 

つまり、マインドフルネス瞑想を続けていけば“リラックスしていて、しかも隙のない状態”になれるのです。

マインドフルネス瞑想をすることで、自分の感情に対する注意力が高まります。

それだけでなく、マインドフルネス瞑想を習慣的に行うことで、瞑想をしていない時でさえも、いま現在の状態に対して、自覚的になることができます。

 

瞑想の仕事に関するメリット

 

現在の状態に対して自覚的になると、どのようなメリットがあるのでしょうか。

 

物事の本質を捉えられるようになる

瞑想をすることで、その時その時の感情を自覚できます。
そのため、意図せず感情に流されることが無くなります。
だから、目の前の問題へ飛びつく前に、関連する問題や業務を洗い出し、全体を客観視してから計画を練る余裕が生まれます。
そして、優先順位を論理的に考え、仕事の本質に向き合うことが可能になります。

特に重要で、本質的な仕事を優先できれば、限られた時間で高い成果を残すことができます。

 

直感力を鍛えることが出来る

「エリートはなぜ美意識を鍛えるのか」の山口氏は著書の中で、このように述べています。

 

経営の意思決定においては、「論理」も「直感」も、高い次元で活用すべきモードであり、

両者のうち一方が、片方に対して劣後するという考え方は危険だという認識の上で、

現在の企業運営は、その軸足が「論理」に偏りすぎているというのが、筆者の問題提起だと考えてもらえればと思います。

(エリートはなぜ美意識を鍛えるのか 山口周著)

 

論理思考だけでは、ライバルとの差が生まれない時代になりました。

なぜなら、論理思考の技術やスキルが体系化されたことで、誰でも学べるようになったからです。

そして、論理的に導かれる「正解」は、他と変わらない、つまり凡庸なものです。


誰が考えても、AIが計算しても、その結果が同じなら、商品やサービスに違いが出ません。

他と違いがない凡庸なアイディアは、お客様からも、上司からも、評価されません。

だから、論理思考だけでは出せない答え、できない決断を、あなたは求められます。

そこで、論理思考に加えて、直感の力が必要となります。

 

瞑想により、いったんは冷静に、客観的に、論理的に物事を捉えます。

その上で、体系的に整理された情報に対する感情、あなたの主観を、瞑想により見つめます。


このように、瞑想によって、柔軟に脳の機能を使い分けます。

・論理と直感

・主観と客観

・具体と抽象


以上の観点を行き来することで、新鮮でありながら筋の通った答えを出すことができます。

その過程も、結果も、固定観念から解放されたものになるでしょう。

そして、その答えは、他者に評価されるだけでなく、あなたが納得して決断できるものになるはずです。

 

このように、瞑想は、直感と論理思考のバランスをコントロールするのに非常に役立ちます。

 

共感力が高まる

人間関係は、仕事をスムーズに進めるために必要不可欠ではないでしょうか。

思いやりをもって相手とコミュニケーションをとることで、円滑な人間関係を築くことができ、仕事の効率もぐんと上がります。

もしもあなたがチームをリードするポジションだった場合、特にこの力は重要なものとなるでしょう。

そして、チームワークを推進する上で、他者に対する共感は特に重要です。

 

心理学では、感情の共感と認知の共感、2種類の共感があると言われています。

感情の共感(シンパシー)は、恵まれない環境の人を目の当たりにし、「かわいそうだ」と同情するもの。

認知の共感(エンパシー)は、「私があなただったら」と相手の立場で物事を捉えるもの。


ニコシア大学の准教授Theano V. Kalavanaは、優れたリーダーは、感情の共感と認知の共感の2つの違いを理解し、それぞれが持つ威力をいかに利用するかを心得ている、といいます。

そして、優秀なリーダーほど感情の共感よりも、認知の共感により重きを置くというのです。

(参考:https://www.chieflearningofficer.com/2018/03/15/finding-right-level-empathy/

 

感情の共感は、努力しなくても勝手に相手と同調するものです。
一方、認知の共感は、意識しなければ相手の立場から物事を見ることは出来ません。

この認知の共感を鍛える第一歩として、自分や相手の感情を正しく認識することが大切です。

そして、認識するためには、感情に対して注意深くなることが大切です。

この認知の共感を鍛えるには、マインドフルネスが非常に役立ちます。

こういった自己や他者の感情を知覚し、また自分の感情をコントロールする知能を「EQ(心の知能指数)」と呼びます。

ダニエル・ゴールマンは、『EQリーダーシップ』の中でこのように記述しています。

 

「共感は『ぼくもOK、きみもOK』などという甘ったるい関係を意味するものではない。集団の感情に追従したり、全員に気に入られようとするのがリーダーの役割ではない。それでは悪夢だ。身動きひとつできなくなってしまう。そうではなくて、共感とは従業員の気持ちを良く考慮したうえで聡明な決断を下すことなのだ」
(EQリーダーシップ ダニエル・コールマン著)


マインドフルネスによって感情に対して注意深くなることで、リーダーとして必要な共感能力を鍛えましょう。

EQについて詳しく知りたい方はこちらの記事も合わせてどうぞ。

 

瞑想の健康に関するメリット

マインドフルネス瞑想で心のさまよいを落ち着かせ、ストレスを軽減することにより、うつや不安障害などの症状を抑制することが分かっています。

 

パニック障害・広場恐怖または社交不安の診断を満たした患者を対象に、週1回2時間、全8回のマインドフルネス教室を実施する群(20名)と実施しない群(20名)に対象者を無作為に割り付け、教室を実施する前と後で、不安の強さを測る心理検査を行いました。

結果としては、実施群が実施しない群に比べて、不安の強さが有意に軽減していました。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31774604/


また、マインドフルネス瞑想は脳構造を変化させることがわかっています。
少しユニークな実験を紹介します。

求職中でストレスを抱えた男女35人を対象に実験を行いました。
被験者たちを

・正しい瞑想法のグループ
・うその瞑想法のグループ

とランダムに2つに分け、3日間、教えられたとおりの瞑想法を実践してもらいました。

結果、参加者全員が研究者に「気分がリフレッシュされ、失業のストレスに耐えるのに役立った」と語りました。

が、

脳スキャンの結果、脳のうちストレス耐性に関連する部位が活発化し、その他のエリアが穏やかだったのは、正しい瞑想の方法を学んだグループのみでした。

さらに4カ月後、正しい瞑想の方法を学んだグループは、瞑想を続けている人が少なかったにも関わらず、ニセの瞑想を学んだグループよりも血液検査で炎症のレベルが低いという結果になりました。


上記の点について、脳そのものの構造変化が炎症の減少に役立ったと考えている、とコメントしました。

(参考:https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0006322316000792

なんとなく瞑想をして気分が良くなったような気がしているだけではない。
つまり、プラシーボ効果ではない、ということが明確になったわけですね。


瞑想でメリットを感じた人の体験談

mindfulness

毎日瞑想を実践することで、人生が豊かになった人を紹介します。
その人物はダン・ハリス。アメリカABCニュースの人気キャスターです。

「10% HAPPIER(出版・大和書房)」というタイトルで本を出し、ベストセラーになりました。

戦場レポート、ライバルとの競争、ドラッグ、そしてうつ病を経験した彼が「頭の中のおしゃべり」を黙らせる方法を求める物語です。

この本から「瞑想が仕事に与える好影響」という章を、一部抜粋してお届けします。
新しい仕事の悩みには、瞑想が本当に役に立ってくれた。(中略)瞑想の時間を一日30分に増やしていた。毎朝その日の予定を確認し、仕事、瞑想、運動、ビアンカ(ハリスの妻)との時間を入れる場所を決める。(中略)瞑想の時間を楽しみにしているわけではない。むしろ、目を閉じて最初に浮かぶのはたいてい「こんなのを30分もやってられないよ」だ。しかし始めてしまえば、思考をありのままに認識できるようになる。そう、思考は思考でしかない。
彼はとても懐疑的な男です。そんな彼が瞑想を疑い、そして効果を実感していくまでの過程が、まるでコメディのような軽妙な語り口で書かれています。とても面白いのでぜひ読んでみてください。

 

実際の瞑想のやり方



世界のエリートもやっている瞑想の効果とは?で解説したメタ注意を鍛えるのに有効な瞑想法をお伝えします。

 

1.楽に座ります。肩の力を抜き、背すじを気持ちよく伸ばします。

 

2.心を落ち着かせ、呼吸に集中します。「吸う、吐く」と心で唱えても良いでしょう。

途中気が散っていることに気が付いたら、優しく呼吸に意識を戻しましょう。

これを3分ほど続けます。

 

3.次は開放的な注意に移ります。心に浮かぶものに意識を向けましょう。

次々と浮かぶ考えや思いを善悪の判断なく、ただ眺めます。

これを3分ほど続けます。

 

4.再び呼吸に意識を戻しましょう。3分続けます。

 

5.最後、何も考えず、ただ穏やかに呼吸をしましょう。

この瞑想を続けることにより心が動いているとき(開放的な注意)にも、心が静止しているとき(集中した注意)にもメタ注意が強くなります。

 

次もgoogleで行われている共感能力を上げるのに役立つ瞑想法をお伝えします。

リラックスした姿勢で座ります。
自分にとって愛おしい人を思い浮かべましょう。
そして以下のようなセリフを愛おしい人に向けて唱えます。

「この人は私とまったく同じで、体と心を持っている。
この人は私とまったく同じで、感情、考えを持っている。
この人は私とまったく同じで、これまでの人生で、身体的な痛みや苦しみも感情的な痛みや苦しみも経験してきた。
この人は私とまったく同じで、痛みと苦しみから解放されたいと思っている。
この人は私とまったく同じで、健康で人に愛され、充実した人間関係を持ちたいと思っている。
この人は私とまったく同じで、幸せになりたいと願っている。

この人が痛みや苦しみから解放されますように。
この人が幸せになりますように。
この人は私とまったく同じで、人類の一員だから。」

愛おしい人の次は特に何の感情も抱かない人を思い浮かべましょう。
今日コンビニでレジを打ってくれた人や、電車で向かいに座った人など、あなたと何の接点もない人です。
同じセリフを、その人に向かって唱えましょう。

あなたと関係のない人の次に、嫌いな人や苦手な人、憎んでいる人を思い浮かべましょう。
同じセリフを、その人に向かって唱えましょう。

最後、自分の中で沸き起こる感情を静かに観察します。
1分ほどしたら目を開けましょう。

(出典文献:サーチ・インサイド・ユアセルフ チャディー・メン・タン著)

まとめ

 

現代のビジネスでは、常に頭をフル回転させ、難しい問題を対処し、顧客や上司を満足させる活動が求められます。

そのため、仕事を進める原動力ともいえるメンタルを、体と同じ様にケアすることは、もはや当然の流れともいえます。

つまり、瞑想を行い、脳を休息させることが最高のパフォーマンスを生むのです。

そして、このような効果に敏感なエリートたちが、こぞってマインドフルネスに取り組んでいるのです。

ぜひあなたの生活に瞑想を取り入れてみてください。

 

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通勤中の電車やお昼休み、就寝時など自分の生活に合わせて利用してみてください。


※本記事の内容は、執筆当時の学術論文などの情報から暫定的に解釈したものであり、特定の事実や効果を保証するものではありません。