なんだか疲れたわ……
何もやる気が出ない……
私たちは、日々さまざまな不安やストレスに直面しており、精神的に不安定になることもありますよね。最近では、社会全体で「メンタルヘルス」という言葉が注目されており、メンタルヘルス対策に取り組む事業所は、令和3年には59%となりました。
とはいっても、まだまだ日本のメンタルヘルス対策は十分でありません。心の健康を保つためには、個人が予防・改善に取り組む必要があります。
自分の心は自分で守る時代です。
そこで本記事では、専門家の知見を参考に、メンタルを強くする方法やメンタルが不調のときの対処法をご紹介します。メンタルとはどんな意味なのかもご紹介していますので、ぜひ読んでみてください。
ダメな自分から抜け出す方法について知りたい方はこちらの記事もチェックしてくださいね。
目次
メンタルとは
メンタルとは、日本語の「精神的な」を英語の「mental」に訳した言葉が語源です。主に精神や心の健康状態を意味します。精神的なストレス・不調・心の病気・障害など、さまざまな状態を含む言葉です。
また、スポーツやビジネスなどでも「メンタル」という言葉が使われ、それぞれの分野での精神的な力や能力を指す場合もあります。
たとえば、「メンタルが強い」という言葉は「精神的に打たれ弱い」という意味です。
メンタルヘルスとは
厚生労働省によると、メンタルヘルスとは、心の健康状態を表すとのことです。心が健康なときとそうでない状態は以下のとおりです。
心が不健康な状態=メンタルヘルスが不調な状態が続くと、どんどん心の状態を悪化させてしまいます。心を健康に保つためには、メンタルヘルスケアが重要です。
実際、多くの人がメンタルヘルスの不調を抱えています。『令和3年「労働安全衛生調査(実態調査)」』では、労働者の53.3%の人が「強いストレスとなっていると感じる事柄がある」と回答していました。
上記の現状が示されるなか、令和3年度時点では、メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業所は59.2%にとどまり、まだまだ対策が十分とは言えません。
「こころの病気」は誰でも患う可能性があるものです。職場での対策がない場合には、本記事を参考にセルフケアを行いましょう。
メンタルがやられる原因とは?
メンタルがやられる原因を「個人」と「職場」に分けて解説します。
個人の原因
メンタルがやられる個人の原因は、主に以下の2つです。
- ストレス耐性が低い
- コミュニケーションが苦手
精神科医の渡辺 洋一郎氏の知見を参考に解説します。
ストレス耐性が低い
ストレス耐性が低い人は、ストレスがかかる状況で身体や心に悪影響を与えやすく、メンタルヘルスが悪化しやすく、回復に時間がかかります。
長期間にわたってストレスが続くと、うつ病や不安障害などのメンタルヘルスの疾患につながることがあるので、早めのメンタルヘルスケアを心がけましょう。
コミュニケーションが苦手
コミュニケーションが苦手な人は、自分の気持ちを上手に伝えられなかったり、他者の評価を過剰に気にしてしまいます。
上記の特徴から、コミュニケーションが苦手な人は、人間関係のトラブル・孤独感・ストレスなどを引き起こして、メンタルヘルスの悪化につながるのです。
人間関係は、生きていくうえで避けてとおれないものです。
メンタルがやられないように、コミュニケーションスキルを訓練で鍛えることをおすすめします。
職場の原因
職場でメンタルがやられる原因は、主に以下の2つです。
- 仕事の量が多すぎる
- 人間関係
仕事の量が多すぎる
仕事の量が多すぎることは、メンタルがやられる原因の1つです。
『令和3年「労働安全衛生調査(実態調査)」』によると、労働者のうち43.2%の人が、職場で感じる1番のストレスを「仕事の量」と答えています。
労働者のなかでも特に、「正社員」の人が仕事の量へのストレスを抱えているとのことです。
人間関係
職場での人間関係もメンタルがやられる原因の1つです。
実際に、『令和3年「労働安全衛生調査(実態調査)」』でも、強いストレスを抱える原因として人間関係が上位にあがっています。
日本労働組合が行った『職場の人間関係に関するアンケート』では、職場の人間関係を理由に退職・転職を考えた人は、58.5%もいました。
たとえば以下のような場面で、人間関係にストレスを感じるようです。
- 体調不良のときに上司から冷たい対応をされた
- 上司からセクハラ発言をされた
主に、上司からのハラスメントによるストレスが多いことが分かります。
メンタルを強くする方法5つ
メンタルを鍛えるためには、以下の5つの方法を試してみてください。
- 体をたくさん動かそう
- 好きな音楽を聴いてみよう
- ジャーナリングをしてみよう
- マインドフルネス瞑想をしてみよう
- アファメーションをしてみよう
厚生労働省が出している『若者のためのメンタルヘルスブック』を参考に解説します。
体をたくさん動かそう
メンタルを強くするためには、体をたくさん動かすことが大切です。運動することで、抱えているストレスを解消し、気分をリフレッシュできます。
医師である小西 康弘氏によると、適度な運動は、ストレスホルモンであるコルチゾール分泌のバランスを整えるとのことです。また、運動によって体内にエンドルフィンが分泌され、リラックス効果が得られます。
有酸素運動を日常生活に取り入れて、ストレスがたまらない体づくりを目指しましょう。
好きな音楽を聴いてみよう
メンタルを強くするためには、好きな音楽を聴くことも有効です。音楽を聞くことで気分が安定し、ストレスが軽減されます。
『音楽を用いたリラクセーションの効果と心身健康科学の研究』によると、音楽には、緊張・不安・落ち込み・疲労などに効果があるとれています。
ストレスを感じたとき、好きな音楽を聴いてリラックスする・お気に入りのプレイリストを作って聴くなど、自分に合った方法で音楽を楽しみ、気分転換を図りましょう。
ジャーナリングをしてみよう
ジャーナリングもメンタルを強くする方法の1つです。ジャーナリングをすることで、自分の気持ちや考えを整理でき、ストレス解消につなげられます。ストレスや不安を軽減し、精神的な健康を促進する効果があるとされているのです。
実際の日本の教育現場でも活用されており、約8割の生徒が「メンタルケアの効果があった」と回答しています。
毎日少しずつ続けて、メンタルを強くしましょう。
参考:多感な思春期にも効果抜群 教育現場に広がる「自分の心と向き合う」アプリ
マインドフルネス瞑想をしてみよう
マインドフルネス瞑想にも、メンタルを強くする効果があります。
マインドフルネス瞑想は、「いまこの瞬間」に集中する呼吸法です。自分の感情を客観的に見つめられるようになり、マイナス思考から抜け出す効果的な手段とされています。
実際に『A comparison of mindfulness-based stress reduction and an active control in modulation of neurogenic inflammationの研究』では、マインドフルネス瞑想によりストレスが軽減されるとされています。
マインドフルネス瞑想は、簡単に自宅で実践できます。以下は、簡単なマインドフルネス瞑想の手順です。
- 静かな場所で、座り姿勢をとる
- 目を閉じて、呼吸に集中する
- 吸う息と吐く息を静かに感じる
- しばらく呼吸に集中した後、身体の感覚に意識を向ける
- 身体のどの部位に力が入っているか、どの部位が緩んでいるか、客観的に観察する
- 感覚に集中している間、雑念が入ってきたら、そのことを認めて、呼吸に戻る
- 瞑想が終わったら、静かに目を開ける
マインドフルネス瞑想を実践してメンタルを強くしましょう。
気軽に試してみてい方は、『1分でできる瞑想の簡単なやり方を解説!10秒から始める超簡単瞑想法も』の記事をご覧ください。
アファメーションをしてみよう
メンタルを強くする方法として、アファメーションがあげられます。
アファメーションとは、自己肯定や前向きなメッセージを繰り返し唱えることで自己イメージを改善する方法です。
実際に、文部科学省が提供している『第2章 心のケア 各論』では、ストレスケア法として、アファメーションがあげられています。
メンタルを強めるためのアファメーション例
- 私は自信にあふれ、成功する
- 私は素晴らしい人間であり、愛されている
- 私は過去の失敗から学び、成長している
アファメーションを毎日数回繰り返すことで、自己肯定感が向上し、メンタルの強化につながります。
詳しい効果ややり方は『アファメーションとは?専門家や科学的根拠・体験談より解説!』の記事でご紹介していますので、ぜひ読んでみてください。
ストレスに強い人の特徴3つ
ストレスに強い人の特徴を精神科医の樺沢氏の見解をもとに解説します。
- 対処法を自分で調べられる
- 立ち直るのがうまい
- 自己洞察力が高い
下記で詳しく解説します。
対処法を自分で調べられる
ストレスに強い人の特徴として、対処法を自分で調べられることが挙げられます。ストレスが強い人は、悩みを抱えたらすぐに行動できるため、ストレスを解消する方法をすぐに見つけられるのです。
ストレスに強い人は常に行動しているため、ずっとストレスについて考えていることがありません。
逆に、ストレスに弱い人は、じっと動けない人が多いです。
立ち直るのがうまい
ストレスに強い人は、立ち直るのがうまいです。仮にストレスが原因で心が折れたとしても、すぐに立ち直ることができます。レジリエンスの高さ=心のしなやかさがあるためです。
また、ストレスに対して過剰に反応しないため、ストレスに対して柔軟に対応できます。
レジリエンスを高めるには、適切な休息や運動、ストレスマネジメントなどが重要です。また、ストレスから自分を解放することも大切にしましょう。
過去のストレスを思い出し続けることで、新たなストレスを引き起こしてしまうことがもあるため、嫌なことは忘れてしまうことも大切です。
自己洞察力が高い
ストレスが強い人は、今の自分がよくわかっています。
自分を客観的に見れるため、今の自分へのストレスに対して適切な対処法を見つけることができるのです。
たとえば、
- 仕事をしすぎている→今週はゆっくり休もう
- 睡眠が足りてない→今日はよく寝よう
- 最近野菜を食べていない→積極的に野菜を摂ろう
など、自分の状態がよくわかっていれば、自分の身体を労わり、心の健康を保てます。
「日記を書く」「ジャーナリングをする」などの方法で自己洞察力をあげて、自分の限界や体力・能力を把握しましょう。
メンタルがやばいサイン
メンタルヘルスを健康な状態に保つためには、早めのメンタルケアが大切です。メンタルがやばいサインを知って、早めに対処できるようにしておきましょう。
厚生労働省が提供している『若者のためのメンタルヘルスブック』によると、メンタルがやばいサインは、主に以下の3つです。
- 気分が落ち込む
- 不安でたまらない
- 聞こえないはずの声が聞こえる
下記でしっかり確認しましょう。
気分が落ち込む
気分が落ち込み、楽しいことが何1つ考えられないなどの状態が長く続いている場合は、メンタルがやばいサインです。
誰でも悲しいことやショックなことがあれば落ち込みますが、上記のような状態が長く続いている場合は、うつ病の初期症状かもしれません。
- 毎日涙が出る
- よく眠れない
- 食欲が出ない・もしくは食べすぎてしまう
- 人と話したくない
上記のような状態の場合は、早めに信頼できる人に相談しましょう。専門医に相談するのもおすすめです。一人で抱えこまないでくださいね。
不安でたまらない
異常なほどに不安・緊張・恐怖などの感情が継続的に続き、日常生活に支障がある場合は、「不安障害」という病気の可能性があります。
不安障害の原因は、遺伝要因・ストレス・心理的外傷などです。
不安障害の前兆は以下のようものがあります。
- 筋肉が緊張したり、頭痛がする
- 理由もなく何か悪いことが起きるのではないかと不安に感じる
- 自分が別の世界にいるかのように感じる
- 何かから逃げたくなる
早めに心のサインに気づき、専門医に相談しましょう。
聞こえないはずの声が聞こえる
周りに誰もいないはずなのに、声が聞こえたり、誰かに見られたりするのもメンタルがやばいサインです。
「統合失調症」の可能性があります。統合失調症とは、現実と非現実がわからなくなったり、考えが散漫になったりする病気です。人とのコミュニケーションがうまくいかなくなる場合もあります。
原因は完全には解明されていませんが、遺伝的な要因や脳内物質の異常、子どもの頃のストレスやトラウマなどが関連していると考えられています。
- 考えがうまくまとまらない
- 人から監視されてる気がする
- 自分が特別な能力を持っている異世界人に感じる
- 好きだったことにもエネルギーが出ない
- 人と話すのがおっくう
上記のような症状がある場合は、早めに家族や専門医に相談して、対処法を探しましょう。
メンタル不調かもと思ったら
もし最近、心が重くなったり、イライラしてしまったりしているなら、メンタル不調かもしれません。
そんなときは、一人で抱え込まずに、信頼できる人に相談することが大切です。メンタル不調は、時間が経てば解決するものでもありません。
筆者もうつを経験していますが、一人では改善できませんでした。
厚生労働省は以下の3つを推奨しています。
- まずは信頼できる人に相談する
- こころの相談窓口に相談する
- 専門医に相談する
下記で詳しく解説します。
まずは信頼できる人に相談する
まずは誰でもいいので、信頼できる人に相談しましょう。家族に限らず、信頼できる友人や学校の先生でも良いです。
家族や友人、恋人など自分にとっての支えになる人に話を聞いてもらうことで、気持ちが楽になることもあるでしょう。また、その人からのアドバイスや助言を聞くことで、自分が取るべき方向性が見えることもあります。
優しく受け止めてくれる人に相談してみてくださいね。
こころの相談窓口に相談する
心の病気について相談できる機関として、こころの相談窓口があります。
こころの相談窓口は、カウンセリングや心理療法などの専門家が相談者の話を聞き、適切なアドバイスや対応を行ってくれる窓口です。また、相談窓口は匿名で利用することができ、周囲に知られずに相談できるのも大きなメリットです。
相談できる人が身近にいない場合は、こころの相談窓口を活用しましょう。
専門医に相談する
メンタル不調が続いた場合は、専門医に相談することも検討してみましょう。精神科医や心療内科医などの専門医は、より適切な治療法や薬物療法を提供してくれます。
また、専門医は正確な診断を行ってくれるため、自分の症状について正しい理解を得ることが可能です。専門医に相談することで、より早期に治療を受けることができ、回復につながることもあります。
職場にいる産業医も活用しましょう。
まとめ
メンタルヘルスを健康に保つためには、日常生活での予防や、早めの対処が大切です。
本記事で紹介している「メンタルを強くする方法」を実践していれば、こころのサインには早めに気づけます。ぜひ実践してみてください。
なお、メンタル不調になってしまった場合は、自己判断で対処するのではなく、なるべく早く専門医に相談しましょう。
メンタル不調を改善する方法はたくさんあります。早めに対処して、穏やかな日々を過ごしてください。