仕事はうまくいってるけど、わたしの人生このままでいいのかしら。


あまり大きな声では言えない、キャリア女子の切実な悩みです。

ただの贅沢だと思われるかもしれません。

でも、このモヤモヤとした思いを解消するには、素直に不安な気持ちを認めることに始まります。

「もう今のままで十分じゃない?」

という人の声を真に受けて、本当の自分の気持ちをなおざりにすると、心のバランスを崩すだけでなく、体調にまで影響が出てしまうことがあります。

たとえ周りがどうであれ、あなたの中に不安な気持ちがあるのは事実。

素直に心の声に耳を傾けて、不安な気持ちを和らげるのに、瞑想が役立ちます。

いまや欧米では、瞑想はWell-Being(健康、幸福)のためとしても注目されています。

そこで今回は、忙しくても簡単に始められる、初心者向けの瞑想方法を紹介します。

ぜひトライしてみてください。

今すぐできる瞑想方法

マインドフルネス


もっとも始めやすい瞑想のひとつに、マインドフルネス瞑想があります。

その理由は2つ。

1つは、日本人に馴染みやすい要素が含まれていることです。

マインドフルネスは、1970年代に欧米の医療界で用いられ始めました。

宗教色は一掃されていますが、そのもとは、2500年前の仏教。

さらに、マインドフルネスをプログラム化したマサチューセッツ大学医学部の名誉教授、ジョン・カバット・ジン氏は、日本の禅にヒントを得たといわれています。

2つ目の理由は、日常生活のいろんなシーンの中で、さっとできてしまうという点です。

たとえば、歩きながら行う瞑想方法があります。


<歩きながら行う瞑想の方法手順>

歩きながらの瞑想

  1. 室内で裸足になり、5歩くらい歩けるスペースを確保する

  2. 息を吸いながら両手を上に上げる
 
  3. 息を吐きながら、胸の高さまで半円を描くようにして腕をおろしたら、そのあと両腕をだらんと下げる


    ( 1,2,3をもう一度繰り返す)

  4. 目線を鼻先におとして、ぼんやり見つめる

  5. 足の裏が床に触れている感覚に意識を向ける

  6. 右足のかかと、親指の付け根、親指のはら、のこり4本も床をしっかりとらえて足全体が床に触れている感覚を確かめる

  7. 同様に左足の感覚を確かめる

  8. 歩幅は自分の足の裏の半分程度に、ゆっくりやさしく歩く

  9. かかと→指の付け根という具合に、親指が順に床から離れたり着地したりする様子を観察する

  10. 体重を足の裏でじんわり感じる

  11. 右足→左足→右足→左足を繰り返し、5歩分前に進む

  12. 最後に自分の足の裏の感覚を味わう

  13. ゆっくり目を開く

  14. 感じたことを振り返る 

【実践】上記の瞑想を音声の誘導・リラックスミュージック付きで行う場合は、こちらのアプリをご活用ください。

Relookアプリ<「瞑想」タブ < 「悩み別」 < 「マインドフルネス」 <「マインドフルネス瞑想基礎」 <「Day5 歩くマインドフルネス」


Relookアプリについてはこちらを参照してみてください。


関連記事:歩行瞑想のやり方や効果を解説【DaiGo実践の歩行瞑想をマスター】


そもそも瞑想とは

瞑想とは

瞑想は、医療、企業、教育など、様々なシーンでそれぞれの目的のために活用されています。

そもそも瞑想とは何か?ですが、目的は大きく分けて2つあります。

1つは、ひとつのことに集中することで雑念を払うこと。

もう1つの目的は、何も考えずに「無」の状態を目指すこと。(#1)

(参考文献 #1.) Kimiko Kawano, et al: Characteristics of EEG during Various Meditations. J. Intl. Soc. Life Info. Sci. Vlo.20 No2, September 2002, p512-514

つまり、瞑想とは、本来、雑念を抱いたり、考えだしてしまう脳をリラックスさせるためのトレーニングです。


瞑想で生じる7大効果

瞑想には、様々な効果があるといわれます。

そのうち、瞑想の効果について、もっとも科学的に検証されているのが、マインドフルネス瞑想です。

そこで、仕事にもプライベートにも役立つ、マインドフルネス瞑想の7つの効果を紹介します。

その1. ストレスが減る

ストレスが減る

ストレスを減らす目的やうつ病を治療する目的で、マインドフルネスをベースとしたプログラムが活用されています。

カナダのモントリオール大学の研究によると、過去に行われた209の研究を分析し、マインドフルネスはストレスを減らすのに効果的であると、結論づけました。(#2)

(参考文献#2.) Bassam Khoury, et al. Mindfulness-based therapy: A comprehensive meta-analysis. Clinical Psychology Review; Volume 33, Issue 6, August 2013, Pages 763-771.

関連記事:論文レポート:マインドフルネスによるストレス軽減効果


その2. 不安な気持ちが抑えられる

不安をおさえる

「今は仕事がうまくいっているけど、この先どうなるのかしら
「仕事はいいけど、私の人生これでいいのかしら」

というように考えている時、意識はまだ何も起こっていない未来に向けられています。

一方、マインドフルネス瞑想は、「いま」の瞬間に意識を向けるトレーニングです。

実際に前述のモントリオール大学の研究(#)では、マインドフルネスには不安を抑える効果があることも報告しています。


その3. 怒りの感情がしずまる

怒りを抑える


人と関わる中で怒りをおぼえるのは、自然な反応です。

怒っている最中は、その感情がいつまでも続くかのように錯覚してしまいます。

しかし、ある時から怒りは消えてなくなります。

そして、後になって分かります。

怒りは、一時的な心の現象であったこと。

また、その時必ずしもどうにか対処しないといけないものではなかったと。

日本での研究によると、1週間毎日5-10分のマインドフルネス瞑想を行ったことで、短期的な気分の改善と中長期的な怒りの改善が認められました。(#3)

(参考文献 #3. Misa Hirano, et al. The impact of mindfulness meditation on anger. The Japanese Journal of Psycho. 2013, Volume 84, Issue 2, P 93-102.)


その4. 注意力が上がる

注意力


注意力が上がると、仕事のミスが減り、成果を出しやすくなります。

米国屈指の知的水準を誇るスワースモア大学の研究では、瞑想初心者にマインドフルネス瞑想のテープを10分聞かせたところ、注意力が上がったと報告されました。(#3)

(参考文献 #3.) Catherine J. Norris, et al. Brief Mindfulness Meditation Improves Attention in Novices: Evidence From ERPs and Moderation by Neuroticism. Front Hum Neurosci.2018;12:315


その5. 孤独感が減る

孤独感が減る


日頃忙しいながらも、ふと孤独を感じることがあるかもしれません。


そんな時、マインドフルネス瞑想が役立ちます。

153名を対象にしたピッツバーグ大学の研究によると、マインドフルネス瞑想のアプリを2週間使ったところ、孤独感が減り、社会的接触が増えたといいます。(#4)

(参考文献 #4.) Emily K. Lindsay, et al: Mindfulness training reduces loneliness and increases social contact in a randomized controlled trial. Proc Natl Acad Sci USA. 2019 Feb 26: 116(9): 3488-3493.


その6.創造性を高める

アイデア

現状に行きづまった時、今までとは違ったやり方や発想によって、解決の糸口がみつかることがあります。

マインドフルネス瞑想を行うことで、いつもとは異なる視点が身につき、いつものパターンとは異なった方法で対応する能力が鍛えられます。(#5)

(参考文献 #5.) Moore A., et al. Meditation, mindfulness and cognitive flexibility. Consciousness and Cognition. 2009;18(1):176–186.

また、新たなことにチャレンジしようとすると、人から批判されることを恐れたり、自己批判におちいり、なかなか前に進めないことがあります。

一方、マインドフルネス瞑想は、判断される恐れを減らし、自己嫌悪の考えを減らしてくれるといわれています。(#6)

(参考文献 #6.) Brown K.W., et al. Theoretical foundations and evidence for its salutary effects. Psychological Inquiry. 2007;18(4):211–237.

このようなマインドフルネス瞑想の作用が、創造性が高まることにつながります。(#7)

(参考文献 #7.) Danah Henriksen, et al. Mindfulness and creativity: Implications for thinking and learning. Think Skill Creat. 2020 Sep; 37:100689


その7. 睡眠の質が改善される

睡眠の質の改善

ぐっすり眠れなかった日には、日中にだるさを感じることがあります。

6週間のマインドフルネス瞑想により、睡眠の質が改善されたとの報告があります。(#8)

(参考文献 #8.) David S. Black, et al. Mindfulness Meditation and Improvement in Sleep Quality and Daytime Impairment Among Older Adults With Sleep Disturbances A Randomized Clinical Trial. JAMA Intern Med. 2015;175(4):494-501.

関連記事:論文レポート:睡眠の質の向上―脳波からみたマインドフルネスの効果-

次に、マインドフルネス瞑想の方法の基本について解説します。


瞑想方法の基本①

リラックス

リラックスする

マインドフルネス瞑想は、日常の様々な場面で行うことができます。

つまり、座って目を閉じて行う瞑想だけではありません。

前述のように、歩きながら行うこともできます。

そのほかに、朝に顔を洗いながら、電車の中で、食事中や仕事中、寝る前にも行うことができます。

いずれの時も、体と気持ちをリラックスさせることから始めます。

リラックするためには、集中できる環境で、できれば体を軽くほぐし、深呼吸をするといいです。


瞑想方法の基本②
いま
「いま」の瞬間に意識を向ける

わたしたちは「いま」存在しているにもかかわらず、意識はたいてい未来や過去にあります。

これからやることを考えていたり、過去の出来事に伴う感情をもっていたりします。

そのため、「いま」に意識を向けるのには練習が必要になります。

それが、マインドフルネス瞑想です。

例えば、朝に顔を洗っている時、水の温度や泡の感覚、タオルの感触、洗顔後のさっぱり感を感じるなど、その時その時の感覚を感じている時、「いま」の瞬間に意識が向けられています。


瞑想方法の基本③

思考に気付く

考えや感情に気付く

上記のように「いま」に意識を向けようとしていても、ふと何か考えや感情が湧いてくるものです。


例えば、顔を洗いながら

「朝ごはんに何を食べよう」

「今日は何を着ていこう」

などと考えたり、満員電車に乗ることを考えてイヤな気分になることもあるかもしれません。

たとえ、何かを考え出したり、気分に浸ってしまったとしても、それ自体が悪いことではありません。

批判はせず、ただ考えや感情が湧いてきたという事実を認識します。

そして認識できたら、また「いま」の瞬間に意識を集中することを始めます。


1分でできる瞑想方法

1分でできる瞑想方法として、音に耳を傾ける瞑想方法を紹介します。

わたしたちの生活の中には、いろいろな音が含まれています。

エアコンの音、人の話す声、車の音、鳥の鳴き声、風の音など。

耳に入ってくる音ひとつひとつに意識を向けていきます。


音を聴く瞑想


<音に耳を傾ける瞑想方法>


  1. ゆったりできるところに腰かける

  2. 目を軽く閉じる

  3. 一度、息を楽に吐き出す

  4. 音と音の間の静寂、音のリズムなどを感じる

  5. ゆっくり目を開ける

【実践】上記の瞑想を音声の誘導・リラックスミュージック付きで行う場合は、こちらのアプリをご活用ください。

RELOOKアプリ<「瞑想」タブ < 「悩み別」 < 「マインドフルネス」 <「マインドフルネス瞑想基礎」 <「Day6 音のマインドフルネス」


5分でココロを整理する瞑想方法

ココロがイライラしていると、カラダもいつもと違う感じになっていることがあります。

深呼吸をし、カラダの感覚に意識をむけ、ココロを整理する瞑想方法を紹介します。

気持ちを落ち着かせる瞑想

<イライラする気持ちを落ち着かせる瞑想方法>

  1. 椅子に腰かけて、目線を鼻先におとし、軽く目を閉じる

  2. カラダの違和感を感じる

  3. 鼻から息を吸って、口からゆっくり吐く(3回繰り返す)

  4.ネガティブな考えが浮かんできても、無理やり打ち消そうとしない


  5. 自分のペースで呼吸を繰り返す

  6. 吐く息ごとに、イライラに注いでいるエネルギーを緩めてあげる

  7. 体の状態に意識を向ける

  8. 先ほどよりも体がリラックスしていることに気付く

  9. 鼻から息を吸って、口からゆっくり吐く

  10. ゆっくり目を開ける

  11. 新鮮な気持ちで再スタート

【実践】上記の瞑想を音声の誘導・リラックスミュージック付きで行う場合は、こちらのアプリをご活用ください。

RELOOKアプリ<「瞑想」タブ < 「悩み別」 < 「ストレス」 <「心を落ち着かせる」 <「イライラを落ち着かせたいとき」


15分以上の瞑想で確実に変化を実感するには

その1. 瞑想時間は徐々に延ばしていく

徐々に伸ばす

最初の頃は、瞑想を15分以上続けるのがとても長く感じ、途中で離脱してしまうことがあるかもしれません。

徐々に瞑想時間を伸ばしていくと、長い時間、瞑想に集中しやすくなります。

まずは1分から始めて、2分、3分、4分と徐々に時間を延ばしていきましょう。


その2. 瞑想後に気づいたことをメモする

メモ

変化を実感するには、当然ながら変化に気付ける能力が必要です。

そのために役立つのが、瞑想後のメモです。

瞑想後に気づいたことをメモして振り返ることで、変化を実感しやすくなります。

ただし、ちょっとしたポイントがあります。

それは、メモしながら批判を加えないことです。

もしかしたら、今日できたことが、次の日にできないということがあるかもしれません。

たとえそうであっても、批判する必要はありません。

ただ、事実としてとらえます。

これもマインドフルネスです。


その3. 15分以上の誘導瞑想を行う

慣れてきたら、15分以上の瞑想にチャレンジしてみましょう。

音声の誘導があると、より集中が続きやすいかもしれません。

ここでは、自信という気持ちについて考える15分の誘導瞑想を紹介します。

自信をつける瞑想

<自信という気持ちについて考える15分の誘導瞑想>

  1. 鼻から息を吸って、口から息をゆっくり吐く(3回続ける)

  2. 落ち着いて音声を聴く

  (続いて音声に従って3以降を進める)

  3. 無意識にもっている恐怖心に気付く

  4. 居心地の良いところに腰かける


  5. てのひらをリラックスできる場所に置く


  6. 天井から糸で引っ張られているように背筋を伸ばす


  7. 肩の力を抜き全身をリラックスさせる


  8. 一度やさしい笑顔をつくるまずは軽く息を吐く


  9. 鼻から吸って、口からゆっくり吐く(3回繰り返す)


  10. 自分のペースで呼吸を続ける


  11. 吐く息が唇に触れるのを感じる


  12.ゆっくり目を開ける


【実践】自信という気持ちについて考える15分の誘導瞑想は、こちらのアプリで行えます。

RELOOKアプリ<「瞑想」タブ < 「悩み別」 < 「マインドセット」 <「自信をつける」<「Day1 自信をつけるためには」


【応用】ヴィパッサナー瞑想

マインドフルネス瞑想は、前述のように、もともと仏教由来のものです。

伝統的な仏教の瞑想には、大きく分けてヴィパッサナー瞑想とサマタ瞑想があります。(#9)

(参考図書 #9. )大谷彰. マインドフルネス入門講義. 東京, 金剛出版; 2014.

その両者の瞑想を含んだものが、マインドフルネス瞑想です。

両者の瞑想の違いをカンタンにまとめると、このようになります。

ヴィパッサナー瞑想

(参考文献10. )恒藤暁, マインドフルネスを医療現場に生かす, 新薬と臨床 J. Nre Rem. & Clin. Vol.67, No7, 2018

ここでは、仏教の瞑想としてヴィパッサナー瞑想の方法を紹介します。

ヴィパッサナー瞑想のやり方

<ヴィパッサナー瞑想の方法>

  1. 座り心地のいいように、床に座布団を敷して足を組む、もしくは、椅子に腰掛ける

  2. 背筋は天井にひっぱられるようにピンと伸ばす


  3. 両手をつなぎ、両腕の力を抜き、手の重みは太ももで支える


  4. かるく目を閉じて、呼吸をする


  5. 息を吸う時、お腹が膨らむのを感じる


  6. 息を吐く時、お腹がへこむのを感じる


  7. 呼吸に意識を向けている最中に、ほかの考えや感情をわき起こってきたら、その考えや感情に気づいて、また呼吸に意識を戻す


さいごに

2500年経っても人は変わらず、瞑想は歴史のある生きていくうえでの叡智として、現代のわたしたちの生活においても大いに役立ちます。

宗教色を一掃されたマインドフルネス瞑想のように、もはや瞑想は特別な人のためのものではなくなりました。

初心者でも簡単に始められる瞑想を、生活の一部にぜひ取り入れてみてください。



※本記事の内容は、執筆当時の学術論文などの情報から暫定的に解釈したものであり、特定の事実や効果を保証するものではありません。