目次
メディテーション(瞑想)の種類
「well-being」という思想の広まりに伴い、Meditation(瞑想)を行うことが一般的な世の中になってきました。
瞑想アプリも多く普及し、気楽に行えるようになったのも大きな要因でしょう。
あなたはどのような瞑想を行っていますか?
このように質問すると、「え、どのようなって・・・?」と不思議な顔をされる方が多くいらっしゃいます。
実は、世の中に数多くの瞑想が存在しています。
各国の文化や歴史の中で多種多様な瞑想法が生まれ、現在に引き継がれています。
・瞑想のために身体と呼吸を鍛錬する「ヨーガ」
・瞑想する姿勢に重きを置く「坐禅」
・回数と時間に決まりがあり、マントラ(短い意味のない言葉)を唱える「超越瞑想」
上記のように、瞑想法によってアプローチがまったく異なるため、瞑想を定義するのは難しいのです。
しかし、瞑想には共通した目的地があります。
それが「悟り」(nirvana、Samadhi)に到達することです。
悟り、と聞くと宗教的で引いてしまう方もいるかもしれませんが、「悟り=幸福の極限」と捉えることができます。
慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科教授であり、同大学のウェルビーイングリサーチセンター長の前野隆司氏はこのように述べています。
幸せの心的要因は四つの因子から成る、というものです。
前に述べたように、「感謝とつながり」「自己実現と成長」「独立とマイペース」「前向きと楽観」
これらの極限が悟りにつながると私は思います。(幸せとは何か/悟りとは何か p161)
瞑想を習慣化することで幸福度が上がる、ということが言えそうです。
まとめましょう。
・世の中数多く瞑想法が存在する。
・瞑想までのプロセスや方法は、歴史的背景によって異なる。
・瞑想を行う目的は悟りである。
・悟りは幸福と同意語である。
代表的な瞑想法
①ヴィパッサナー瞑想
ヴィパッサナーとはパーリー語で「ものごとをありのままに見る」という意味で、
心の中で起きるあらゆる感情や、全身で感じるすべてを観察し、そして流し続ける瞑想法です。
インドの古い瞑想法で、昔は治療法として多くの人に用いられてきたそうです。
釈迦が悟りを開いた瞑想法がこのヴィパッサナー瞑想でした。
ミャンマー出身のヴィパッサナー瞑想指導者、サティア・ナラヤン・ゴエンカ氏はスピーチでこのように説明しています。
現実をありのままに観察する智慧が生まれるとき、この反応という習慣から抜け出すことができます。盲目的な反応をやめるとき、人は本当の意味での行動をはじめます。それは、バランスのとれた心、真理を見通し理解する心による行動です。そのような行動は、自分にも他の人にとっても、建設的で創造的、そしてとても有効なものです。
マインドフルネス瞑想はこのヴィパッサナー瞑想が源流です。
そもそもマインドフルネスは好き嫌いなどの主観を取り除き、「今」に気がつき続ける状態を言います。
この状態になるための訓練法を「マインドフルネス瞑想」と呼びます。
両者に大きな違いはありません。
②サマタ瞑想
サマタ瞑想とは、パーリー語で「止」という意味で、何か対象に向かって意識を集中させる瞑想法です。
集中の対象は、呼吸、ろうそくの炎、マントラ、音楽など瞑想法によって異なります。
比較的簡単に行えるので、初心者にお勧めの瞑想法です。
しかし、サマタ瞑想には注意が必要です。
意識を1点に集中させ続ける行為は、イメージで言うと「充電」行為。
エネルギーを溜め込み続ける行為を極度にやりすぎると、恐怖感、もしくは恍惚とした高揚感に襲われることがあります。
1日30分程度に収めておきましょう。
③メッタの瞑想
メッタとはパーリー語で「慈悲」という意味で、この世に存在するすべてのものが幸福であるように、と願う仏教の基本精神に基づく瞑想法です。
「私」と「他人」そして「私」と「世界」の境界をなくし、思いやりの心を身につけます。
最新の脳科学では、慈悲の瞑想を行うと、喜びや幸せを感じる部分や、共感力に関する部位が活性化することが分かっています。詳細はこちらのページをご覧ください。
メディテーション方法
①ウォーキングメディテーション
ヴィパッサナー瞑想のひとつである、「歩く瞑想」のやり方です。
まっすぐと立ち、足の裏全体の感覚に意識を向けます。
ゆっくりと歩き出しましょう。右からでも左からでも、問題ありません。
足裏が地面から離れたら「離れた」と心の中でつぶやきます。(これをラベリングと言います)
ゆっくりと足裏を地面に着け、「着いた」とラベリングしましょう。
体の重心がどのように移動し、そして自分の体重を足全体でどう支えているか、など細かく観察します。
そして「進んだ」とラベリングしましょう。
これをゆっくり左右繰り返しながら歩きます。
途中、違うことを考えしまい、歩行から注意が離れたことに気付いたら、優しく意識を戻しましょう。
「集中できない」「自分には無理だ」などネガティブな言葉を思い浮かべないように。
物事をそのまま受け入れ、1歩1歩を大切に歩きましょう。
②キャンドルメディテーション
サマタ瞑想のひとつである、ろうそくの炎をじっと見つめる瞑想法です。
イスに浅く腰をかけるか、床にあぐらで座ります。
気持ちよく背筋を伸ばしましょう。
ちょうど目の高さに来る位置にろうそくをセットします。
部屋を暗くし、ろうそくの炎だけを見続けます。
10分ほど見たら、火を消し、目を閉じましょう。
目の中の残像で写る炎を感じながら、5分ほど静かに呼吸をします。
※火の取り扱いには十分に注意してください!
③慈悲の瞑想のやり方
楽な姿勢をとりましょう。寝転がっていても問題ありません。
まず、自分に向かってこう唱えましょう。
「私が幸せになりますように。私の苦しみが取り除かれますように。私が光の中を歩めますように。」
あなたの大切な人(家族、恋人、尊敬する人など)を具体的に一人思い浮かべましょう。
その人に届けるように、唱えます。
「あなたが幸せでありますように。・・・」(自分に向かって言ったせりふと同じ事を言います)
あなたと関係がない人を思い出してください。
同じマンションでたまに会釈するだけの人や、駅で見かけた人など、名前も知らない人です。
その人の姿を思い浮かべ、語りかけるように唱えます。
「あの人が幸せでありますように・・・」(自分に向かって言ったせりふと同じ事を言います)
あなたの苦手な人、大嫌いな人を具体的に一人思い浮かべましょう。
その人に向かって、心の底からこの言葉を唱えます。
「○○さんが幸せありますように・・・」(自分に向かって言ったせりふと同じ事を言います)
最後、生きとし生けるものすべてに向かって愛を注ぐようにこう言いましょう。
「この世に存在するすべてのものが、幸せでありますように。苦しみが取り除かれますように。光の中を、歩めますように」
メディテーションの効果
論文を元に科学的に立証された効果をご紹介します。
・イライラしにくく、感情に振り回されなくなる 詳しくはこちら
・集中力が上がり、作業効率が良くなる 詳しくはこちら
・不安障害や鬱症状などを緩和 詳しくはこちら
・自律神経が整い、よく眠れるようになる 詳しくはこちら
瞑想を続けることで脳構造が変化し、効果が長続きすることがわかっています。
効果を感じるためには、瞑想を習慣化させることが大切です。
自分に合ったメディテーションの見つけ方
「たくさん種類があって、何から始めたらよいか分からない」
そんなあなたに試してもらいたいのが、まず1週間やってみるという方法です。
私がここで「この方法が一番効果ありますよ!これをやりなさい!!」と言ったところで、あなたに合わなければまったく意味がありません。
頭で考えてはいけません。
あなたの体の声を良く聞いてあげて下さい。
あなたに良いものは、あなたの体にしかわからないのです。
あなたに合う方法が見つかれば「またやろうかな」「なんとなく続けられそう」という感情が出てくるはず。
「やり方にはこう書いてあるけど、ちょっとやりにくいな」と思えば自己流にアレンジしていいんですよ。
あなたにとって、楽に行える方法を探してみてください。
Relookアプリではマインドフル瞑想やクリスタルボウル瞑想、慈悲の瞑想など様々な瞑想法の誘導音声があります。
いろいろと試してみてください。
Relookアプリについてはこちらを参照してみてください。
さいごに
世の中にたくさんある瞑想法。
じっとしているのが苦手!という方は、ヨガや太極拳など動く瞑想を取り入れても良いかと思います。
最後に瞑想のコツをお伝えします。
それは効果を期待しないこと、です。
「瞑想で悟りを開いて幸福になるぞ!!」と意気込んでいては、悟りどころか瞑想に効果も感じられません。
毎日コツコツと筋トレのように行うことで、特別なことをしていないのに、幸福を感じる頻度が高くなっていることを実感できるようになるでしょう。
あなたの毎日がより輝かしいものとなりますように!
※本記事の内容は、執筆当時の学術論文などの情報から暫定的に解釈したものであり、特定の事実や効果を保証するものではありません。